強い魔物の気配がビンビン物語
「では往くぞ! モッチー!」
俺は走り出した。
『チュッチュ~♬』
と魔鼠の鳴き声が、俺の首元からした。
俺は首元に紐を吊るし、その先には袋が吊るしてある。
その中に『チョコン』と顔を出す魔鼠の姿があった。
魔鼠の動きは素早い。そしてジャンプ力もある。
だが持久力や、そもそも俺との歩幅が違うのだ。
俺がモッチーを抱え、全力で走る方がずっと速い。
そして、俺が全力で走ってもモッチー袋が揺れ過ぎないように、そっと胸と防具との間に挟むように固定するのも忘れない。
そして全力で走る。ダンジョンへ向けて。
気配感知ON。ポチっとな♪
周囲の存在を探りつつ、不要な戦闘を避けながらも一直線にダンジョンへ向けて走る。走る。
俺のボディの特性と、Exスキル『高速擬態移動』を駆使してダンジョンまで走る。
そして戦闘を避けつつ、ダンジョン前へと無事到着。
……なるほど。最近この辺で戦闘があったのは、確かに間違いないだろう。
まだかすかに、血生臭い独特のものがまだそこには漂っているのを感じた。
「そして、ここが目的地のダンジョン!」
俺は魔鼠のモッチーを、袋からそっと出してやった。
では行くか!
俺は擬態を今度は戦闘モードにする。
俺は普段の軽鎧装備などを、擬態に取り込みそのまま収納し、そのまま自分で全身衣姿を形作った。
※ イメージとしては全身タイツ姿(全体真っ黒で隠密効果。静音性が高い)
顔も全てマスクで隠れているが、視界は充分に確保した。
これで万全だな。と俺はドヤ顔でそう思った。
そして俺とモッチーは、この世界に来て初めてのダンジョンへと足を踏み入れたのだった。
ダンジョンの中は非常に暗く、歩きにくい自然洞窟型のダンジョンだった。
しかし俺と魔鼠には『気配感知』と『暗視』スキルがあり死角は無かった。大丈夫だ! 問題ない!
逆にこちらは『気配遮断』もあるので、もし魔物と遭遇しても楽に先制攻撃を取れたので、不意の遭遇戦も無く何の苦労もせずに討伐が出来た。
ダンジョンと言っても自然洞窟型。
普通の冒険者でも、暗いのと多少歩きにくいくらいのものだ。
せいぜいが分かれ道くらいで、進むべき道に迷う事は特になかったのも大きい。
擬態移動と『静音移動スキル』も駆使する事で、ほぼ無音で移動する俺達。足元の小さな段差なども俺は苦労しない。
そして、分かれ道などにはモッチーを走らせ偵察。
行き止まりや、モンスターの配置なども俺がサーチで確認。
敵の気配が無いのを確認しながら、魔鼠と視界の共有も駆使しどんどん進む。
そして程なく、このダンジョンの一番奥へと到着した。
「強い魔物の気配がビンビン物語だな(笑)」
俺も魔鼠も、奥へ近づくにつれて漂ってくる、その独特な強者の気配に気付いていた。
ゴブリンとは圧倒的に格が違う、今までで感じた中で一番の強者な魔物の気配だ。
――流石【ダンジョンボス】って感じだ。
ボスとの戦闘を始める前に、俺達はここで最後の休憩を行う事にした。
『カリカリカリッ』
モッチーは今、嬉しそうにゴブリンの魔石を齧って一心不乱に食べている。
魔鼠となったモッチーには、魔石が大層なご馳走のようだ。
(硬いチーズみたいな感じなのかな? 長い尻尾がブンブン振れてて……えらい可愛いなぁ)
倒したゴブリンからは、忘れずに討伐証になる右耳と魔石だけ取っておいた。
そして現在、魔石を沢山食べたモッチーは、超ご機嫌だった。
うんうん。癒される。本当に動物は癒しだと僕は思う。
「モッチーはこの辺で待機で。ボスとの戦闘に巻き込まれないように注意ね」
と俺は忘れずに指示を出す。
――これから強敵との戦闘だ。
俺はわずかの緊張と少しの興奮を覚えていた。
でも俺は知らなかったんだ。まだ気が付いていなかった。
その空間で……そこで今何が行われているのか。
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リザルト
○スキル:擬態戦闘Lv3へ上昇
○スキル:高速擬態移動Lv2へ上昇
○スキル:暗視Lv2へ上昇
○スキル:静音移動Lv2へ上昇
○スキル:気配感知Lv2へ上昇
○スキル:気配遮断Lv2へ上昇
○ゴブリン討伐:Exp+45x23 獲得 右耳x23獲得 小さな魔石x23⇒モッチーの胃袋へ
○獲得したExpにより、レベルが9まで上昇、各種ステータスもそれぞれ上昇しました
○レベル上昇に伴い、カルマ値が+10x4+(+5x4)上昇
○レベルアップによる派生効果、ボディの活動エネルギーの超回復が発生
それにより本体のエネルギー容量の最大値も増えました