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……もし、そうだと言ったら?

【オヤオヤ~? ま~た小さなネズミが、誘い込まれて来たと思いましたら……。

 これは、ナカナカどうして大きなネズミさんのようデスネェ?】


――カルシファーの影から、ゆっくりと仮面のジェスターが姿を現したのだった。


 コイツが仮面の男ジェスター! コイツだけは許さない。許してはならない。俺は急速に、ジェスターとの戦意を高めていく。


「お前が仮面の男、ジェスターか!?」


 一応念の為に、俺は奴へと問いかける事にした。


【ホワーイ!? 何故貴女の様な小ネズミが、このワタクシの名前を知っているのデスカネェ? もしや以前、どこかでお会いしましたデスカネェ? とても不思議なのデスネェ? ちょっと貴女のお名前、お聞きしても宜しいデスカネェ?】


 仮面の男ジェスターは、不思議そうに首をコテンと傾げてそう言った。


……外見通りの、中々変わった性格な奴だ。正直言うと、分かり易い脳筋タイプな奴よりも厄介なタイプだと言える。


 だが奴は、今きっと油断している。俺達の前に、簡単に自分の姿を見せたのが良い証拠だ。


 だが今ならば、もっと有益な情報を得られる筈だ。まずは確証が欲しい!


「お前に名乗るような名前は無い。だけど、もう1つだけ確認したい。ここ最近、変異絡みの事件が多発している。ここへ来る途中にも、沢山いた異形者達も全てお前の仕業だと考えて良いか?」 


【オフコォース! ソォの通りィ~! 全てワタクシの仕業デスネェ。イヤァ、コソコソ隠れて活動するにも、これまで大変だったのデスガネ? 一体何故それが、貴女達には分かったのか?

――それがとても不思議デスネェ。貴女は一体何者デスカネェ?】


「お前の本当の目的は何!?  人や魔物を変異させて何がしたいんだ? これ以上、ダンジョンを増やして一体何をする?」


【ノンノン! 流石に、これ以上は喋る訳にはいかないのデスネェ。ここまで話したのは、ほんの気紛れデスガネェ? そう言えば、貴女達を見ていて、ある事を思い出しましたデスネェ。

 貴女達の様に、派手な色の装備品を身に纏い、複数のダンジョンを潰して回る、とても迷惑な冒険者PT〖真紅〗がいると。そして貴女が、PTリーダー〖霊銀級冒険者ユウコ〗。

……それで間違い無いデスネェ?】


「……もし、そうだと言ったら?」

 

【ここから……生きて返すつもりは、ありませんデスネェ!】


 ここまでは、奴に不快感を感じつつも何とか抑えて、情報を聞き出すために会話をしていたが、ついにお互い抑えていた殺意が、ここでついに爆発的に膨れ上がっていく。


――ついに、憎き仮面の男ジェスターとの戦闘が始まる!


 俺達は、事前に打ち合わせた作戦通りに行動を開始するのだった。

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