第1章 ♯24 プロポーズ
俺が村に来てから1ヶ月になろうとしていた。
荒れ果てた村はすっかり復興に近づいていた。
村人はひたすら塩、胡椒、塩胡椒、醤油を作る。
野菜や米もどんどん成長するので、村は豊かになっていった。
「よし、全員集合!!」
俺が村人全員を呼び出す。
「そろそろ王都に今迄作ったものを売りに出したいと思う!」
「「「おおお!!!」」」
待ってました!と言わんばかりに村人は盛り上がる!
明日は王都でバザーが開かれる。
俺たちはサラビノの働きにより、バザーの一画に店を出すことを許された。
「明日のバザーでみんなが頑張って作った商品を売り出す。この売り上げによって今後の村の発展が決まるだろう。今回は俺とルーカスさんとアンナで売りにいく。」
ルーカスはアンナの父親。
村長の次に偉い。人望もある。この前のクソ貴族のモンスター騒ぎのとき、1番最初に逃げ出した村長とは違った。
あれは早かった。
「ちょっとまったぁ!!!」
大声を出して待ったをかけるのはアスラだった。
「俺に・・・俺に行かせてください!!力仕事とか足引っ張るだけで、役に立たなかったけど、商売には自身があります!俺は一人前の商人では無いけど、この村の為に全部売ってみせます!俺もこの村をもっと豊かにしたい!いつか、この村に店を出したいんです!!どうか、お願いします!」
力仕事があまりにも無能だったので邪魔だから1度王都に返したアスラが戻ってきた。
「アスラくん・・・」
「全部売り切ってルーカスさんに認めてもらいたいんです!」
ん?ルーカス?
「ルーカスさん、俺が全部売り切ったら、アンナとの結婚を許してください!!」
・・・はぁぁぁぁぁ???
結婚!?こいつ、アンナとイチャコラしてたのかよ!?
「駄目だ。」
ルーカスさんではなく、俺が言う。
「は?」
「お前の同行は俺が許さねぇぇぇ!!!」
「えぇぇぇぇぇ!何でですかぁぁ!?さっきの流れで許す感じじゃないですかあ!!!」
「ウルセェェェ!俺はお前の結婚なんて認めねえって言ってんだよぉぉぉ!!」
俺はアスラの襟を掴み、持ち上げる!
「ぎゃぁぁぁぁ!神様がご乱心だぁぁぁ!」
「アスラの癖に俺より先に結婚だとぉぉぉぉ!!ふざけんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!リア充なんて死ねばいいんだぁぁぁぁぁ!!!!」
「えぇぇぇぇぇ!リア充ってなにぃぃぃぃ!?!?!?」
結局、ルーカスさんに纏めてもらい、俺とアスラとルーカスさんで行くことになった。
翌日、3人は王都に出発する。
量が凄いのでアイテムボックスに仕舞う。
王都には馬車で3時間もあれば着く。
「おおー、やっば王都はデカイな!!」
初めての王都に関心する。
「バザーは真ん中の大広場ですよ!」
広場では早く店を出そうと商人たちが店の準備を急ぐ。
とても活気に溢れている!
「よし、俺達も急いで準備するぞ!」
「「はい!」」
ルーカスさんの言葉に俺たちは答える。
30分くらいで準備が終わった。
「さあ、いらっしゃいませ!」
アスラが張り切って売り込むをする。
店を出して一時間、
一向に売れない・・・
そりゃそうだ!
こんな訳の分からんもの買わないよな(笑)
「ミコト様、全然売れません!」
「これはやばいなぁ。」
アスラとルーカスがいう。
「アスラ、昨日の意気込みは何処行ったんだ?」
「まだまだこれからですよ!!」
「しかし、誰も振り向きもしねえしなぁ。」
「うっ!!」
「アスラ、こんなんじゃお前が店を持つなんて、夢のまた夢だ。何もわかってない。」
「じゃあ、ミコト様は解るんですか!?」
アスラがムッとする。
「アスラとルーカスさんにヒントをあげよう。俺がこれらの商品を皆に教えたとき何をした?俺がそれをすることで皆はこれが何なのかわかったはず。」
(ミコト様がしたこと?あ!!そうか!!初めて醤油を見たとき、何だか判らなかったが売れると直感が働いて売れると言ってしまった。その後、生の魚、醤油を塗った三角の米を焼いたもの。食べた後は予感が確信に変わった。そうだよ、何で気付かなかった!商人失格だ!)
アスラの顔つきが変わった。どうやら気付いたみたいだ。ルーカスさんはまだかな?
「神様どうやったっけ?」
意外と残念だ。
「ミコト様!俺ちょっと知り合いで肉売ってるやつの処行ってきます!」
走って何処かに行くアスラ。
「どうやらわかったみたいだな。お前の実力見せてもらうよ。」
「任せてください!!」
「なあ、神様。アイツ何処行ったんだ?何で肉屋なんだ?店放ったらかして。」
「え、ルーカスさん、まだ解らないんですか!?意外と脳筋何ですね!」
「脳筋??」
「頭悪いってことです!」
「うっ!」
「いいですか、俺たちが売ってるものは調味料。調味料は料理の中では殆ど脇役なんです。脇役は主役を引き立てるものです。そして、主役も脇役を引き立たせるんです。」
「そうか、調味料だけだから駄目なのか!」
「そうです。それを何に使うのか、使ったことでどうなるのか。それを客に実感させなくてはいけません。」
「客に食わせるのか!」
「アスラは今、主役を調達しにいったんでしょう。」
肉ならいっぱい俺が持っているが、これは出さない。
俺が持っている肉は悪魔の森で獲った最高級品。それを出すと最初は肉のお陰で上手くて買うが、家に帰り、普通の肉で食べると味が落ちる。騙されたと思い、リピーターはつかない。
アスラもそれに気づいたのだろう。
俺には頼らず、肉屋に行ったのだから。
ちょっとしてからアスラが帰ってくる。
肉屋の知り合いも大量の肉と共にやってくる。
「初めまして。王都で肉屋をやっているサーラと申します。お肉が飛ぶように売れるからとアスラさんに言われやって来たのですが、ホントですか?」
連れてきた肉屋は20代前半くらいの女のコ。
真面目そうだが、可愛らしい少し背の低いコだ。
アスラは王都でこんな可愛いコと仲良しなのか。
・・・アンナに報告しておこう。
「初めまして。キサラギ ミコトです。うちの商品と一緒に売れば必ず売れますよ。俺たちを信じてみてくれませんか?」
「わかりました!一緒に頑張りましょう!」
俺はRiriに頼み、バーベキューコンロと木炭、鉄板を用意する。火がついて鉄板が熱くなる。
先ずは肉を焼く。焼いた肉に醤油をかける。
俺たちの店から醤油焼けた香ばしい匂いが漂う。
匂いに釣られ客がやってくる。
「お、ここの店はいい匂いがするな!何売ってるんだ?」
一人の客が聞いてくる。
「うちではお肉とこの調味料というものを売ってるんですよ!どうぞ、無料で一口食べてみてください!」
アスラが接客をし、客に試食させる。
「うぉぉぉぉぉ!超美味いぞ!なんだ、これ!こんなの生まれて初めて食べたぞ!!!」
初めての客のオーバーリアクションに人が集まってくる!ナイス、サクラ!!
「「「うまーーーーーい!!!」」」
試食した人たちが揃って感動する。
「この肉は実はこのサーラの肉屋で売っている肉なのですが、俺たちが作り出したこの調味料をかけると、あら、不思議!ただでさえ美味しいロックス精肉店の肉が更に美味しくなっちゃいます!この調味料、塩は肉だけでなく魚を少々かけても美味しくなっちゃう!胡椒は香りがよく、少々辛いのでスープ等に使うと味が変わって美味しくなっちゃう!塩胡椒はお肉の味を最高に引き立ててくれ、いつものお肉が2倍3倍と美味しくなっちゃう代物ですよ!」
アスラの口が饒舌になる。
しっかり浮気相手の店の宣伝もしつつ、
試食の効果もあって調味料が売れ始める!
次々と客が押し寄せ,夕方になる前には完売となった!
「よし、完売だ!」
「ミコト様、やりましたよ!完売ですよ!俺、こんなに清々しい気持ち初めてです!!」
泣きそうになりながらも喜ぶアスラ。
「うちのお肉も大盛況で過去最高の売り上げです!ミコト様、本当に有難う御座います。」
手を握られお礼を言われる。
ほ、惚れてまうやろぉぉぉぉ!!
くそぅ、アスラもこれにヤラれて現地妻を・・・!
「サーラさん、今日は有難う御座います。あ、そうだ試食で使った分の肉はお返ししますね!」
俺はアイテムボックスから熊肉を出す。
「いえいえ、うちも儲けさせて頂いたので・・・え、このお肉は・・・まさか、カイザーキングベア!?えぇぇぇぇぇ!!あの幻の!?え、なんで!?」
「いっぱい持ってるし、お世話になったので!お礼も兼ねてです。」
「え、いっぱいあるんですかぁ!?けっ結婚してください!!」
「は?」
「はっ!私ったらはしたない!!」
「サーラは肉に目が無いんですよ、肉屋の娘なもんで!それにしても、肉に目が眩んで結婚を申込むなんて(笑)」
「すいません!忘れてくださぁい!」
肉目当てかよ!!
ドキッとしちまったじゃねえか!!
「おーい、そろそろ帰るぞー!」
ルーカスさんは帰りたそうだ。
かなりの売り上げを早く村の皆に報告したいのだろう。
「アスラ、帰るぞ。サーラさん、また会いましょう。では、これで!」
「はい!またお会いしたいです!」
肉にね。
アイテムボックスの中の肉全部見せたらホントに結婚出来そうだ(笑)
王都からの帰り道、アスラにお礼を言われた。
「ミコト様、有難うございました。」
「何が?」
何だ急に。気持ち悪い。
「ミコト様のお陰で、気付かされました。俺はまだまだでした。良いものなら売れる!としか思ってなく、その商品の良さをお客様に知って貰うと言うことを忘れてました。商会では良いものを見る目は育ちましたが、売るということは勉強出来ませんでした。俺、もっと勉強して立派な商人になります!結婚はもっと俺が一人前になったら改めて申込みます!」
「てゆーか、俺はアンナを嫁にやる気はないけどな。」
ルーカスさんが父親の顔になり、本気で言ってる。
「えぇぇぇぇぇ!折角、俺が良いこと言ったのに!お願いします!お父さん!結婚をお許しください!!」
「お前にお父さんと呼ばれる筋合いはなぁぁぁい!」
「お父さぁぁぁぁん!!!」
ホント、いい話が台無しだな。
まぁ当分結婚出来なそうだ。
ざまあみろ。
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