レポート72 ぼくは生徒を見捨てない!
ぼくの好きな言葉。
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「活動報告にコメントが書かれました」
「感想が書かれました」
怖ろしい言葉。
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ペンギンから発射されて空を翔んだぼくは、地面に激突して一巻の終わりと思ったそのとき、逞ましい腕の中にスポッと収まった。
「あっ、きみは第3章でぼくが倒した山のボス、ドンチーゴリラ!」
「そうだ。山を追われたおれさまは、こうして街をうろついているのだ」
「かわいそうに。ぼくから門番に言って、山に帰れるようにしてやろうか?」
「フン。平和になった山なんぞに興味はない。街でひと暴れしてやるさ。それっ!」
ぼくはドンチーゴリラに投げられて、夜空にアーチを描き、再びペンギンのモフモフの中に入った。
「このイタズラペンギンめ! さっさと旅館に帰れ!」
こうして無事旅館に帰ったぼくは、一晩死んだように眠り、翌朝みんな揃って女子校に出勤した。
ペンギンを連れて、まずは池の鯉の様子を見に行く。元気にスイスイ泳いでいる。子猫たちが寄ってきて、こわごわ池を覗く。昼寝猫も来て、ペンギンのモフモフの中に入った。
「フニャーゴ」
「ペンペーン!」
「おまえら仲いいな。いいか、池の鯉は食べるんじゃないぞ。飼育部で育てるんだからな。ま、部といっても、部員は今のところ琴美しかいないけど」
ペンギンはそこに残して、職員室に行った。まだ早かったので、フラとアドバイ爺のほかには、お色気の桜井先生しかいなかった。
「モフモフちゃん、やっぱりわたしにくれません?」
「あの子は、ものすごく魚を食いますよ。先生に養えますか?」
「校長から、養育費をもらいますわ」
「愛情を持って育てますか?」
「もちろん!」
「そうですか……ぼくもいずれは、冒険に旅立たねばならぬ身です。そうすれば飼育部も消滅。でも今は、ぼくに預けてほしいのです」
「どうして?」
「琴美に育てさせてみたい。それだけです」
「どうして琴美ちゃんなんです?」
「いいですか、桜井先生」
ぼくは少々、語調をきつくして言った。
「彼女たちは、なんでホストクラブなんかに行くんです? これまで学校は、彼女たちになにを与えてきたんですか? 梨菜と結衣には、フラ先生とアドバイ先生が課題を与えました。そうしたら、彼女たち、精一杯それに応えてるじゃないですか。彼女たちを手に負えない生徒だと見限る前に、やることを与えてやってください。わかりましたか?」
「…………」
桜井先生は、プイッと席を立った。すると入れ替わりに人面先生が入ってきて、机に突っ伏すなり、はあーっと恐ろしく深いため息をついた。
「どうしたのかしら、人面先生。錦鯉の色が、心なしかくすんで見えるけど」
フラが心配そうに言った。ぼくは肩をすくめ、
「道ならぬ鯉、もとい、恋に悩んでるんだろう。人面先生は一直線だから、駆け落ちしちゃうかもしれないな」
まだ時間は少々早かったが、3年1組の教室に行ってみた。ドアのガラス越しに覗くと、生徒が一人、ぽつんと窓際に坐っているのが見えた。
琴美だ。
ぼくはドアをあけて、教室に入った。
「おはよう。早いな、琴美」
「…………」
「池の鯉は、元気だったぞ。見に行くか?」
「…………」
「ペンギンと白猫は、すっかり仲良しになった。友だちっていいもんだな。なあ?」
「…………」
「おい、琴美。なにかぼく、気に障ることでも言ったか?」
「……別に」
「じゃあどうして、返事をしない」
「疲れてる」
「なにに?」
「男の不潔さによ」
琴美がガンをつけてきた。ぼくはにらまれる意味がわからず、しばらく黙って琴美を見ていたが、とりあえずなにかを言わなくてはと思い、
「あのペンギン、育ててみないか。あいつ、ああ見えて、寂しがり屋なんだ。バイオ動物だから、お母さんもきょうだいもいないらしい。あいつのお姉ちゃんになってくれると、先生は嬉しい」
「わたしにだって、お母さんなんかいないよ」
「あれ? そうだった?」
「お姉ちゃんもいないし。どうやったらお姉ちゃんになれるの? ねえ、先生だったら教えてよ」
「…………」
答えられずにいると、ほかの生徒たちがぽつぽつ来だしたので、ぼくはドアのところに行き、一人一人と挨拶した。
「じゃあ先生、特別授業を始めて」
琴美に言われて、ぼくはえっと驚いた。
「担任の朝礼は?」
「なしになったの。早くやってよ」
「えー、それでは……」
ぼくはもう一度、自分の夢の話をした。ぼくにはそれしか、人に語れる話がなかった。
「……何度も何度も、ぼくは挫折しました。今度こそいいものが書けたと思い、ドキドキしながら郵便局で送り、数か月後に落選の結果を知る。今のところは、ひたすらその繰り返しだけどーー」
「ユメオ先生」
授業の途中でドアがあき、バイオ博士マンこと校長先生が声をかけてきた。
「なにをしとるのかね?」
「なにをって、今まさに、授業の真っ最中です」
「リハーサルということか?」
「はい? この学校では、授業にリハーサルがあるんですか?」
校長が難しい顔をし、不思議なことを言った。
「ふむ。今全校生徒は、視聴覚ホールでビデオを観ている。わたしがこの街に張り巡らせた隠し撮りカメラ網によって作成した、ドキュメンタリー映像をね」
「……全校生徒?」
ぼくは3年1組の生徒たちをぐるっと見まわし、喉の奥から絞り出すようにして言った。
「もしかして、きみたち全員……不死怨?」
生徒たちは消えた。
「……くっ」
この学校では、怪奇現象までぼくをおちょくるのか!
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我が読書歴 第21回
レビュー本、ハウツー本にはまったことを書いた。
ほかにも、エッセイ本にはまった。好きなエッセイはいくつもあるが、中でもいちばんはまったのが、
「アシモフの科学エッセイシリーズ」(ハヤカワ文庫NF)です!
科学エッセイなのに、内容が古びない。それは結局、誰が読んでも面白いように書かれているからです。




