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思考の迷宮

「絶対に仮面の男を許さない」


 俺は。俺達は、その時全員が同じ気持ちだった。


 ドコだ? 仮面の男は、今どこに居る? 考えろ俺。ここ最近の、変異絡みの事件はきっとコイツの仕業に違いない。そしてその被害は、ほぼ王都に集中している――つまり奴は、王都周辺に潜伏しているんじゃないのか?


 行方不明になった冒険者達の件も、恐らく奴が関わっている。王都周辺には、そこまで強い魔物は居ない。まして行方不明者の中には、ベテランの冒険者まで居たのだ。手に負えない強力な魔物が、もし出現しているならその被害も大きくなるし、何よりその情報が普通はすぐに流れるだろう。


 そんな情報も無い、むしろ一切の情報が無い事が、この事件は何者かによって意図的に隠されていて、それはきっと間違い無く仮面の男の仕業だろうと思われた。


 ここまでは良い。むしろそれはもう、俺には分かり切った事だ。


――奴の居場所が全く分からない。これが肝心で問題なのだ。


 俺は深く思考し、そしてふと俺を黙って見守る皆の顔を見た。

 その中で、鴉さんだけが何故か俺の目に留まった。


……。

 

 何だ? 鴉さんが今、何故俺は気になるんだ? 確かに今の考えのままでは、肝心の仮面の男の居場所は掴めないままだ。


……恐らくは、発想の転換が必要なのだ。そして、その為のヒントが鴉さんにあるのかもしれない。


 そもそも、何故鴉さんは俺に会いに来た? 彼が行方不明で、ついでに仮面の男も捜していて、その臭いを追ってここまで来ていた。


――そうか! 臭いだ。


「鴉さん、彼や仮面の男の臭いって、例えばどのくらい嗅ぎ取れるのかな? 今までの事を詳しく教えて欲しいんだけど」


『ム? 承知した。今まで彼や奴の臭いは、正直ハッキリと嗅ぎ取れた事は殆ど無かった。言葉にするならば、何となくここを彼が通った気がする、そんな感覚だろうか。ユウコ殿を見付けられたと言う、その結果で言えば……。全く外れた訳では無いし、100%タダの勘では無かったと言えます。私では上手く説明出来ないのだが、彼と私はきっとどこかで繋がっているのだと感じる。その繋がりがあるからこそ、こうして今この場にいられるのだと。だが勿論、奴の臭いはハッキリと覚えているし、彼や奴の居る場所(ダンジョン周辺)が近くにあれば嗅ぎ取れる筈だ!』


……やはり臭いだけで、探すのは無理そうだ。別な考えで行くか……。次だ! では何故、俺は鴉さんに同行しているのか?


 それは俺のスキルによって、彼女1人を行かせたら近い未来に《確実に彼女が絶望して死ぬ》という未来が見えたからだ。それを防ぐ為に、俺は動向を申し出た。


 そして、今の彼女から絶望した未来は感じられない。


――それはつまり? 俺達が同行する事で、彼女の運命は変化したと言う事になるし、見えた未来……その時点での運命は、それで100%確定していないと考えられる訳になる。


……そうすると? 変化が見られるのなら? 変化させられるなら? 正直こんな方法は邪道かもしれない。しかし俺は奴を見つける為に、形振り構わない事にしたのだ。だから今、それを俺は迷わず実行する。

 

 俺はジッと鴉さんを見つめ、そして頭の中でこう考える。


(鴉さんを、これから1人で行動させる。俺達は一切手助けをしない。そして鴉さんは1人で王都の……)


 ①(王都の南へと向かう)――反応無し。

 

 ②(王都の東へと向かう)――反応無し。


 ③(王都の北へと向かう)――反応無し。


 ④(王都の西へと向かう)――反応……あり!


――ついに俺は、その手掛かりを掴んだ! 俺は急いで王都周辺の地図を広げ、その場所を更に詳細に特定させていく。


 やっと尻尾を掴んだ! ここに奴がいる。

 これ以上、奴の思い通りにさせるものか!


「皆……仮面の男の尻尾を掴んだ。聞いてくれるかい?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


リザルト


《推理Lvが上昇》


《探偵Lvが上昇》


《未来予知Lvが上昇》それにより、新たな機能【ダウジング】が追加されました。

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