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何とかなるよ多分きっとメイビー

「ここが、あの衛兵さんにオススメされた紅の海豚亭か~」

 

 街の入り口で、あの衛兵さんに勧められたお食事処兼宿屋まで俺はトコトコ歩いて来た。


 だがしかし、見た感じは至って普通の宿屋である。

 【紅い】とか【海豚】の要素は一体ドコにあるのだ?


 屋根などの色は全く紅ではないし、海豚の要素もドコにあるのやら。


 俺の固有スキル【ヘルプ】大先生でも、その理由はわからないのだ。


――僕の中で、この世界の謎が1つ増えた瞬間だった。


「すみませーん。あの~お部屋、空いてますか? えっと私1人なんですけど~」


 宿屋の正面口から、扉を開けて中へ入り俺はカウンターにいる妙齢の女主人? にそう声を掛けた。


 とても優しそうな風貌の、年齢は30歳前後の素敵な女性。オッパイガトテモオオキイデース!


 そう言えば、ここを教えてくれた衛兵さんも、部屋は清潔で()()()()()()()()だし、出される食事もめちゃくちゃ美味いぞ! とかって言ってたな。これは期待しても良さそうな予感がする♪


『は~い。いらっしゃいませ! お部屋は個室でも相部屋(2~4人)も空いてますよ~?』


 と言われたので


「個室でお願いします! それと宿代とか食事っておいくらですか? もしかしたらこの街で手に職付けるまでは1ヶ月くらいお世話になるかもしれないのですが」


 と詳しくを話していく事にした。


 (相部屋とか、多分同じ部屋に泊まるのは女性同士? なんだろうけど……。僕には無理無理ッそれは流石にダメです)


 僕が色々な意味で落ち着かないからパス。最悪だと女性へのトラウマ発症する。


 こうして女将と会話するくらいなら全然問題ない。


 パーソナルスペースに、自分以外の人が居たりするとちょっと無理なのは前からだし。


 綺麗なお姉さんを《見るだけ》なら好きなんだけどね。それに僕は変態ロリコンでもないし元々ノーマル属性。当時の彼女との女性経験くらいは多少あるけどね。きっと普通ですよ普通。それに女性ってやっぱり分からないし、すぐ感情的になる子はちょっと怖いし苦手。腐女子に理解はあるつもりだけど僕自体にBL属性は無いし無理。この世界でもし、マッチョなゲイの男性が現れたら絶対に関わらない。ダッシュで逃げるだろう。これは絶対にフラグではない!


……コホン。盛大に脱線した。


 宿泊の値段は、個室が1泊素泊まりで銅貨4枚。宿泊客に出す食事は1食につき銅貨2枚。


 そうなると、だいたい1日で大銅貨1枚になるのか。

 そうすると1ヶ月で、銀貨3枚くらいになるのかな? 

 ならば今の軍資金で暫くは全然余裕だろう。


 ぶっちゃけ食事も睡眠も僕には必要ないんだ。削ろうと思えばいくらでも削れる。


 長期宿泊の特別サービスとして、付いてくる食事に女将が適当なオカズ1品無料で追加してくれるみたいだ。わーい。


 時間帯的にも、そろそろ昼ご飯が食べられるとの事だったので、とりあえず1泊分の料金と食事分を払って出されたお勧めランチを食べてみたのだが……これが正直思っていたよりも美味いのだ!


 一見ポトフのようなスープ。

 ジャガイモやニンジン、玉葱やキャベツみたいな野菜が大きめにゴロゴロ入って、よく煮込まれたスープが出てきたのだ。


 味付けは多分塩だけではあるが、それが半端なく美味しい! 素材が非常に良いのかな!? 地球のお野菜よりも美味しい可能性! これは今後も食事は期待出来そう。


 そして焼きたてではないが、まだ充分に柔らかいパンが3つ出てきた。


 そして厚めにカットされて焼かれた、豚肉のような? 大きなステーキである。【ジュウジュウ】と食欲をそそる音を立てていた。うんまぁ今の僕に食欲は無いんだけどね? 前世の記憶というかね? 美味しそうだなって思うとお腹が空いた気になるのよね? 決して生前の僕が食いしん坊だったとかでは無い。


 それにこの熱々のステーキには、何とこの女将の特製ソースがかけられていたのだ!


 ぶ厚いステーキにオリジナルの特製ソース。これは最強のパワーワードなのは言うまでもなく。


 ジュウジュウと音を立てる、ぶ厚いおステーキとそこにかけられた特製ソースが、肉の焼ける良い匂いと合わさり極上の香りを最早暴力的に解き放っていたのだ。


 そしていざ、肉をナイフで切り分けた瞬間に広がる、たっぷりの肉汁が溢れ出し……。


 噛み締める程、口の中に肉汁が溢れそれが特製ソースと合わさり最高のハーモニーを奏でる。


 ぶ厚く切られた肉なので、まさに【肉を食っている】という感じがまた良い。


 それがまたパンと非常に合う。ん~うまいっ!


 最初はついつい、米と一緒に食べたいなと考えてしまった日本人の僕だがパンでも充分満足。


 あまりの俺の食べっぷりに女将に唖然とし、僕はパンを平然と追加して貰ったのだった。

 

 とても満足です。御馳走様でした! 女将を拝んどこ。


 元いた世界の料理とは全然違うし、どれも違う味付けであるがこの世界でこれ程の美味しい料理が食べられるとは、正直僕は全く思っていなかった。


 ここならば、暫くの活動拠点として住んでも良いかと思ったので即1ヶ月分の宿代等を追加で支払う事にした。


 借りた部屋の鍵を預かり清潔な部屋を見て、全く問題が無いのを再確認したので次の予定としてこの街の冒険者ギルドへ向かう事にした。


 生活費にはまだ余裕があるけど、お金を稼ぐ手段は得ておきたいよね。


 その前に武器と防具かな?

 この街娘スタイルでは、冒険者ギルドに行っても追い返されかねない。


 宿の女将の《リン》さんに、オススメされたお店の場所を聞いて早速向かう事にしました。


――そして無事に、冒険者の装備を整えたのだった。


……ジャカジャーン!


 メイン武器は《ロングボウ》にして、防具は《ライトレザーアーマー》で、靴も革製でお揃いにしてみた!


 雑貨屋でも冒険に必要な道具を一式揃えた。

 支払いは全部で銀貨7枚だ。そろそろ軍資金が尽きる。物価が……。


 でも店主のオジサン達は、愛想良くしていたの僕にかなりオマケしてくれたのでラッキー。


 【可愛い街娘】が、これから冒険者になるって事でそれぞれの()()()()()店主達は色々心配やら何やら、ためになる話を沢山してくれたのだ。


 うんうん、実に良い人達だった。今後も御贔屓にして行きたい所存である。にこにこ。


 そしてついに、新人冒険者風の超絶美少女がここに誕生した!


 ちなみに、装備をヘルプ先生で参照してみたらこんな感じだった。


レア度:N

武器 :長弓(強化可能)

属性 :無(付与可能)

攻撃力:+15

耐久度:100/100

備考 :矢の種類により攻撃力などが追加上昇


 購入した矢筒には普通の木の矢が30本入っている。


レア度:N

武器 :木の矢(強化可能)

属性 :無(付与可能)

攻撃力:+10

耐久度:30/30

備考 :


 鎧は


レア度;N

鎧  :ライトレザーアーマー(強化可能)

属性 :無(付与可能)


物理防御:+15

魔法防御:0

回避率 :+3%

耐久度 :130/130

備考  :


 靴は


レア度;N

靴  :ライトレザーブーツ(強化可能)

属性 :無(付与可能)


物理防御:+5

魔法防御:0

回避率 :+2%

耐久度 :130/130

備考  :


 となっていた。


 装備も強化したり、属性が付与したり色々出来るみたいだね。


――意外とこの世界のシステム、奥が深いんじゃないかと感じる。


 さて冒険者ギルドの方も、リンさんに場所を聞いていたので迷わずに到着~。


 ギルド受付の美人職員さん《お約束》に冒険者登録に必要な書類記入をして、登録料(大銅貨5枚)を支払い簡単な新人冒険者としてのレクチャーを受けた。


 レクチャーが終わり帰る頃になると(最低ランク冒険者の証)青銅のプレートを貰った。


 プレートの裏には、僕の名前や年齢など簡素な個人情報が刻まれていて、これが僕の冒険者としての身分証になるのだ。


 そうそう。そう言えば、冒険者登録をしようと並んでいたらお約束テンプレな展開もありましたよ奥さん!


 全く……。冴えないオッサンが、気安く絡んでくるなんて!


 何が『ここは女子供の来る場所じゃないぞ!』ですか! ぷんすこ。

 しかも! いやらしい手つきで僕のお尻を撫でやがった。


 僕を単純な見た目で判断し、即ギルドから追い出そうとしてきたセクハラのオッサン冒険者。


 そこで僕は、笑顔のままオッサン冒険者の腹に素早くワンパンを決め事態を収束させた。


 う、うん。一応ちゃんと? 手加減? したよ? あまりの戦闘力の高さにちょっと自分でも驚いたけど。


 正直言ってここまでとは予想外だった。

 これなら充分冒険者もやれるね! きっとその辺の魔物も余裕もしれない? かも?


 そして本日……。実は何度も何度も流されている脳内音楽の大合奏である。


《パラッパッパッパー♪ ヘイYo!》


 おい選曲? この音にしたの誰? まさか女神様? マジ?


……まあ内容はきっと、レベルUPとかだろう多分。ちょっとイライラしてきた。


「……うん。まぁこれは落ち着いてから確認するとしよう」


 今ちょっと忙しいノヨ本当に。


 設定可能だったので、アナウンス音量をOFFサイレントモード状態にした。


 美少女の(特に僕たいな普通の街娘)冒険者は珍しいみたいで、最初から色々なPTにしつこく勧誘されたけども、そもそも成り立て青銅級な僕って、当分ソロ予定なんだよね?


 冒険者ランク的にも、街中依頼の《パシリクエスト》しか現状受けられないので、PTを組んでも誰も旨みがないんだよ。何でペーペーの僕を誘うんだよ! 馬鹿なの死ぬの?


 そもそも僕と固定PTを組むなんて事が無理じゃない?


 臨時PT? だけならともかく。僕の()()的にヤバイ。


 もしかしたら僕って、この世界でずっとボッチ生活になるなのかな……。

 そんな風に考えたら、ちょっと寂しくなってきた。しょぼん。


 食事も睡眠も必要ないし。

 そもそもが人間じゃない。

 子供は作れないし、そもそも女性でも無い。

 不老だから誰よりもきっと長生きするんだろう。生きるというか活動?


 だからきっと、普通の相手とは固定PTなんて組めないよね。うん仕方ない。


 女性にトラウマ(修羅場)があるからこの体は女性型にした。女性に性的な目で見られたくない。付き纏われたくない。もうマジ無理リスカしよ(しない)


 逆に見た目が女だからって、男性に言い寄られるも嫌だけど。

 そんな奴には俺は男だ! とでも言う? ちなみにアソコを生やすだけなら可能みたいデス。

生殖機能は無いけど。


 外見は超絶美少女……いや普通に可愛い筈だ。それは自分で言うのも何だけど。


 何処かに程よい距離感で、ずっとお友達で一緒に居られる人なんか見つかるのかな?


 正体? がバレて一生追い回されて捕まったりしてさ。解剖されて体中こねくり回されて研究されたりなんかはしたくない!


 身バレダメ絶対。断固拒否! No人体実験モルモット


 やっぱり自分はソロ安定! ぼっちで良いかな。

 普通に目立たず、この世界でのんびりスローライフするのだ。


 ただの街娘としての生活だけでは面白味の無い生活しかないだろうから、一応誰でも簡単になれる冒険者になってみたんだ。生き続けるためには程々の刺激は必要だろうし。


 正体を隠したままこの世界で普通に生活して、目立たず活動をして行くの事が当面の目標なのは間違いない。


 まぁ適当に頑張ろうぜ。うん。何とかなるよきっと多分メイビー


 そんなこんなで、無事に超絶美少女な冒険者ユウコ爆誕!


――その正体は【人間に擬態したホムンクルスライム】デース。


――――――――――――――――――――――――――


リザルト


テレッテッテッテー♪


○スキル:交渉Lv1 が発現しました 


○スキル:擬態戦闘Lv1 が発現しました


○スキル:手加減Lv1 が発現しました


○対人戦闘初勝利 によるボーナスExp100を獲得


○ワンパン勝利により 称号「ワンパン」を獲得しました


○称号「ワンパン」獲得により、素手での戦闘ダメージが上昇します


○獲得したExpにより、レベルが3まで上昇、各種ステータスもそれぞれ上昇しました


○レベル上昇に伴い、カルマ値が+10x2上昇

一定のカルマ値を達成した為「恩恵」が強化されました

(最大HpとMpの1%上昇が付与されました)


○レベル3達成による、Exスキルの成長ボーナスを獲得

「学習、擬態、吸収、自己再生 物理耐性」それぞれのレベルが2に上昇しました


「ヘルプ」が強化され、ガイド音声に使われる声に新Verが追加されました


○レベルアップによる派生効果、ボディの活動エネルギーの超回復が発生しました


それにより本体のエネルギー容量の最大値も増えました


○新人冒険者となった事により、称号「Newbie」獲得しました


○称号「Newbie」獲得により、最大HPとMPが+5上昇しました


△総額銀貨10枚と大銅貨5枚を支払い、活動拠点(紅の海豚亭204号)と冒険者証、装備一式を入手しました。

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