女神教主導による、ダンジョン攻略隊の結成
王都ベジーティは、とても賑やかでとにかく広い。流石【王都】と呼ばれるだけはあった。
「しかし凄いもんだな。前の街もソコソコだと思ってたけどさ、王都はその軽く5倍以上の規模の街か」
しかも、以前の街では殆ど見かけなかった【他種族】が、ここ王都では普通に練り歩いていた。
それら多様な種族の者達は、すでにこの王都に馴染んだ住人であったり、または流れの冒険者風でもあったり、はたまた露天などで怪しい商売をしていたりと千差万別。
「ほわぁ~! エルフとか初めてみたぁ! やっぱりみんな美形だな。知識としては知ってたけどさ」
エルフにドワーフ。お? あれは竜人か? 本当に珍しい種族もここでは沢山いるな。
そして中でも、俺の興味を引いたのは断然『獣人族』であるのは間違い無い!
「猫獣人のお姉さんだ! ほぉ~やっぱり実際見ると、凄く可愛いよな。そこの犬獣人のお兄さんも、凄く格好良いね! ああーっ! 獣人族の皆さんと俺は仲良くなりたい。そして仲良くなって、あわよくば耳や尻尾を撫でてみたい。声かけちゃおうかな? でもいきなり声掛けたら、きっとダメだよね? うーんうーーん」
……おっと、いかんいかん。ちょっと浮かれ過ぎだ自分。
もっと、王都を観察しないと。それとお仕事用の、材料の買出しをしないといけないんだ。
市場は……おお~凄い。野菜も果物も、種類が豊富で新鮮だ。同じ商品も沢山売ってるし、どれも本当に美味しそうだ。
競争も激しいからか、どこのお値段も手頃だ。この際だから色々買っちゃおうかな。
『ヘイ! 毎度アリッ! 嬢ちゃんまたどうぞ~』
こうして買った材料からは、新商品も作れそうなので楽しみだな。
実際には、色々と買い過ぎではあったのだが、購入してこっそり擬態収納していくので、俺の手ぶら状態は変わらない。
これだけ沢山買ったのに、外見(擬態)に変化は無い。
一体どのくらい入るの? 俺の擬態収納って。まいっか。
あ! 公衆浴場みたいなとこ発見! 後でお風呂入りに行こう♪
そう言えば、温泉とかって近くには無いのかな? もしあるなら入りたいな。
【ピピッ】とヘルプで検索だ。
この王都から、北にある山岳地帯付近の街で、一番近い温泉街があると出た。片道馬車で3日くらいだ。
うーーーん。これはちょっと遠いかな。フラッと1人で、今回は行ける場所じゃなかった残念。
温泉は、この仕事が完了してから考えよう。
どうせ行くなら皆で行きたいよね? 温泉旅行とか。
「おっ! 王都の冒険者ギルドだ! 王都だと建物も大きいな~」
ちょっと中を覗いてみよう。(トコトコ)
「フムフム。流石王都の冒険者ギルド。沢山の依頼書で依頼板は溢れているな」
若干、強そうな魔物の討伐系の依頼が多かったが、俺のランクじゃ受けられなかったよ残念。
もうちょいランク上げないとね。せめて【銀級】くらいに。
などと考えていると、とある冒険者達の会話が耳に入ってきた。
『オイ? 聞いたか? 女神教の司教達が一斉に【天啓】を受けたって話。何でも、ダンジョンの攻略をしろとか。んでな? 女神教は今回から、ダンジョンの攻略隊を募って随時派遣する事になったみたいだぜ。俺達も参加するか? 報酬は良いみたいだぜ。ダンジョンだから、危険は大きいだろうけどな! ハイリスクハイリターンって事さ』
……などと言っていた。ほほーっ! ダンジョンね? ふむふむ。思わず耳をダンボにする。
『ダンジョンってあれだろ~? 魔物が群れて上位の魔物に進化して出来るんだろ? それって危険すぎるだろ! 命がいくらあっても足りないぜ。俺はパスだな!』
『いやでもさ? ダンジョンって、お宝もあるって話しじゃん? 見つけたお宝は、見つけた人のもんにして良いらしいぞ? それって一攫千金じゃん! やっぱり冒険者なら冒険しないと(笑)。それとダンジョンにあると言う罠なんか、俺なら軽く解除出来るぜ? 俺とPT組んでダンジョン行くって奴、他にいないか? 取り分は……』
『ダンジョンって、あれか? 先日見つかったダンジョン。王都を出て、南へ歩いて半日くらいの森の奥。出るのはゴブリンばっかだったって話しの? 相手がゴブリンじゃー、そのお宝ってやつも実は期待出来ないんじゃねーか?』
『いやしかしだな! ダンジョンの奥には、ダンジョンボスって大物が、必ずいるって話しだ。そいつを倒せば希少な素材や大粒の魔石、レア物も落とすって聞いたぜ!』
ほほーっ。【ボス】に【大粒な魔石】と【レアなアイテム】ね。
クッ……。前世の俺の、コレクター魂が疼くぜ!
ちょっとだけ興味が出てきた。そのダンジョンとやらに! ふむふむ、王都から南に出て半日ね……。
俺なら全力で走ればすぐじゃね? ちょっと探検するのも面白そうだな。
行く? 行っちゃう? もう行くしかない?
いつ行くの?