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【鉄壁】のルーク

 よう! 俺の名はルーク。

……冒険者だ。


 職業は戦士。以前は大盾を使って、PTではタンク役をしていた。


 だけど年齢的にか、体に無理が出来なくなってきて、PTのタンクが出来なくなってから俺は、それからは中途半端な戦士役として……緩やかに落ちぶれていった。


 そして……。いや、もう止そう。


 ある時、俺は何故か【少年】へと若返ったんだ。理由はちょっと説明出来そうにない。


 だが、以前の記憶や経験、そして技術をそのままに若返れたのだ。


――これがどれだけの奇跡か、その事で俺がどれだけ救われたか。


 それは、これから語っていく事にしよう。

 

 俺は、今は新人冒険者の少年戦士ルークとして活動している。


 固定PTなどは組まず、基本はソロで活動だ。

 その理由はいくつかある。

 1つは、俺の能力に大きな秘密があるせいだ。


 元々、中級程度の冒険者だった俺だ。

 その技術や経験が、今の俺に引き継がれているだけでも、新人冒険者にしては異例だし筋が良いとよく言われる。いや良過ぎるんだが。


 ある意味、一種の天才的な扱いを受けてしまって非常にバツが悪い。俺は天才なんかじゃない。


 そして理由その2。


 技術や経験などだけでも、非凡な扱いを受けてしまいかねない今の俺だったが、それよりもっと切実な問題と言うか秘密を抱えている。


 それは……以前とは比べられない程の、身体能力ステータスだった。具体的に言えば、ほぼ全ての能力が以前の俺(中年だった)の全盛期をすでに超えているんだ。


 どうやら、俺は単純に若返っただけではなく、前世の強さや記憶、経験をそのままに転生したようなものなのだ。


 この姿になって、すぐの状態ですでにそうなのだ。

 しかも、鍛錬をすればする程メキメキと能力が上昇する。


 すでに自分の能力は、一般的な中級冒険者を遥かに超えているのではないかと思う。


 そしてギルドでは、地味で不人気な依頼を受けまくった。


 ドブさらいから、お買い物代行、子守りから何でもやった。


 以前の俺なら、馬鹿にして絶対受けなかったような、ボランティア依頼も全て。


 毎日コツコツ。とにかく、小さな依頼でも全力で真摯に取り組んだ。今度こそ地道にコツコツ、真面目に真摯に全力で取り組む。そして目指すんだ! あの人に……ユウコさんに、俺を助けて本当に良かったと。そして成長した本気の俺とPTを組んでみたいって言わせたいんだ!


 あれから毎日、必死に鍛錬を重ねた。毎日厳しい対人の訓練もした。ギルドの依頼も受けまくって意図せず特別報酬も得たり、強い魔物の討伐も何度も経験した。


 そして俺はいつの間にか、ソロ専門だが【ギルド期待のホープ】として、周囲に認知される存在となっていた。


 以前の俺の事を考えると、こんなにも自分の行動次第で周囲の反応が変わるものなのかと実感したものだった。


 以前の俺は、自分では抜けられない負の連鎖スパイラルに陥っていた気がする。だが今の俺は違う! もう以前の俺では無いのだ。


 周囲からは、何故固定PTを組まないのか? などとしきりに聞かれたものだが。


 だけど、俺には上記にもある理由の通り、気軽にPTを組めない理由がある。


 この小さくない秘密を抱えて、ソロでコツコツ毎日精一杯頑張るだけで、すでにこの扱いなのだから。


 きっと俺が、自重無しで全力で振舞えばきっと厄介事もそれだけ増えるのだろう。


 それに、俺には大きい目標がある。

 それは俺が尊敬する冒険者の、あの……ユウコさんと対等な条件でPTを組んで世界中を旅する事だ。


 ユウコさんは、私はただ観光がしたいだけだと笑っていたけれど(笑)それだけでも俺には充分だ。一緒に旅をしたいんだ。尊敬する彼女に認められて、必要とされたい。


 世界をただ巡るだけでも、この世界では当然力が必要だ。

 自衛をするだけでも、仲間を守る為にもだ。

 凶悪なのは魔物だけではない、人間だって脅威になりえる。


 だからせめて、PTを組んだら俺が前衛タンクを務め、ユウコさんのお役に立てるくらいの存在に早くなりたい。


 それまで必死に、ただただ自分の腕を磨くのみ!

 そしてユウコさんだが、指名依頼とやらで王都から戻るまであと少しだった。


 結果として、今の俺の冒険者ランクは鋼級にまで上がっていた。

 ほぼ全てソロ活動しての結果だ。


 早くユウコさんに、今の俺を見て貰いたい!


……いや別に、単純に褒めて欲しい訳じゃないさ。


 ただ少しでも早く、対等な仲間として認められたいだけだ。


 お互いに、秘密を共有したから……仲間、身内扱い。そんな関係は真っ平御免だ。


 そして、もしユウコさんが世界中を旅するなら、ドコまでも付いて行きたい。


――俺が受けたこの大き過ぎる恩は、この命を賭けてユウコさんに一生返していこうと、そう決めたんだから。


 もしPTに迫る危険があれば、俺がまずは受け止めるんだ。

 それには、まだまだ力が足りない!


 俺はユウコさんが戻り次第、もっと実力を付ける為にもダンジョンへ潜ってみようと考えていた。

 

 ダンジョンで得られる経験、お宝、ボスとの実戦。

 そのどれもが、今の自分には必要だ。

 流石に、ソロで攻略は無理だろうから、臨時でPTを組むくらいならそれも丁度良いだろう。


 臨時のPTで良い、とにかくダンジョンへ。


 普通のPTで、今の自分がどれだけの実力なのか試してみたかった所だった。


 勿論、いきなり全力全開なんて真似はしない。その辺適当に手を抜いてみるさ(笑)


 ギルドにも、近場のダンジョン攻略の為のPT募集が増えてきた所だ。


 何でも、女神教の神官さんが【天啓】を受けたとか何とか。

 ダンジョンを潰せとか、女神様も中々ハードなご命令をするもんだな(笑)


 以前の俺なら、絶対に無理な相談。もし参加したら命は無かっただろう。


 ダンジョン攻略では、何人の死人が出るかはわからない。

 それでも、今の俺には大きな目標が、参加するだけの理由がある。


 もっと強くなって、レアな装備をGETし、いつかきっと。


 こんな俺でも、精一杯足掻いて夢を見ても良いなら……。


 【鉄壁】のルークとか、呼ばれるくらい仲間に頼られるタンクになりたい。


 いや……なるんだ。俺が最強の、タンクになってやる!


 その為には、まずは特訓あるのみだっ!

 フンフンッ! ワンモアセッ!

ここまで読んで頂きまして、ありがとう御座います。


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