こんな異世界スローライフも悪くない
『ゴロゴロ』
とても気持ち良さそうに、僕の太ももをベッド代わりに魔猫は御機嫌だった。
名前も決まったよ。魔猫のブルーアイちゃんデース! ソーキュートデース。
「おぉ~よしよし、凄くご機嫌ですねぇ~ブルアイちゃん? とっても可愛いよ」
なでなで、モフモフ。今の僕は愛猫により絶賛癒され中! もう最高です! 今まで応援本当にありがとうございました。
……コホン。
お次は孤児の少女ミーナちゃんの番だ。
年齢は推定5歳(元が捨て子だった為に詳細は不明)実は物凄く大人しいタイプの女の子だった。
おままごと遊びも基本1人で、人形を相手にして延々と出来ちゃうタイプ? と言うか。
淡緑色の髪は、腰の辺りまで伸びていて両目はパッチリしている。
きっと将来は美人さんになりそうである。勿論今でも超キュートな女の子。
孤児院では目立たない子だが、夜な夜な部屋を抜け出しては夜のお散歩へと洒落込むような、意外と大胆な一面もあるらしく。
この子は今回の件《ネコちゃん救済》で、女神様の支援でExスキルが覚醒していた。
あの時の感じでは、恐らくは魔力増幅系じゃないかなと僕はアタリを付けている。
ミーナ自身は、神聖魔法を覚えてご機嫌だし猫とも意思疎通が出来ている。
これは動物共感スキル効果かな? 何となくお互いの感情が伝わりやすい気がするんだよね。
女神様とも神託スキルでコンタクトが取れている。意外と場所を問わないのね信託……。
また覚えたスキルや今回の件は、女神様から他の誰にも内緒だよと説明されていたらしい。
僕の事は『女神様の代行者のお姉ちゃん』と思ってくれているようだ。何だよ代行者って……。
そんなキラキラした目で、僕を見ないでおくれよミーナちゃん。
(現時点での僕は、まだ女神様のヒモみたいな状態なんだよね。まだ完全に独立出来ていないから)
2人と1匹と1女神様で、今回の出来事は秘密にしよう! という誓約を女神様とミーナはしたようで、目先の問題はクリアしたと言えるか。でも神様との誓約とかちょっと怖い。
だいたい5歳の女の子が、突然神聖魔法が使えて女神様とも会話出来るとか! 孤児院や教会の人間にもしバレたら絶対に放ってはおかれないだろうな。……間違いない。絶対。
【聖女様の降臨じゃ~!】 とか大騒ぎになるんだろうな。そう多分きっと。
そんな事態は絶対に避けなければ。僕が……彼女を巻き込んでしまったようなものなのだから。
しかるべき時まで責任を持って、僕が守っていくのが筋だろう。
僕の生活が安定したら、少女を孤児院から引き取るのも良いかもしれない。養女として。
その為にまずはお金だ! 僕の冒険者ランクを上げ依頼をこなし、キチンと報酬を得て生活を安定させねばならない。
もうこの世界では、1人きりでは無いのだから。僕がバリバリ稼がないとね。
この世界でずっと、僕はボッチ状態が続くのかと思っていたから。それが何よりのやる気になる。
案外……賑やかになってきたじゃないか。それは決して悪くない事。むしろ全然良い。
僕と猫と女の子、たまに女神様(暇なの?)そんな異世界スローライフも悪くないかなって。
――そんな風に僕は今……思ってるんだ。