レポート83 闇に棲むもの
なんとかこの連載を目立たせられないか、といつも考えている。
その手段の1つとして、24時間連続投稿というのも考えてみた。
しかも1週間連続で。すると24掛ける7で、168話分のストックが要る。
無理です。
(少し眠ったら)
レータが言った。確かにそうだ。ここで寝ておかなければ、身体がもたない。
目を閉じる。が、そうやって星の光を遮断し、完全な闇に身を置くと、ざわざわとした不安に襲われてかえって眠れなくなった。
(レータ)
(なに?)
(眠ろうとすると、フラを奪ったドグエ族を思い出しちまう。あの真っ黒なやつが、川の中に潜んでいる気がするんだ)
(大丈夫よ。なにかあったら起こすから)
(それに、ペンペンのことも気になる。少し眠らせてやらないと、明日が大変だ)
(そうね。わかったわ。このあたりで上陸して、日の出まで寝ることにしましょう)
(きみも眠るのかい?)
(わたしは、ときどき仮眠をとるから平気。戦場で、土に穴を掘って休んだときは、いつゲリラに襲われるかわからないから、1度に10分以上は眠らなかった。でも5分も寝れば、半日もつから)
(戦争に行ったんだ)
(わたしはまだ2回だけど)
(そうか……戦争って、なくならないかな)
(人間に欲があるかぎりは、ね)
世界から争いをなくす。それが、ぼくに与えられた使命だった。
(ジャングルの宝を手にすれば、世界を変えられるって聞いたけど、それは本当?)
(わたしもそう聞いてる。まだ宝を手にしたものがないから、本当のところはわからないけど)
(でもドグエ族は、宝を守ってるんだろう? やつらの長が、宝の持ち主なんじゃないのか?)
(長にも手は出せないわ。彼らは邪神を信仰していて、お宝が彼らの住むジャングルにあることで、自分たちが護られていると信じてるの。たとえ長であっても宝を自分のものにしようとしたら、邪神の怒りを恐れる住民に、殺されてしまうでしょうね)
(それを奪おうとした人は、これまでどのくらいいる?)
(わからない。10人かもしれないし、100人かもしれない)
(みんな殺されたのか?)
(中には殺された人もいるでしょうね。大半は、逃げたと思うけど)
(あるいはきみみたいに、虫にされたか)
(そうね)
(きみも、宝を奪おうとしたのか?)
(……ええ)
(どうして?)
(面白そうだったから)
(面白そうか。世界を変えたかったわけじゃない?)
(そこまで考えてないわ。変えたほうがいいのかどうかもわからないし。ジャングルでの戦争に敗けて、強制労働させられてたときに、宝の噂を聞いて好奇心が湧いちゃってね。仲間と脱走して宝探しに挑んだけど、全員捕まって虫にされた)
(きみが犯した7つの罪って、脱走のこと?)
(知らないほうがいいわ)
(どうしてさ。その罪が理由で、長は呪術師に命じて、きみらを虫に変えたんだろう? 今からぼくもジャングルに行くんだから、なにをしたら罪になるのか、あらかじめ知ってたほうがいいじゃないか)
(知らないでいたほうが安全よ。さあ、この辺で上陸して、明日に備えて寝ましょう)
ぼくはペンペンに言って、接岸させた。腹の上で寝ている猫たちを、そーっと腕に抱えて身体を起こす。猫たちは、ぐっすり眠ったままだ。
「疲れたろう、ペンペン隊員」
「ぺンペーン!」
ペンペンはぼくに向かって敬礼し、ニマニマッと笑った。
ぼくは寝ている猫たちを、ペンペンのお腹のモフモフに入れ、横になれる場所を探して岸を歩いた。
「草の上だと、湿っぽくて眠りにくいな。ペンペンは、石のほうが寝やすいだろう?」
「ペンペン!」
「この砂利の上で寝ようか。悪いが隊長のぼくは、きみのモフモフの中で寝させてもらう。それでいいかい?」
「ペンペーン!」
「ありがとう。きみの母親代わりのフラは、きっと奪い返してみせる。ついでに宝が手に入ったら、魚を山ほど買ってやるからな」
「ペペ、ペペーン!」
ペンペンが、フリッパーで目をごしごしこすった。ぼくがフラのことを言ったから、つい思い出してしまったのだろう。
ぼくはペンペンの背中を叩いて、眠るように命じた。ペンペンは素直に横になったが、いつまでも鼻をぐずぐずさせた。まだ人間にしたら赤ん坊の年齢だから、母親が恋しいのは仕方がない。
そろそろぼくも眠ろうと思ったときだった。
空が急に雲に覆われ、物の輪郭もわからぬほどの闇夜になった。
強風が音を立てて吹く。異様な寒さ。全身に鳥肌が立つ。
闇にじっと目を凝らす。なにかがいる気配がした。
それは近づいてくる。闇の中でも自由に動ける、夜行性のなにかが。
ぼくはペンペンのモフモフに手を入れ、銃をつかんだ。コルトパイソン。
そいつの吐く息が感じられる方向へ、ぼくはゆっくりと、震える銃口を向けたーー
PV4822
LV48
そろそろアクションが欲しいところだが……




