見敵必殺
だから俺は、皆に向かってこう言った。
「それに、もし私1人で倒せるなら……。別に倒してしまっても問題は無いよね?」
――俺は、満面の笑みで皆に言ってやた。ドヤヤッ!
それに俺は、仮面の男に対しては凄く怒っている。それに、奴を逃がせば後に被害が大きくなる。むざむざ逃がすつもりは無かった。
今回は、皆の説得の為に《無理はしないよ》アピールをしただけだった。
俺の頭の中には、最初から《見敵必殺》しか無いのだから!
――この優しい世界に、あんな奴は存在しちゃいけない。
誰に言われなくても、そんな事は分かっている。やってやる。俺が奴をここで倒す!
「なるべく時間を稼ぐけど、もし奴に逃げられたら私も皆にすぐ合流するからね? それじゃ、作戦はそんな感じでヨ・ロ・シ・ク!」
よし。これで打ち合わせは完了かな? 他に有効な作戦立案も無かったみたいだし。後は全員に、回復薬などを渡して準備を万全にしておくか。
擬似エリクサー的なヤバイ物とか、秘蔵していた非売品は前回で使いきっていたから、残っているのはせいぜいが上級回復薬程度だったけど、それでも無いよりは全然マシだろう。
俺が居ないと、他に回復出来る人が居ないからな。アスカは回復魔法は苦手みたいだし。うーん、そうなると早くミーナちゃんが大きくならないかな(溜め息)
5歳くらいの女の子を、まさかダンジョンに連れてくる訳にもいかない。常識的に考えて。でも最近、ミーナが寂しそうにしてるんだよね。ミーナの為にも、安全な場所――孤児院に置いて護衛に魔猫を置いていってるんだけど。毎回置いてけぼりってのが、やっぱり寂しいみたいだよなあ。
でもやっぱり、危険な場所にあんな子供を連れまわす訳にはいかないよな。はぁ~……。あ、でも、旅行くらいなら大丈夫か? 家族で旅行とか?
だからそう、今回の件が落ち着いたら皆で慰労を込めて温泉にでも行こうぜ! そうだ! それが良い。絶対そうしよう! 何時もお留守番なミーナも魔猫も、きっと喜ぶぞ~。楽しみ楽しみ。
王都の北に、有名な温泉街があるって話だし、家族みんなで温泉旅行と洒落こむか~! 美味しい食事と、大人組にはお酒と、そして温泉。寝る前には、皆で枕投げ大会とか出来るかな?
いつもお世話になってる、宿屋の女将達にも温泉土産を色々買わないといけないね。
その為にも、仮面の男は早めに倒さなければ。早く解決させて帰るぞ!
――そして俺達は、いよいよ仮面の男との対決に向け、その準備を終えたのだった。




