第2章 ♯4 リア充の素晴らしさ
「お前、これからどうするんだ?」
おっさんが俺に尋ねる。
「先ずは素材売ってお金にしないとですね。今、1ダリルも持ってないので。」
「お前よく生きてこれたな。食いもんとか買えないだろ?」
「そんなこと無いですよ?モンスター倒して食べてましたから!」
ん?このやり取り、最近どっかでしたな。
あ、ダイモンだ!
「見かけによらず、ワイルドだな。」
あ、ダイモンと同じ事言った!
おっさん同士気が合いそうだな。
事実、シリウスとダイモンは飲み友達だった。
「リラ、今日はもう上がっていいわ。ミコト様を店に案内しなさい。」
「え、いいのですか?」
「ええ。ミコトさんを一人にすると問題起こすかもしれないから見張りも兼ねてです。」
失礼な!人を問題児扱いして!
ん、リラが案内?
リラと街を徘徊?
それって・・・
「デートじゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
「ぎゃー!いきなりなんですか!?」
「あ、失礼しました。カリナ様の粋な計らいに興奮してしまいました。これ、お礼の毛皮です。遠慮せず、受け取ってください。では、リラ、行きましょう!」
「え、あ、はい!では失礼します!!」
俺はリラの手を引き、部屋を出る。
「・・・この毛皮って・・・ワイルドビッグボア!?」
「えぇぇぇぇぇ!!あのビッグボアか!?貴族でも公爵くらいじゃないと、その毛皮は手に入らねぇぞ!?しかも、最高品質!?寄越せ、俺にそれを寄越せえぇぇぇぇぇ!」
「は?嫌ですよ!これは私が頂いたものですから!これであの憧れの毛皮のコート作るんじゃァァァ!!」
「くそぅ!何で俺の分も置いて行かねぇんだ!」
「そんな、喧嘩売られた相手にあげる馬鹿は居ないでしょう。」
「ぐっ!?カリナ、半分でいいから!コート作っても余るだろ?な、頼む!」
「結婚してくれたら考えます。」
「今すぐ結婚しよう。挙式は明日でいいかな?」
(よし!やっとこれで結婚出来るわ。今迄誤魔化した癖に。毛皮目当てなのは癪だけど、しちゃえばこっちのものよ!)
実は付き合っていた二人。
ユリウスが忙しいと結婚を先延ばしにしていた。
カリナ、29歳。
周りの友達は既に結婚済み。
実はかなり焦っていたのであった。
「これでビッグボア枕が作れるぞぉぉぉ!!!ひゃっほう!!!」
ビッグボア枕・・・貴族の中でも公爵しかもって居ないという、最早、国宝クラスの代物。快適な安眠が約束されているとかいないとか。
(私は考えると言っただけであげるとは言ってないけどね。)
自分の欲望が勝ち、何故ミコトがこれを持っているのか考えない二人であった。
俺はリラの手を引き、ギルドを出る。
途中、悔しそうにしてるやつもいたが、これはカリナ公認、ギルド公式のデートなのだよ!
誰も俺達の邪魔は出来ないのだよ!!
ははははは!
「さあ、リラ行きましょう!」
「あ、はい!ミコトさんの希望は素材販売ですね!何を売るんですか?」
「うーん、どうしようかな?今あるのがデーモンラビットの角と牙、ワイルドビッグボアの毛皮と牙、ビッグホーンディアーの角、カイザーキングベアの毛皮かな?」
「え?」
「え?」
「えぇぇぇぇぇ!!!どれも最高級品じゃないですかぁ!?」
「そうなの?いっぱいありますけど??」
「いっぱいあるんですか!?何処で手に入れたんですかぁ!?」
「何処って悪魔の森ですけど?・・・あっ!」
リラが可愛過ぎて、つい言っちまった!!
「悪魔の森・・・」
「リラ、どうかあのおっさんには黙っててください!あそこにはホントに行ってほしくなくて!」
「誰も行きませんよ!?あの森はSランク冒険者でも、半日居れればいい方と言われる前人未到の死の森ですよ!?何で無事だったんですか?」
「リラだけには言いますけど、寧ろ3ヶ月間暮らしてました。」
「えぇぇぇぇぇ!」
「ナイショですよ?」
「言っても誰も信じてくれませんよ?」
「でも、リラは信じてくれてるみたいだし。」
「ミコトさんの凄さを知ってるからです!あのギルドマスターを圧倒したんですから!」
俺もリラのそのけしからんものの凄さを知りたいです。
だ、駄目だ!今はデート中!紳士に対応だ!
「あのおっさん、そんなに凄いんですか?」
「凄いってもんじゃないですよ、王都で1番強いんですよ?騎士団長をやってた人なんですよ!」
「じゃあ、騎士団も大したこと無いんですね。」
「・・・いや、ミコトさんが凄すぎるだけです!」
ホントはスマホが凄すぎるだけだけどね!
《ちゃんとそこは理解してるんですね。調子に乗ってる馬鹿では無かったんですね。》
うるせぇ!俺だってそこまで馬鹿じゃねえ!
今の俺があるのはクールビューティー創造神様とお前のお陰だってことはちゃんと解ってるわ!
《ふふ、解ればいいんです。》
くっ!Ririというかスマホが有能過ぎて何も言えねえ!
「しかし、そんな凄い素材だと並の買取屋さんでは無理ですねえ。大きい商会に行きましょう!」
大きい商会?
「貴族のやってるとこは止めてくださいね!あいつらクソなんで!」
「ホントにミコトさんは貴族嫌いなんですね?」
「大嫌いですね。クソ貴族は俺が潰そうと思ってますし。」
リラの事は大好きだけどね!
「・・・ミコトさんなら出来る気がしますが、危ないことは止めてくださいね?ミコトさんに何かあったら・・・」
リラが俺の手を強く握る。
皆さん、お気づきだろうか?
俺は今までずっとリラと手を繋いでいたのだ!
部屋出るとき、勢いで繋いだけど、リラは嫌がらず、ずっと繋いでくれた!
大天使、リラ!!
「大丈夫ですよ!リラを心配させることはしませんよ、・・・多分。」
「多分!?絶対しないでくださいね!約束ですよ?」
え、これ抱きしめていいですか?
その心配そうな顔がたまらん!!
「仰せのままに。」
「良かった。それとずっと思ってましたが、私に敬語は要りませんよ?」
「いや、つい癖で・・・」
俺は年上と素敵な女性にはつい敬語になってしまう。
「もっとミコトさんと仲良くなりたいのでお願いします!」
「止める。敬語今すぐ止める!!」
「有難うございます!」
「リラも敬語止めていいよ?」
「え。でも私は担当なので・・・」
「俺もリラと仲良くなりたいな。」
リラの顔が物凄く赤くなる。
「ミコトさんがいいのであれば・・・」
かーわーいーいーーー!!!
「・・・これからも宜しくね、み、ミコト。」
ズキューン!!
俺、今リアルを充実しています。
リア充です。
リア充サイコぉぉぉぉ!!
「あ、ここなら大丈夫かな?」
俺たちは大きな商会につく。
【サラビノ商会】
ん?どっかで聞いた名前だな?
俺たちは商会に入った。
中には所狭しと商品が並んでいる。
前の世界の大きなスーパーみたいな広さだ。
店の中には沢山の冒険者が商品を物色している。
俺たちは奥の買取コーナーに向かう。
一人の若者が担当しているらしい。
「いらっしゃいませ!買取ですか?」
「はい!取り敢えず、これを!」
アイテムボックスから兎の角を出す。
「こ、これは・・・!?!?少々お待ちください!!」
慌てて店の裏に引っ込む若者!
「会長!ちょっと来てください!!デーモンラビットの角を売りに来た人が来ました!!」
「何ぃ!?盗品じゃ無いだろうな!?」
「わかりません!対応お願いします!」
店の奥から会長がやって来る。
「ほ、ほんとにデーモンラビットの角だ!!失礼ですけど、これは盗品じゃ・・・ぎゃぁぁぁぁ!!」
店の中に会長の声が響き渡る。
客は全員びっくりしていた。
「か、神様!じゃなかった、ミコトさま!王都にい来られていたんですかぁぁぁぁ!?!?」
そう、会長はサラビノだった。何となく気づいていた。
「お、お知り合いなの?」
「うん、前に村の復興を手伝ってた時にお世話になったんだぁ。」
「お世話だなんて滅相も無い!寧ろ、此方がお世話になった次第であります!!」
サラビノは五体投地で恐縮する。
「ご、五体投地!?ミコトとサラビノの間に何が!?」
混乱するリラ。
「ミコト様のお陰でこの商会もこんなに大きくなりました。そんなミコトさまには頭が上がりません!!」
めり込むくらいに頭を床に擦り付けるサラビノ。
いや、頭上げないと話出来ないんだけど。
「取り敢えず、頭を上げてください。俺は買い取って欲しくて此処に来たんですから!」
「は!仰せのままに!」
直ぐ様、買取コーナーの席に座り、対応するサラビノ。
「この角だけど、幾らになりますか?」
「1億ダリルです。」
「は?」
「1億ダリルです。」
「えぇぇぇぇぇ!1億ダリル!ミコト凄い!凄い大金!」
大騒ぎのリラも可愛い♡
だが、しかし!
「サラビノさん、貴方嘘ついてますね?ホントは1億2千万ダリルですよね?」
「えぇ、何で解ったんですか!?」
もうちょっと抗えばいいのに素直だな。
「俺に嘘は通用しないですよ、嘘ついてる人は判るんで。てゆーか、あの2時間じゃどうやら足りなかったみてぇだなぁぁぁぁ??俺に嘘つくとはいい度胸だなァァァァ!!!」
「ひぃぃぃぃ!!ごめんなさァァァい!つい癖で、安く見積もりましたぁぁぁぁ!!1億2千万ダリルお支払いしますからゆるしてくださぁぁぁい!!」
余程あの説教が効いたのか、恐怖で青ざめている。
ということで。
1億2千万GETしましたぁ!!
「ミコト凄い!一気に大金持ちだね!」
「ああ!リラ、これでご飯食べに行こう!」
「え、ご、ごめんなさい!!」
「えぇぇぇぇぇ!」
いきなりのごめんなさい!?
そうだよな、嬢王に言われたから着いてきただけで、好きでも無い男となんて行きたくないよな・・・。
くそぅ、終わった!
俺の恋はお、し、ま、い、DEATH!!
流行りに便乗してすいません。
「ごめんなさい、実は家に病気の両親とまだ小さい妹がいて、ご飯を作らないといけないの!ホントはミコトと行きたかったけど・・・」
終わってなかったぁぁぁぁぁ!!!!
つい心眼で見ちゃったけど、嘘もついてない!!
って、
「え、ご両親病気なの!?」
「うん・・・一年前から。親が不治の病になってから私が働いて、ご飯も作ってるの。」
なんて健気な天使!
じゃ、無かった!
「家何処?両親に合わせて!!」
「え!でも!」
「いいから早く!」
俺たちは急いでリラの家に向かう。
家ではまだ5歳くらいの女の子が看病をしていた。
両親は寝込んでおり、熱に魘されている。
「パパ、ママただいま!お客さん連れてきたよ!リノも看病ありがとね。」
「お姉ちゃん!おかえり?だあれ?お姉ちゃんの彼氏?」
「ち、違うよぉ!私が担当したるミコト・・・さんよぅ!」
顔を真っ赤にして慌ててるリラ。
ナイス勘違いだ、将来の妹よ!
いや、いまはそれどころではない。
「ご両親の様態を見せて!」
リラの両親はやせ細っていた。
やばい状況かもしれない。
《マスター、この人達呪われています。》
呪い?何かしたのか?
《わかりませんが、呪術で呪いをかけられてる状態です。》
じゃあ、この魔法だ!
《カースヒール!》
カースヒール
呪術による呪いを解く魔法
魔法をかけられたリラの両親はみるみるうちに顔色が良くなり、熱も下がる!
「あ、あれ?どこも苦しくない?」
「嘘!?あんなにキツかった身体が動くわ!!」
「お父さん!お母さん!治ったの!?」
「うん、そうみたいだ?」
「リラ、もう大丈夫よ!今までありがとね。」
体力は落ちているが元気になった両親。
それを見てリラは泣き出す。
「ミコト!」
リラが俺のもとにきて、俺を抱きしめる。
「ありがとう・・・ありがとう・・・!ミコトのお陰で・・・!お父さんと・・・!お母さんが・・・!うわぁぁぁん!!!」
俺の胸で泣く、リラの頭を撫でた。
「リラ、頑張ったな。辛かったな。もう大丈夫だよ。」
「うわぁぁぁあん」
両親の元ではリノちゃんが泣いていた。
この姉妹はホントに頑張ったんだな。
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