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導かれる真実

「これは推測に過ぎない。1つの仮説でしかないが聞きますか?」


『勿論だ。どのような話でもいい。是非聞かせてくれ』


 肯く烏羽色の竜人『鴉』に、俺は1つの仮説を語り始めた。


 俺が今、一番考え易い《ダンジョン》から消去法で仮説を立てていく。


――その可能性があるとしたら、ダンジョンボスだけだ。しかし、そのダンジョンボスはゴブリンが突然変異した魔物だった。


 しかも、ここ最近で進化したのだろう。


 変異した魔物を中心に、ダンジョンは作られる。そう《変異》だ。ここで、それが俺の中で引っかかった。


 魔物が()()して、ダンジョンが出来る。()()した魔物を俺が倒した。


――そうすると、実はもう1つ。王都行きの前の《()()》には心当たりがあった。そう、少年ルークだ。


 人の姿から、人外の存在へと《()()》をしたのが彼だ。それを俺が《救世》して人間へと戻したのだ。


 どうやらカルシファーも、怪しい仮面の男により【核】に傷を受け《変異》していったらしい。


……キーとなるのは魂や核の《変異》だ。つまり、怪しい仮面の男は《変異》に深く関わっているの人物ではないのか?


 少年ルークも、カルシファーも、ゴブリンも。仮面男によって《変異》させられたと、そう考えれば。そう仮定すれば、俺から嗅ぎ取ったという臭いにも説明がつくのだ。


 王都へ行く前のルークとの接触。(これが1度目)ダンジョンでのボス討伐。(これが2度目)


 そしてこれ以外に、仮面の男へと繋がる何かは考えられない。そうすると、仮面の男は人や魔物を《変異》させられる恐ろしい存在という事になる。


『つまり貴殿の、仮説の通りだとすれば、彼は今はどこかのダンジョンにいるかもしれないと?』


 俺の仮説の通りであるならば、その可能性は高い。


 もし彼が、完全に変異してダンジョンボスとなったなら、彼の生存情報がある意味全く無いのも肯けるのだ。


 人では無くなり、街で生活していないなら情報など皆無になる。

 ダンジョンの奥底にいるなら尚更だ。


『ダンジョン……。その奥底に居るというボスに、彼はなってしまっている?』


 目の前の竜人は、俺の仮説をじっくりと考え自分の中でも答えを出そうとしている。


「その可能性が高い。時期的に考えて【未知のダンジョンの奥】だな。多分今そこにいるのだろう」俺はそう結論を出した。


(しかし、ダンジョンボスが竜の変異種か……。これは厄介だ)


『貴重なご意見、情報に感謝する。では私はこれで失礼するっ!』


 などと、俺が考え事をしている内にそう言って、この竜人は急いで部屋を出ようとしていた。


「ちょっと待って!? まさか1人で未知のダンジョンを探しに行くつもり?」


 まぁ確かに、彼女は強いだろう。ただの竜人ではなく『竜族』だ。

 だが実際問題として、例えば【完全に変異した彼】をいざ目の前にして、果たして彼女に何が出来るのか?


 そもそも、例え戦闘になって彼とちゃんと戦えるのか疑問だ。


 ()()()()()()()()()()


 ここで最悪のケースは『2匹の竜の変異種』がこの世界に誕生する事だ。


――このまま、彼女1人で向かわせたらそれはきっと高確率でそうなる。俺がそう考えた瞬間、頭の中でもハッキリとその姿、そう【未来】が見えてしまった。


『ですが、私にも色々事情があり、他人の助けは望めまないのです。例え1人でも、行くしかありません』


 確かにそうだろう。そもそも、今どこにあるかもわからない未知のダンジョンから探すのだ。

まずはそこからなのだ。きっと他人の助けなどは簡単には得られまい。


 しかも、普通のダンジョンではない事がほぼ確定しているのだ。そう。ダンジョンボスが『()()()()()』なのだ。


 討伐難易度はどのくらいなのか。それだけでも計り知れない。

 金級冒険者6人PT《満員》でも複数PT、いやそれでも無理だろう。


 並の冒険者では、きっと生きては戻れまい。例えば、そのダンジョン発見の情報だけでも、素直に報告してくれるなら何も問題は無い。


 だが少しでも欲を出し『ちょっと中も調べてみよう』と考えてしまったら……。発見者の生還は望めず、ずっとそのダンジョンの情報は無いままになる。


 そしてもし、そこに問題の仮面の男も居た場合。目の前にいる彼女も、恐らく同じように《変異》させられてしまうのではないか。


 彼女を()()()()()()()()()()()()()


 俺はそんな衝動に突き動かされる。そして俺は、彼女を説得する為に必死に頭を働かせた。


――俺が見た、最悪な彼女の未来を回避する為に。


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リザルト


○スキル:『推理Lv1』 発現しました


○スキル:『未来予知Lv1』 発現しました


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