迫り来る脅威
俺達のPT【真紅】は、現在は王都の空の下に居た。
最初の街である、カカロッティ周辺ではもう他のダンジョンの情報などが無かったからだ。そこで、王都ならば何かしらの情報は掴めると判断した俺達は、こうして王都まで来たのだった。
そこからは手分けして、ダンジョンの情報を集める俺達だ。
モッチーは、王都に居る手下を使って王都の噂話や街中で至る所の情報を集める。
鴉さんとルークは、一緒に冒険者ギルドに。俺は女神教の本部へ。そしてアスカは、王都の魔術師ギルド本部へと向かった。
そしていくつかの噂話し、奇妙な事件などの情報などを得る事が出来たが、肝心の新たなダンジョンの情報は残念ながら無かった。
その噂話しや事件とは、街の人が突然居なくなったり、何故か人が変わったかの様に、身近な人にも乱暴をする人が増えていたり、フラっと何も言わずに行方不明になった人が、何故か街の吹き溜まり(スラム街)に居るのを、その知人が見掛けたとか何とか。そんな感じの情報だった。
人が居なくなる……攫われたとか? 人が変わったかのように乱暴に? 多分それはきっと、カルシファーやルーク達と同じケースではないか? つまり変異絡みの事件だ。それらがスラム街に、何かの目的でもって潜伏している可能性があると見て間違いないか?
『オレと鴉さんが、今回冒険者ギルドで聞いた話しですが。一般人だけじゃなくて、冒険者の行方不明者もやはり大勢いるようです。王都の周辺で、魔物討伐をメインにしているベテラン冒険者にも、行方不明が出ていると聞きました。他にも、街の近場の魔物を狩りに出掛けただけなのに、数日経っても帰らずそのままの冒険者も居るんだそうです』
……ベテランの冒険者までもが、ここ最近で大勢行方不明か。これは匂うな。
『私は魔術師ギルドで、人の異形化についても調べてきました。やはりこちらも、昔から実際に確認もされているようです。その原因や切っ掛けまでは、未だギルドでも解明されていませんが、人が魔物のように変異してしまう事もあるとの事でした。そして変異した人は――決して元には戻らず、回復や蘇生なども不可能だったとも……』
……なるほど、異形化は割りと前から確認されている事なのか。つまり昔から、何者かが絡んで画策しているのか? もしくはこの世界の、何らかのシステム的な不具合によるものなのか。
もしくは、カルマ値が大きくマイナスになった弊害で、心が悪に染まる? 魂が濁ったせいで異形化したりする? この辺は考えてもキリが無いな。次の機会があれば、直接女神様に聞いてみるしかない。
『チュッチューゥ!』
……。
……なるほど、そうか。
「そしてモッチーから、たった今追加の情報だ。とても人間とは思えない、怪しい奴らがスラム街や王都の下水道に大量に屯っているのは間違い無いようだ。恐らくこいつ等は、きっと異形化した人間達だろうと思われる。ならばこのまま、放置も出来ないな。私達でその者達全員が救えるかどうかまでは分からないけど、まずはこちらから手を付けるべきかなと思う。皆の意見も聞きたいかな」
未知のダンジョンや仮面の男の捜索、そしてカルシファーの無事を早く確認したい所だが、まずは確実に自分達で手の届く範囲からだ!
まだまだ素人の小説ですが、誤字脱字等あれば是非ご報告下さいませ。
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