真なる絆。究極の救世の力。
――彼を救いたいと心から願い、自分の命をも惜しまない覚悟がある存在でしたら、すぐそこに、居るでありますよ?』
使徒レミナの、その視線の先には……。
崩れ行くカルシファーの前で、大声で泣き崩れる鴉さんが居た。
『私のこれからする話を、全員よく聞くであります!
彼を救う術は、普通はどこにも存在しないのであります。
もし他にあるとするならば、それは奇跡だけであります。
ですが、普通なら有り得ない事を可能にする、その奇跡を起こすだけの《何か》も当然必要であります。
――私はそれを《愛》だと、そう答えるのであります。
親兄弟、そして恋人……家族。つまりそう言った関係性。
例え、自分の命を犠牲にしてでも、その者を救いたいという――その《真の絆》こそが、今必要なのであります!』
『……あるぞ! 私には、その覚悟がある! レミナ殿。
もし彼が助かるならば、私のこの命など捧げましょう』
使徒レミナの呼び掛けに、鴉さんは気丈にもそう応じたのだ。
『それで結構であります。これで、最低条件はクリアしたであります。
そして彼を救うには、時間はもう残されていないであります』
俺達は、使徒レミナの指示通りに動いた。
全てはカルシファーを助けるために。
カルシファーの周囲に、俺たち全員が配置に付いた。
――そして、俺は救世スキルを発動させた。
俺から鴉さん、鴉さんからカルシファーへと、光の放流と共に救世の力が注ぎ込まれていく。
『救世の力、強い想い、そして自己犠牲。
その者と、深い絆を結んだ者の献身により、全てが合わさり究極の絆――愛の力となる。
その力が不可能を可能にする、奇跡を起こすのであります!
さあ目覚めよ、カルシファー! 蒼竜族の偉大なる戦士よ』
救世の光は、鴉さんの全身を包み込み更に大きく、今までとは違うとても暖かな光の塊となり、崩れ行くカルシファーの体の中に入って行った。
(傍にいた筈の鴉さんが、大きな光の塊になって消えた!?)
究極の救世の光、そのあまりの眩しさに、皆が目をやられてしまう。
……激しい光の奔流が収まるまで、俺達はひたすら祈った。
カルシファーも、鴉さんも無事に生きている事を。
(頼む。今度こそ成功であってくれ!)
そしてやがて、激しい光の奔流。救世の光が収まった。
やっと視力が戻った俺達は、彼と彼女が居た場所を見た。
――そしてその場所には、どこか鴉さんの面影を残す、黒髪の少女が横たわって居たのだった。
その少女の腕の中には、まるで生まれたばかりのような、蒼い鱗をした竜の子が大切に抱かれていた。
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