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運命って信じます?

――そろそろ暗くなってくる時間だ。宿に戻ろうかな。

 

 でも今どんな依頼があるのかだけでも、一応確認しとこうかなぁ~?


 僕はのんびり《クエストボード》と呼ばれる物へ向けてテクテク歩いて行った。


――冒険者ギルドの依頼には、様々な種類がある。


 ①一般人でも受けられる、街中で(依頼者の)作業の代行をしたりする、通称:パシリクエスト。


 買い物の代行とか、ペットの散歩とか色々だ。

 受注制限は特に無くて、冒険者じゃなくてもいい。


 ②特定の【何か】を、一定数集める募集が掛かっていて、それを必要数持ち込めば、達成になるという常設クエスト。


 例えば、《薬草採取x10束》はこれ。

 薬草を10束ずつ、ギルドへ持ち込めば適用されて依頼達成となるのだ。


 他には《ゴブリン退治x討伐証1個》など。

 討伐の証となる、ゴブリンの右耳を持ち込めば達成。


 討伐証は、基本何個からでも買取OKだ。

 その分の報酬が得られる。凄くゴブリンはやっすいけどね。


 こんな感じのクエストは、いつも依頼が掛かっているそうだ。


 ③通常クエストは、その依頼を受けて指定された条件を満たした場合に達成となる。


 例えば、家畜を襲うゴブリンを退治。

 これは、その辺のゴブリンを倒せば良いのではなく、家畜を襲うゴブリンの討伐なのだ。


 依頼者に《実際に退治した》という()()も必要で、普段は討伐証とされるゴブリンの右耳だけでは、依頼の達成とならないので要注意。


 討伐証を渡すだけでは終わらず、確認作業などで時間も掛かることも多い。


 依頼者を騙したりしたら当然()()()()()()()が課せられる。


 そして誰かが先に依頼を受けたら、その後他の人は同じ依頼を受けられない。

 これが通常クエストである。


 例外としては【護衛依頼】などがある。

 護衛に求められる()()が揃うまで、募集が掛けられ参加が可能だ。


 ④緊急依頼の《早い者勝ち》というクエストもある。


 「依頼の条件の何か」を()()()()依頼者へと渡す(条件達成させたと確認して貰う)事で報酬が得られる。


 他の冒険者との競争にもなり、とにかく仕事の早さなど求められるので、当然報酬も高くなる。


 単純な早さだけではなく、物であるなら高い品質なども求められる場合もあるらしい。


 ⑤指名依頼の《あなたにおねがい》は、依頼人から自分を指名してくる依頼。


 有名な高位冒険者になると、これが多くなるみたいだね。

 勿論成功報酬は高いだろう。色々と面倒そうだけど。


……だいたいは、こんな感じかな?


 今見た限りでは目を引く依頼は特に無かったので、今日はこのまま帰る事にした。

 

 うん、明日の朝また来よう!


……そして、それは起こったのだ《運命》?


 宿への帰り道の途中、道端に薄汚れた恐らく野良猫がグッタリと倒れている。


……これは死んでるのか?


 まあ言うまでも無いんだけど。僕って前世から動物が大好きなんだよね。特に犬と猫。


 前世はペット不可の物件に住んでいたから、飼いたくても飼えなかった悲しい記憶!


 動物は癒し! そして主人を裏切らない。だから僕は野良猫に慌てて近づいたのだ。

 

――猫は呼び掛けても動かなかった。


 微かに息はしているので、まだ生きてはいる……。


 軽く猫の状態を見たが、外傷は無い事くらいしか分からなかった。


……だがこれは、猫が危険な状態だと【何故か】予感がする。


 早く。何とかしなければ命に係わるのだ! どうしたらいい? 医者か? 獣医がいるのか? 


……この世界に恐らく獣医はいないだろうが。念の為ヘルプ先生で参照してみる。


【該当ありません】


「うん、やっぱりいなかった!」


 やはり獣医に相当する人は、この街にはいないようだった。途方に暮れてしまう僕だが、この猫の事を考えると時間に余裕は無いのだ! 急がねばならない。


 まずはダッシュで宿屋へと帰り、ここの妙齢の美人女将に相談してみる事にした。


『うう~ん? そうね~? 怪我はないみたいだし、この感じだと……何かの病気なのかしら? 猫ちゃん痩せてるし、もしかして栄養失調かしら?』


――もし、もし仮に。万が一、億が一、金田一。本当にこの猫が病気だったとしたら? 僕には完全にお手上げだろう。


 この世界に猫の病気を治療してくれる獣医は居ないのだから。


 ん? いや待てよ? 治療? 治療と言えば、この世界には魔法があるんじゃないのか?


 便利な回復魔法や、状態異常からの回復魔法がきっとあるに違いない!


 ファンタジーな世界、その摩訶不思議な力で怪我や病気もすぐに治ったりするかもしれない!


 だからきっと、この猫を教会にでも連れて行けば魔法ですぐに治して貰えるはずだ。

 

 お布施を多少弾めば、すぐに治して貰えるさかもしれない。うん大丈夫だ!


 大事にそっと猫を抱えながら、すでに暗くなり始めた道を()()()教会へと僕は急いだ。


――この猫を助けたい。その一心だった。


 猫ちゃん……。苦しいのはもう少しの我慢だ。きっと治して貰えるからな!


 抱えた猫は、あまりにも軽すぎて呼吸も微かだ。最早一刻の猶予もない! 僕は教会へと本気で走った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


リザルト


○スキル:高速擬態移動Lv1 が発現しました


○スキル:動物共感Lv1 が発現しました

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