楽しい?
朝日が昇る。
僕は日課のジョギングをしていつもの場所で休憩、
そこは海が見える公園で、
朝は人がいないのでそこで軽く運動して家に帰って来る。
帰りの道では同じ場所で犬の散歩をしているおばさんに、
毎日のように会う。
「おはよう、今日もいいお天気ね。」
「はい、いいお天気ですね。」
ぼくは毎日おばさんに話しかけられる。
朝日が昇る少し前に家を出て薄暗い中を走る、
朝の澄んだ空気、人のいない町、
いつも休憩する海の見える公園のベンチ。
それが大好きだった。
それだけが大好きで、
あとは僕の世界からすべて消えてしまえばいいと願っていた。
今日は会議があるので早めの出社。
僕はいつも通り職場に向かう。
上司に気を使い、楽しくもない仕事をして、
安い給料をもらっている。
恋人もいない、好きな人もいない。
友達は何人かいるけど、
深い付き合いではない。
こんな人生でいいのか?
そんなことを考えながら歩いていると、
「人生は長い!楽しいを仕事に!」
という大きな転職サイトの広告が見えた。
女の人がスマホを持って微笑んでいる。
楽しいを仕事に?
楽しいってなんだろう?
今の僕は楽しいもわからない。
「人生は長い」その言葉を聞いて、
人生何度でもやり直せる!って思う人がいるのか?
今の僕には恐怖の言葉だ!
1日なんて3時間でもいい!
生きることにどんな意味があるんだ?
生きることに意味なんていらないのか?
誰にも必要とされない人生。それが僕の人生なのか?
そんなことを考えていると急にめまいがして僕は立ち止まった。
頭がくらくらして周りの景色が歪んだ。
次の瞬間、
僕は自分のベッドの中にいた。
つづく