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キラーグリズリー《変異種》の猛攻

【ダンジョンボス】キラーグリズリー《変異種》に、俺達は先制攻撃を仕掛けた!


『行きますっ! 武技【レイジオーラ】』


『参るっ! 武技【ダブルストライク】!』


『まずは敵の視界を潰します! 【ブラインドネス】&《効果増幅》』


「ボスの行動を遅くさせる! 【スローダウン】」


 俺達の先制攻撃が、次々とボスに決まっていく。


……どうだ!? やったか? 【フラグ】 

 

「お、結構効いてる感じ? よしこのまま……」


【グオォォンッ!】


 キラーグリズリー変異種【ボス】は、俺達の攻撃や魔法を受けて怒りの咆哮を上げた。そしてボスは禍々しく輝いた。


 その後には、全身に強烈なオーラを纏っているボスの姿。


「……自己強化か? しかも俺達の掛けた、デバフも全部解除されている? オイオイ、厄介な奴だな! アスカーッ! デバフは無効化されて意味が無いみたいだ。攻撃魔法に切り替えてくれーッ!」


『了解しましたーっ! それではっ【ピラーオブファイアー】&《効果増幅》』


『うおおおおお! 武技【スタンドファスト】』


『グゥッ! こやつの毛皮と皮膚、まるで弾力性のある金属を突いているかのようだ。中々の強敵であるな! 武技【トリプルストライク】』


「この弓じゃ、何かいまいちダメージを与えられていない!? まるで効いてる様子がないな」


 自己強化したボスは、めちゃくちゃ硬くなっていた。そしてパワーもだ。


【グオオォン!】


 ルークは、武技で自己強化をして何とかボスの攻撃を耐えている。

 鴉さんの連続突きも、そこまでのダメージを与えていないようだ。

 アスカの派手な魔法は、一応の効果は見られたが致命的なダメージでは無い様子だ。

 俺の弓矢は、かろうじてボスの体に刺さってはいるが、ダメージを与えた様子がない。


 素早く決断した俺は、弓を放り出して収納していた黒魔鉄の小剣と盾を取り出す。


――とにかく火力が足りていないのだ。それに俺はどちらかと言うと、近接戦闘のほうが得意だ。


「私も前に出る! おいキラーグリズリー! 自己強化が使えるのは、自分だけだと思うなよ! 神聖魔法〖リーインフォース〗」


 とっておきの、PT強化の神聖魔法を掛けながら、俺は前に出た。さあ本番はここからだ!


『武技【シールドクラッシュ】』


『ハアッ! 武技【ペネトレーションストライク】』


『炎が特攻って訳でも無い訳ですね……。では次っ! 【ライトニングジャベリン】&《効果増幅》』


【グガアァァァ!】


 ボスの攻撃は、ルークがきっちりと抑えている。そして隙を窺い武技を使って、盾で殴り返していた。おおー、ルークも中々やるぅ~。


 鴉さんは、武技で槍の貫通力を高めたようで、ボスの体にいくつもの穴を開けていた。()()なだけに、素の能力が高いからこうしてガチガチに強化バフを掛けるだけでも驚きの強さの上昇率だった。


 アスカは敵の弱点属性などを考え、色々な属性魔法で攻撃している。そのどれもが中級以上の魔法で、更に魔法の威力も増幅されているので強力だろう。


 普段は残念な犬娘? って感じなのに! こんな時に頼れる頭脳ブレーンって反則だと思うよ。ギャップ萌え? しちゃうね。


 よしよし、後で何かご褒美をあげようかな(笑)そしてモフりまくろう。肉球も。うん、今そう決めた。


 おっとと、俺も皆に負けていられない! 黒魔鉄の小剣で、ボスを斬りつけようとする。


……その時だった。


――ん? なんだこれ!?


 俺の黒魔鉄の小剣から、ボスの体へと1本繋がった《線》のようなものが見えた。その線の繋がった先、ボスの体までの《道》を小剣でトレースし、最終地点であるその場所へと俺は小剣を無心で突き刺した!


 そして頭の中に響くヘルプ音声。


〖武技【クリティカルブロウ】を会得しました〗


 そうか、これが俺の新しい武技。その俺の一撃が決め手となり、ボスは動きに精彩を欠き始めた。


 そしてついに俺達は、この戦闘に見事勝利を収める事となった。


(うへー。結構キツかったな-。俺はやっぱり、中途半端な火力(弓とか魔法)じゃボス相手には厳しいな。もっと魔法とかを鍛錬せねば。そこら辺から、まずは反省会だなー)


……その前にだ。


 よーし! みんなー? 今夜は熊鍋だよ~っ(笑)あ、猪の肉もあるから牡丹鍋も良いかな? 鴉さんも食べてってねー? お肉のおかわり一杯アルヨ!


 俺はホクホク顔で、擬態へと肉などをモリモリ収納していく。


――俺達はこのダンジョンボス相手に、PTで辛くも勝利したのだった。

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