第2章 ♯20 御恩
俺たちはギルドに向かった。
「何て言おうかな?」
「私が取り敢えず言ってみるよ。」
「それで済むといいけど、絶対、こっちに殺気をガンガン送ってくるよ。」
「それはなんとかしてね!」
「最悪、息の根を止める。」
「殺しちゃ駄目だからね?」
俺たちはギルドに到着し、満を持して突入する。
ギルドに入ると鬼のような顔したカリナさんが仁王立ちしている。
「やっと戻って来ましたね。さて、話して貰いましょうか。」
やっぱり殺人鬼の様な冷たい目で俺を睨んでいる。
そんなに俺が悪いことしたのか!?
何故かギルマスの部屋に案内される。
きっと仲間を少しでも増やしたかったんだろう。
でも、そのおっさん、あんまり役立たないよ?
「それで、リラ。
貴女は何で辞めるのかしら?」
「先程も話した通り、ミコトと一緒に居る為です。」
「何でミコトさんと一緒に居たいからって辞める必要があるのかしら?」
リラと話してる筈なのに、何故か俺を射殺すかの様に、睨み続けるカリナさん。
その目、潰してやろうかな。
「何時でもミコトの助けになれる様にこれから魔法学校に通います。」
「貴女が魔法を覚えて何の助けになるんですか!?
ギルド孃は情報で冒険者を助けるのが仕事です!
魔法を覚えたところでなんの役にも立ちません!」
「違います、カリナさん。私はギルド孃としてサポートするんじゃなくて、一緒に戦って助けるんです!
これから先、ミコトが王都を離れても、一緒に行って助けるんです!」
「貴女に戦闘なんて出来るわけないでしょう!!!
モンスターに直ぐに殺されてしまうわ!!」
「やります!ミコトの傍にいる為なら、私は負けません!!」
「言葉だけなら何とでも言えます。
ミコトさんが傍に居れば貴女は大丈夫でしょうが、独りになったら何も出来ない癖に強がるんじゃありません!!」
「果たして、そうでしょうか?」
「は?当たり前です!
この子は戦闘等したことないんですよ!?
独りでは何も出来ないでしょう!?」
「じゃあ、賭けますか?」
「は?賭け?」
「はい。賭けです。
リラがそちらの用意する相手に勝てたら、納得して貰います。
どうですか?」
「そんなのこっちが勝つに決まってるじゃないの!
巫山戯てるの!?」
「大真面目ですよ。
何なら、そこのギルマスとは名ばかりの単細胞のゴリラでもいいですよ?」
「誰が単細胞ゴリラだァァ!!」
〘影縫い〙
「ぐっ!動けねえ!てめえ!!」
〘ウォーター〙
「ぐわぁぁぁ!ゴボゴボ!!息が・・・ゴボゴボ」
ギルマスの顔に容赦なくウォーターをかけるミコト。
「止めなさい!分かったわ!良いでしょう。
その賭け乗らせてもらうわ。
私達が勝ったら、リラにはずっとここで働いて貰うわ。」
「俺たちが勝ったらリラのことは諦めるんだな。」
「ちょっと!ミコト!ギルドマスターになんて、私勝てないよぅ!!」
「大丈夫だ。リラは俺の真似をすれば良いんだよ。
絶対に勝てるよ。」
「ミコトの真似・・・?
そ、そっか!
私やります!」
「此方はギルドマスターが出ます。いいですね?」
「おい、カリナ!
いくら何でも俺じゃ相手になんねーぞ!?」
「あちらが貴方でも良いと言ったんです。
絶対に勝ってくださいね!」
「流石にリラなら楽勝だろーけどさぁ。」
「リラ、相手は単細胞ゴリラだ!楽勝だな!
アイツ対したことないからイケるぞ!!」
「あぁん??テメー、誰が対したことないだって!?」
「てめえだ、単細胞ゴリラ。
お前なんか、リラに瞬殺されちまえ!雑魚が!」
「てめえ、もう怒った!!俺が相手してやるよ?
リラ如き、こっちが瞬殺だ、コラァァァ!」
「リラを傷付けたら拷問だけどな。」
「ぐっ!てめえ卑怯だぞ!!」
「冗談だ、ボケェ!リラが勝ったら、てめえは一生、俺の下僕だからな!」
「良いだろう!
俺が勝ったらてめえを死ぬまでギルドでこき使ってやるよォォォ!!」
「それで対戦はいつにしますか?」
「今すぐだ。」
「分かりました。ギルドの闘技場を使いましょう。」
こうして、単細胞ゴリラVS天使リラの決闘が始まった。
俺はリラの後ろの応援席に座る。
カリナさんはゴリラの後ろ。
「言っておきますが、ミコトさん。魔法でリラを手助けしたら、反則負けですからね!」
「俺が魔法使うまでも無いな。
ゴリラよえーし。」
「てめえ!!調子に乗りやがって!!お前の嫁、ボコボコにしてやる!!」
「その後、手足斬られて雷の拷問されたいならどうぞ?」
「ぐっ!あいつならやりかねない!!」
「ミコト、私緊張してきた・・・。
相手はあのギルドマスターだし・・・。」
「大丈夫。リラなら出来るよ。
リラ、魔法はイメージだからね。
魔法を使うときは強くイメージすると思い通りになるよ。
必ず勝とう。
俺と一緒に来るんだろ?」
「うん!私、勝ってミコトと一緒に行く!」
両者が闘技場の舞台に上がる。
闘技場の観客席にはぞろぞろと人が集まる。
『え、あれリラじゃない!?何でギルドマスターと!?』
『えぇぇぇぇぇ、こんなの勝負になら無いじゃん!』
『ギルドマスター!見損なったぞ!お前にプライドはないのかぁ!!』
『俺はリラに賭けるぞ!』
『お前馬鹿だな!一人負けだぜ?』
『リラちゃーん!頑張ってぇー!愛してるよぉぉぉ!』
最後のやつは後で拷問だな。
両者の間に審判が立つ。
えーこんなの勝負にならないじゃん!
何やってんの!?
って顔してる。
お前の驚愕する顔が楽しみだよ。
では、始め!!
ついに始まった!
「リラ、お前には悪いが倒させてもらうぞ!」
ギルマスが木剣を構え、リラに向かっていく。
二人の距離は5メートル程か。
「おらぁぁぁぁ!!」
(ギルドマスターが動いた!落ち着くのよ、リラ。
魔法はイメージ。
ミコトの真似をイメージする!!)
〘影縫い!!〙
「ぐっ!!何だ!アイツと同じ魔法だと!!
動けねぇ!!」
「な、何であの子が、あの魔法を!?」
カリナも激しく動揺する!
「いいぞ!リラ!トドメだ!!」
「わかった!!」
(私はギルドマスターを倒して、ミコトと一緒に行くんだ!!)
〘ウォーター!!〙
リラの放ったウォーターは先程、ミコトが放ったものよりも激しくギルマスの顔に放出された!!
「ぐぼぼぼぼ・・・!ガハッ・・・ゴボボボボ・・・!!」
ウォーターの勢いが強すぎて全く息が出来ないギルマス。
もうすぐ死ぬな!
「リラ!ストップだ!!」
「どうやって止めるの!?」
あ、止められなかったのね。
「それもイメージだ!
水が出なくなる様なイメージだ!!」
リラは水が出なくなるイメージをする。
リラの手から放出された水の勢いが徐々に収まっていく!
「やっと止まった!」
ウォーターが止まり、何とか生きていたギルマスだが、酸欠で死にそうだ!
リラが影縫いも何とか解くと、その場でギルマスは倒れる。
闘技場の観客席が余りの驚きに静まり返る。
「審判!判定は!?」
俺が審判に問いかける。
「・・・はっ!しょ、勝者、リラ!!!」
『うおおおおおおおお!!!』
『凄い!リラ!!ギルマスに勝っちゃったよ!!』
『よっしゃあああ!!俺の一人勝ちじゃァァァァ!!!』
『ぎゃぁぁぁぁ!!俺の今日の報酬がぁぁぁぁ!!』
『リラちゃーーん!僕の応援のお陰でかてたねぇぇぇ!!』
やっぱり最後のやつは殺そう。
勝負が終わり、その場に座り込むリラ。
俺は直ぐにリラの所まで行く。
「み、ミコト、私・・・勝ったよ!
これで・・・一緒に・・・。」
「今は休んでな。魔力使い過ぎだ。」
「もっと魔力を学ばなきゃね・・・。」
そう言って、俺に笑いかけるリラ。
超天使すぎる・・・!!
「し、信じられないわ!!
シリウスが負けるなんて・・・!
これは何かの間違いよ・・・!!」
座り込むカリナ。
「カリナぁぁぁ!!」
驚いた表情でミコトの方に顔をあげるカリナ。
「どうだ?これがリラの実力だ。お前が戦闘も出来ないと馬鹿にしたなぁ。
そんな、戦いも知らないリラがあのギルマスに勝ったんだ。
勿論、認めるよなぁ?」
「ぐっ!・・・解りました。
リラを認めます。」
「カリナさん・・・!!」
カリナの言葉に涙するリラ。
フラフラしながらも、カリナの前に歩いていく。
カリナの前に着くと、疲れで座りこんでしまった。
そんなリラがカリナさんに言った。
「カリナさん、認めてくれて有難う。
私にとってカリナさんはお姉ちゃんみたいな存在でした。
時に厳しく、時に優しく私を指導してくれました。
とても嬉しかった。
たった一年ちょっとだけど、凄い楽しかったです!!
こんな私を今日まで面倒見てくれて有難う御座います!!
この御恩は一生忘れません!!!!」
カリナに土下座をするリラ。
リラ!お、お前・・・まさか・・・○ンピースを知ってるんじゃ・・・!!!!
観客席から鳴き声と歓声が響き渡る・・・!
「リラ、私にとっても貴女は私の妹のような存在でした。
私も楽しかったわ・・・。
貴女のこと、応援してるわ!!」
「カリナさぁぁぁぁん!!」
号泣するリラの元にカリナは向かい抱きしめた。
その姿はまるで、本当の姉妹のようだった・・・。
さてと、
「おい、てめえ、いつまで寝てんだぁぁぁ??」
俺はギルマスを蹴っ飛ばす。
「ぐふっ!て、てめえ、何すんだ!!・・・あれ、ま、まさか俺は負けたのか!?」
「ああ、そうだよ!あのリラに瞬殺されたんだよ!!あのギルマス様がなぁ。」
「ま、まさか、そんな事が・・・!?」
「そのまさかだよ。
ギルマスの癖に無様だなぁ??」
「てめぇ!何調子に乗ってんだ!?」
「あぁ?てめぇだと?
誰に口きいてんだ??
お前言ったよな?
負けたら下僕になるってよぉ?」
「あっ!あ、あれはその場のノリであって・・・本気では・・・!」
「はぁ??俺は本気で言ったんだよ。
お前が負けるって分かってたからなぁ!!」
「お前、まさか最初からこれが狙いだったのか!?」
「そうだよ、単細胞ゴリラのことだから、ちょっと煽れば自ら出てくると思ったからなぁ!」
「ミコト、てめぇぇぇ!!」
「あ?ミコト様だろ?下僕のゴリラくん。」
「ちくしょぉぉぉぉぉ!!!!」
《マスター、さっきの感動のシーンが台無しです。》
そんなの知らん!!
俺は手下のゴリラを手に入れた。
本日も、読んで頂き、有難う御座います!!
これからも頑張って参りますので、応援の方、宜しくお願いします!




