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もし倒せるなら、倒してしまっても別に構わないでしょ?

――そして、全員での話し合いの結果。


 陽動担当は俺1人だけで担当。

 他のメンバーは、カルシファーの救出班となった。


『ユウコさんが、1人で陽動を担当するなんて、危険過ぎますよ! 仮面の男と戦闘になるかもしれないのに! オレは賛成出来ませんからね?』


『うむ、ルーク殿に同意だ。私が……彼の救出班なのは譲れない事なのだが、だからと言ってユウコ殿が1人で、陽動を担当せずとも良いのではないか? 寧ろ彼の救出作戦は、私1人に任せて頂いても大丈夫だ』


「いえ、それじゃ駄目。鴉さんを()()()()はさせられない。そして、このメンバーの中で戦力を分けるとしたら、私単独とそれ以外の全員――これがベスト。正直このメンバーで、仮面の男と問題無く戦えるのは、私くらいだと思っている。私単独だからこそ、陽動も戦闘も可能になる。鴉さん達の救出班も、彼との戦闘は避けられないかもしれないよ? ルークにアスカ、それにモッチー。皆で力を合わせないと、救出なんてそもそも無理だからね?」


 はい論破。


『確かに……。ユウコさんの言う通りです。冷静に戦力分析をすればそれは分かります。ユウコさんは、1人で近接戦闘も回復も何でも出来る、万能型の霊銀級冒険者ですから。一方で私達は専門職ばかりです。タンク、近接アタッカー、魔法使い、そして斥候。つまり私達は、PTを組んでこそ最高のパフォーマンスが生まれます。そこにユウコさんが居れば、更に余裕が生まれる事でこれまでは全員が楽になっていましたが、今回はそれも出来ませんね。だからこそ、単独行動するならばユウコさんだけなんです』


「うん、その通りだよアスカ。今の私達には、戦力を分けるならこれしかない。……そんなに心配しなくても大丈夫だよ? もし仮面の男が出てきても、無闇に戦闘をしようとは思っていないし。まぁ今回はね? 陽動らしく、派手になるべく時間を稼いでおくから、その間に皆でカルシファーをさっさと助けてあげて。彼を無事に救出さえ出来れば、後はいくらでも仮面の男を追い掛けるなり、戦闘になったら全力で私が奴を潰すからさ」


 ここまで説明して、やっと渋々だが皆が納得してくれた。中々大変だった。


 (みんな俺の事、心配し過ぎな? まぁ嬉しいけど)

 

 むしろ()()()()()()()()()()()って事も……実はあるんだよね?


「それに、もし倒せるなら倒してしまっても、別に構わないでしょ?」

 

 俺はキメ顔でそう言った。勿論、無理はしないさ。倒せる時は倒しちゃおうってだけ。

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