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《救世》発動

今月は毎日。毎日更新。98話頑張りました!


31日連続で更新中。

 使徒レミナが、冷静にそして淡々と、奴を締め上げる姿に、正直俺は恐怖した。


――俺は決して、自分が原因で彼女を怒らせてはならない、固く心に誓った瞬間だった。


《汝その者を怒らす事無かれ》


【グガハッ! ク、クククッ。これ、で、終わりだ、と思って、いる、のデスカ、ネェ~? 全く、御目出度い、奴ら、デスネェ~? このワタクシが、このまま、何もしないで、滅されると、思っている、デスカネェ? ク、クククッ! しかしもう、遅いの、デスネェ……。貴方達の悔しがる顔が、直接見れない事だけが、非常に残念デスネェ~! クークック! (グボァッ)】


(……何だと!? それは一体どういう事だ!?)


『その件について、詳しく話すであります! 吐け』


 使徒レミナは、仮面の男ジェスターの胸倉を掴み、体を揺さぶって問い詰めようとした。


(カランッ)と奴の仮面が、顔から落ちて砕けた。


――かつて、ジェスターだったもの。その仮面が、完全に外れ砕けた時だ。


 それまでの姿は消え去り、使徒レミナの手には、そこらに居たと同じ程度な異形者の死体だけが残されていたのだった。


『こ……これは偽者でありますか? そんな、まさか。確かにさっきまでジェスターの気配が』


 使徒レミナは困惑していた。


「……どうやらまんまと、逃げられたって事かな。しかし厄介な相手だ」 

 

(だがしかし、奴ならもう正直いつでも追跡出来る)


――それよりも、今はカルシファーだ!


 俺は奴の後に残された、異形者の埋葬。救世を済ませた。

 

 そして、最後に残された光の残滓が、俺の体に染み込む様に消えていく。


(……救えなくて、すまない)


 俺は瀕死で動けないカルシファーの元へと移動する。


『ユウコ殿、頼む。絶対カルシファーを助けてくれ!』


 鴉さんは、最早動けぬ彼を凝視しながら俺に頼んだ。


(分かっているさ。今度こそ絶対に助ける!)

 

 念の為、皆でカルシファーを押さえつけるような配置をした。


 使徒レミナだけは、腕を組んで厳しい表情のまま、俺の傍に立っていた。


――鴉さんに向かって頷き、カルシファーへと語りかける。


「聞こえるか? カルシファー。私達はお前の味方だ。今からお前を、助けようと思う。傍には鴉さんが居るのが分かるか? お前のつがいなんだろ? 早く元気な姿に戻って、お前の笑顔を見せて、彼女を安心させてやれよ。大丈夫、私が何とかしてやる。だからよく聞くんだ!

 今から私の能力で、お前に力を注ぎ込む。だから、その力を受け入れるんだ。抵抗は一切するな。いいか? それでも、痛みは多少はあるかもしれない。それでも耐えろ! 頑張れ。彼女を置いて、このまま死ぬのは嫌だろう? それなら気合を入れろ! 気持ちをしっかり持て!

 絶対に、このまま消えるんじゃないぞ! いいか?」


――彼にその言葉が、届いているのかは分からない。


 だが少しでも、それで彼を救えるならば、その可能性を上げたかった。


 そして俺は、渾身の力で《救世》を発動させた。


【救世!】


 俺の体から、眩しい光と共に救世の力が、カルシファーへと注ぎ込まれていくのが分かる。


(厳しい状態なのは分かっている。だけど助けたい!)


――彼に変化が起こるまで、力を注ぎ込み続けた。


……だがしかし、カルシファーの体は無常にも、救世の光に包まれると、ゆっくりとその体を崩壊させていった。

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