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そうか、犯人は……お前なのか! 裏切りのブルータス

「コレは、一体何だ……?」


 朝起きると、目の前には丸い耳、とがった鼻先、長い尻尾の生物の姿があった。


「うん、まぁネズミだよね?」


 朝から超ドッキリしたぁ! 全く動かないけどさ。死んでるのかな?


 普通のネズミにしては、だいぶ、いやかなり大きいな。


 もしかして、ネズミの魔物なのかな? それとも変異種とか?


 ネズミをそうして、じっくりと観察していた俺だったが『ニャー?』と、ブルーアイが鳴きながら俺に擦り寄ってきた事で、俺はこの事態の全貌を瞬時に把握したのだった!


「そうか、犯人は……お前か! ブルーアイ」


『にゃー~ん』ドヤッ!


 所謂『猫のプレゼント行動』ってやつ?

 魔猫になっても、こんなとこは普通にするのな? 種的な本能ってやつなのかな。


「よ~しよしよし。上手に獲れたね~。これはだいぶ大物じゃないか」


 褒めて欲しそうな雰囲気だった愛猫を、ご期待通りにワシワシ撫でる俺。


『ニャニャーン♪』ゴロゴロ。


「しかし、コレは一体どうしたものかな」


 魔猫に聞いてみたが、もうソレはあげた物なので、俺の好きにして欲しいみたいだ。


 いや、死んでるネズミとか、正直いらないけれど。


(コレを女将に見せたら、ちょっと面白そう)


 一瞬だけ、そんな事を考えてしまった。いかんいかん。

 あんな素敵な女性を、怒らせたらどうなるか。考えたくない。


「誰にも見られないように、庭に運んで埋葬してやろうか」


 ヒョイッ! とネズミの死体を持ち上げ、俺はそう考えた。


――その時だった!


 ピクリ!? とネズミが動いたのだ。


「……!? まだ生きてるのか? それならば、みすみす死なせる事ないか」


 とある考えが浮かんだ俺は、指先から()()を搾り出す。


 それをポタポタと、数滴ネズミの口の中に垂らした。


 そして、俺の体内で死蔵されていたヤバイ物の1つの『Exポーション』を取り出し、瀕死のネズミへと振り掛ける。


……これでどうだ!? やったか?


 そして俺が想定していたのは、このネズミの眷属化だ。


 瀕死の対象に、俺の体液を注ぎ込み、回復(復活)させる事で起こる筈だった。多分きっとそうだと思う。


 回復魔法ではなく、今回は自作ポーションで眷属化を試みた。


 人間を相手にして、ホイホイ試せる訳じゃないからね。

 それに例え人間を眷属にしても、俺にはどうしようもないだろう。


 むしろ、どうしたらいいの俺? って感じ。


 それに実験と言えばマウスだろう? 間違いない(確信)


 などと考えている内に、ネズミに変化が訪れた。


――まずは体毛が真っ白になった。これはアルビノ化か?


 意識が戻ったのか、ネズミは近くにいる俺と猫を、交互に見ながら、モジモジと体を動かし続けたが、やっと落ち着いのたかその動きを止めた。


 そして、ハッキリと知性を感じさせる様になった、その円らな可愛い眼を俺に向け、全身で平伏したのだった。


「うん、元気になったな」眷属化成功。


【魔鼠】となった、そのネズミの瞳は驚くほど真っ赤だ。


 そして俺へと向ける視線が、何故か非常に熱く感じる。


……いや、熱過ぎる(汗)


『チュー……』


 そして小刻みに、プルプル震えているのは緊張か?


 体毛も真っ白に、アルビノになった魔鼠。だが見た目はグッと綺麗にはなったので良い。


 元々の、ドブネズミ色からは段違いの可愛らしさだ。


 それになかなか可愛いじゃないか! 本当に無意識で、俺は魔鼠を軽く撫でてしまった。


 その瞬間、ビクーン! と震える魔鼠。

 伝わってくる感覚は【歓喜】だろうか。


 途端に『シャーーーーッ』っと、威嚇を始める魔猫。


……もしかして、やきもちを焼いたのかな?


 魔鼠は驚いて、軽く垂直に1Mくらい飛び上がり、その後はサッと俺の後ろに隠れた。


 俺は魔猫も優しく撫で、落ち着かせてあげる。


「いいかい? この魔鼠は、ブルアイちゃんの弟分? か妹分になるんだ。仲良くしてあげてな? くれぐれも食べちゃダメだぞ? それと苛めちゃ駄目だ。お姉さんとしての威厳を示してあげような?」


 と言い聞かせると、渋々と了解したような感情が魔猫から伝わってきたのでホッと安心する。


 まあブルアイちゃんは、何だかんだで優しい猫なのだ。きっと良いお姉さんになるだろう。

 すぐ魔鼠とも、仲良くなれるさ。全く心配はいらない。


 それにしても、魔鼠はオスなのかメスなのか。観察してみたがはよくわからんな。


 本鼠に尋ねて確認したが、どうやらオス♂のようだ。


「オスか。名前は何にしよう? モッチーとかどうだ?」


 ラットのモッチー。モッチーマウス。いや、なんでもない。真面目に考えよう。


『チュッ!』


 え? いいの? モッチーで? ほんとに? マジで?


 こうして、新しい俺の眷族。魔鼠♂モッチーが誕生した。


 モッチーは、その可愛らしい見た目に反して、意外と【肉体言語派】なネズミだったのは後日判明したが、可愛いは正義なので、俺にはどうでもいい事だ。


――こうして、俺と魔猫と魔鼠の理想的な異世界共同生活が始まったのだ。


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リザルト


○眷属「魔鼠」獲得 眷属分の各ステータス上昇


魔鼠の各特性スキルLv1が共有化され使用可能となりました


○称号「ラットマスター」獲得 ネズミ種との相性値+50



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