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美しき介入者

 そして俺達は、奴との対決に向けて準備を終えたのだった。

 迅速に、目的の場所までの移動を開始した俺達は、迷う事無くカルシファーと仮面の男が居る筈のダンジョンをすでに眼前としていた。


 ここから陽動班の俺と、救出班メンバーで分かれての行動開始となる。

 俺は、救出班がダンジョン潜入したのを確認し、そろそろ頃合か? と思われるタイミングで陽動作戦を開始しようとした。


――これから派手に、陽動作戦を開始しようとしたその時だった。


『突然失礼するであります。出来杉優人、いえユウコ殿?』


 それは突然現れた、美しき介入者だった。何の気配も無く、この俺の目の前に現れた。


……!? は? えぇ~? だ、誰~? 何なのこの超絶美人は!?


 しかも、俺の()()()()()を知っているだと!?

 

 一体こいつは誰だ!? 敵か? いやいや、敵ならこんな風に話し掛けてこないだろ。敵ならば普通は奇襲あるのみだ。

 

 こいつが仮面の男? しかし仮面は被っていないし、そもそも相手は女性。この突然の《介入者》は、大きな長い耳が特徴の長身スレンダー体型な女性だ。


――恐らく、これがエルフ族。しかも、単なるエルフでは無さそうな圧倒的なオーラを感じるのだ。


 その漠然とした感覚だが、この者は只者では無いという確信が俺にはあった。俺は咄嗟にヘル0プ参照し、この相手を見極めようとしたのだが。

 

 残念ながら、今までの異形者やダンジョンボスと同じで、その表示は《error》と出ていた。


(くっ……。情報が読み取れない。こりゃ相当ヤバイ奴だな)


 俺が黙ったまま、相手の様子を見ているのを確認してか、そのエルフは俺に語り掛けてきた。


『私は女神様の使徒で《個体識別ナンバー037》通称【レミナ】であります。この度は、ユウt……ユウコ殿にお会い出来て、誠に光栄であります』


 女神様の使徒!? まさか、このタイミングで? 丁度良いのか悪いのか判断に困るな。


「今はちょっと立て込んでいるので、御用があるなら手短にお願いしたいのですが……?」


 ここは、少し下手に出て様子を見よう。


『承知したであります。では手短に説明すると《このダンジョンから手を引いて欲しい》のであります』


……ふぁっ!?


 おいおい、こっちはもうPTで動き出してるんだがな?


「それは出来ない相談かもしれない。もうPTで行動を開始しているからね。女神様の使徒だろうが何だろうが、突然横から介入されて、そんな事を言われても困るんだよね」


『それは……こちらも困った事になったであります。そうなると、ユウコ殿のお仲間が私は大変心配であります。ユウコ殿は、今すぐにお仲間を連れ戻してくるのを、私は推奨するのであります。このダンジョンもボスも、私が全て破壊するであります。全て私にお任せする事を推奨するのであります』


「それも困るんだ。ここのダンジョンボスは、実は私の仲間の旦那なんだ。だからさ? ボスだけは絶対に助けたいんだ。その為に今日まで、沢山準備してきたんだ。だから今回は邪魔しないでくれないか? 仮面の男は……最悪譲ってもいい。そちらがちゃんと、奴を消滅させてくれるならね」


『個体名:ジェスターでありますか。その仮面の男とやらも、当然討伐対象であります。彼奴は魂までも完全に消滅させてやるのであります。ですが、すでにここのダンジョンボスも、完全に異形化しているのであります。救済はもう不可能であると、そう私は進言するであります。それよりも、速やかにPTメンバーを回収し、今すぐここから撤収して欲しいのであります』


「救済はもう出来ないって!? そ、それは、やってみないと分からないだろう!?」


『残念ながら、今のユウコ殿の実力では無理であります。絶対に不可能であります。諦めて手を引く事を推奨するであります』


――ちょっとだけ、あったまに来た。とりあえず、このヘンテコ使徒を1発殴りたい気分だ。


『実力差も分からず、あのジェスターと戦おうなどとは、無理無茶無策の蛮勇であります。貴女とジェスターの戦力差は軽く10倍以上。勿論ユウコ殿が弱者であります。信じられないでありますか? では仕方ないであります。それでは特別に、私の真の実力を見せて差し上げるであります。私との実力差を目にして、その考えが変わるのを私は期待するであります。さあ私を、ヘルプ参照するであります』


……なんだと!? 今更何を言うんだ……。《ヘルプ》を使えって?


「ってオイオイ、こんな、嘘だろッ!? マジかよ」


 ヘルプ参照により、女神様の使徒【レミナ】の圧倒的なステータスを見せつけられた俺だった。信じられないくらいの数値、その能力を目の当たりにし驚愕する事になった。


 クッ……。これはとんだ誤算かもしれない! この使徒の言う通りだとすると、救出班の皆の命が危ない。完全に敵の戦力を見誤った! まさか俺とでさえ力が10倍差もあるなんて。


 そう考えた俺は、必死に作戦の練り直しを考える。


 焦るな落ち着け! まだ間に合う。早く次善策を出すんだ。

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