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新たな力

――本当に、俺は馬鹿な男だったな。苦い過去の記憶を思い出して、俺は1人で勝手に落ち込んでいた。


『ウォン……?』


 魔狼が、そんな俺を心配したのか、俺を見上げながら小さく鳴いた。


……そうだな。もうあんな事にはならないさ。大丈夫。


 俺の新たな家族、そして親しい人々くらい、今度こそ俺が守りたい。って、そう言えば新スキルを覚えていたような?


【擬態抽出】ふむふむ、ヘルプ大先生によれば?


 その擬態に取り込んだ【何か】から【特定の何か】だけを抽出が可能というスキルだった。


 例えば、俺が金策で今行っている、美容品の製造。それを擬態に【素材】を入れておくだけで、それぞれ【特定の成分】だけを抽出が可能だった。


 正直これは凄く大きい。大幅な作業の時間短縮になる。擬態へ素材を入れておいて、どんどん薬効成分だけを抽出していこう。


……そして次に、こんな事も出来る様だ。


『チーン!』← ※ イメージです。


 と俺に何かの信号が入った。それが何故か、不思議と分かる。まあ自分の体だからね。早速ソレを、擬態から取り出した。


【魔力塊(大)】 魔力の塊(効果大)

 

 これは俺や眷族が、体に吸収する事で魔力が上昇するのだと言う。早速ダンジョンボス産の大魔石から、その魔力だけを変換抽出してみたのだ。


 魔石を直接取り込むよりも、能力値への変換効率が良くなるらしい。同じ魔石でも、例えば能力値がバラバラに+1上がる場合と、魔力だけが+5上昇するのでは、やはり大きな違いがあるだろう。能力値を均等に伸ばしたい場合と、魔力に特化して成長させたい場合は、これで選択が可能となった訳だ。


 魔石に込められた力には、元の魔物の能力値がベースになって密接に関係しており、パワータイプ(脳筋)の魔物だと物理面の能力値が上昇しやすい。力や耐久といった能力値が上がりやすい訳だ。


 お留守番している『魔猫』へ、御土産にしようかと思ったのだが。今回は、魔力不足で悩んでいた『魔狼』の為に今回は試してみた。


――そしてそれは、どうやら正解のようだ。


「なあアスカ。これ食べてみてくれる? 魔力の塊で出来ているから、これを吸収すれば魔力が相当上がるみたいだよ?」


『それは本当ですか御主人様! 頂きます(ハグッ)……ふわぁ~! 本当に体に魔力が満ち溢れてきましたぁ!』


 眷属達が(特にモッチー)魔石を好むのは、魔石のエネルギーを直接吸収しているからなのだ。


 暫くの間、GETした魔石はアスカに渡そうか。俺の眷属の中で、何と唯一の人型戦力だ。これでやっとボッチPT回避! ばんざーい。


 それに、一緒に戦える眷属を強くするのは俺にとって重要な事だ。1人より2人。単純に手数が増えると言う事は、それだけ戦力が上がると言う事だ。アスカは魔法使いだから、当然後衛になるが俺が前衛をすれば全く問題はないし。


 そして何より、眷属が強くなればその分俺も強くなる。

各種ステータス等が、眷族の能力が増加すればする程、そのままの数値が、俺に加算される仕様だった。


 つまりだ。俺だけ能力を増加+100させるよりも、眷属に与え+100すれば、結果的に俺にも+100がそのまま加算される訳だから、単純な効果としてはすでに効率が倍違う。


 俺だけが強くなるより、それはずっと良い事なのだ。みんなが強くなり、そして俺も強くなる。正にWin-Winの関係。


 これからは、大きな魔石は特に売らずに、出来るだけ眷族に与えていこう。


 魔石を齧るのが大好きな『魔鼠』だけは、小さな魔石をそのまま沢山あげればいいかな(笑)


(今よく見てみたら、確かに魔鼠のステータスが地味に上がっているな)


 そして次のスキル『擬態変換』だ。


 これは、擬態に『何か』を『複数』取り込んで、それを『別の何かの1つ』に変換させるスキル。


 便利そうだが、そこはやはり細かな条件はあった。


 取り込む種類や、それが何かによって変換出来るものも変わる。取り込む素材によって、それが何に変換出来るとかは、事前にわかる仕様となっている。


「つまり、この『黒魔鉱石』と『禍々しい斧』を取り込み変換させると」


『ポーン!』 ←※ イメージです。本当です。


……出来た!


 黒魔鉱石と、禍々しい斧の素材から『黒魔鉱の片手剣』と『黒魔鉱の盾』に変換された。


 つまりは『リサイクル』機能だな。


 明らかに呪われた斧なんか、俺としては全く使う予定は無いし、自前の弓もあるので普通に今は剣と盾が欲しかったのだ。


 ぶっちゃけると、それも偽装用の装備だし、本当の意味であまり俺は使わないだろう。


 禍々しい斧だっただけに、しっかりと呪われていたし。


 この斧に【傷つけられた者】と【装備者自身】にも【魂の劣化】が起こるという、何とも物騒な呪いだった。


 俺に状態異常は効かないので、別に関係無く使えるけどそんな物騒な物はいりませんよ!


 黒魔鉱石と混ぜて『変換』したら、呪いの効果は消えていたのは良かった。もしかして、これは呪われた装備の処理も可能と言う事だな。


 他の変換可能な物や、その組み合わせなども後で検証してみよう。まだまだ、この変換機能には未知の可能性もある予感がする。


 そう、もしかしたら……。



 ああ、そう言えば今回俺は初の『武技』も会得していた。そう言えば、武技習得は初めてだったな。


【バーストインパクト】レッドキャップの頭を、一撃で吹っ飛ばしたアレか。


 あれはちょっとやりすぎたよね……本当に。普通の人間相手に、アレは絶対に使えないよな。対人戦では封印安定だろう。


 特に返り血とか、色々と大変だった……。


 王都での依頼も、無事に完了したし残りの滞在期間をゆっくりしたら元の街へ帰ろう。


 そうなると、お留守番している皆への御土産も用意しないといけないな。


 そして俺は、王都の店を見て回り、布や革や洒落たデザインの指輪や腕輪などを複数購入。


 値段自体は高くないが、綺麗な宝石も買ってみた。


 これらを、相手に合わせて【変換】特注の装飾品(一品物)にしてプレゼント作戦だぜ!


 魔猫には、お洒落で品のある布のスカーフと革のチョーカーをご用意。


 少女ミーナには、宝石を付けた綺麗な指輪かな? まだこれは早いかな? ネックレスにするかな?


 そして少年ルークには、見た目がイカした超カッコイイ腕輪をあげよう(自信作だ)


 これでお留守番組も、皆喜んでくれるかな(笑)


 宿屋の女将達にも、ちゃんと考えてある。それはやはり新作の美容品各種だ! 女性陣には、きっとこれが一番嬉しいだろうからね。間違いない!


 今後は値上がりして、個人で買うのはちょっと大変だろう。勿論、廉価品じゃない『新作の高級品』だ。


 彼女達への、日頃の感謝の気持ちは決して忘れてはならないんだ。


 それに、ミーナと魔猫に早く会いたいな~。みんな元気かなぁ? 流石に王都までは、念話も通じないんだよな。


 それに俺もいつの間にか、孤児院で子供達と遊ぶのが楽しみになっていたし。あの孤児達も元気かな?


 ルークは冒険者ランク上がっているかな? そろそろ一緒のPTを組むのもアリかなぁ? 何か急に人が変わったみたいに、ストイックな感じになったから、まだ早いです! とか言われてさ、もしかして断られちゃう? ねえどうなのルーク君? そこら辺どう考えてる?


 そんな風に、自然と皆の事が気になっていた。


 まずはお土産、沢山用意して帰ろう。みんなが待ってる。そうして俺は、王都の特産品をしこたま買い込みながら、王都で残りの日々を眷属と一緒に、のんびりと過ごしたのだった。


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リザルト


○黒魔鉱の片手剣と黒魔鉱の盾 獲得


○守護のチョーカー&孤高のスカーフ製作⇒魔猫ブルーアイ(防御力&魔法防御と状態異常耐性UP)


○祈りの指輪製作 ⇒ 少女ミーナ(最大MPと精神力UP) 


○不屈の腕輪製作 ⇒ 少年ルーク(状態異常耐性UP)


○女将達女性陣へのお土産 ⇒新作美容品をいっぱい


△変換:黒魔鉱石と禍々しい斧 消失


△購入したアクセサリー材料などの代金:大銀貨3枚支払う


△王都の特産品の大量購入による散財:大銀貨5枚を支払う


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