この素晴らしき異世界スローライフ
「この世界に足りない物がある。それは【故郷の味】つまり……調味料だ」ドドーン!
前世は【ルフラトス】人である俺も、たまに故郷の味付けが恋しくなるは当然だと思う。
普段食べている女将の料理は、決してまずくはない。
いやむしろ美味しい。それも半端ないくらい。
それこそ、初めて食べた時はその料理の味に思わず感動したものだ。
……だが、だからこそ。俺の中の前世の記憶(味覚)が訴えるかけるのだ。
「何かが足りない」と。
こればかりは致し方ない。
思わず溜息が出る。
幸い俺には固有スキル【ヘルプの大先生】がいる。
これでパパッと検索を掛け、この世界で存在する【似たような素材から】【似たような調味料】をそれとなく俺は【錬金術】などを駆使し作成が出来る。
ヘルプ先生最高! ビバ錬金術! イエーィ!
食欲は存在しないのだが、口にするなら美味い方が良い。
俺の行動原理は、いつだって単純だ。
だからこそ、その「後ちょっと」に拘りたい。
発酵や熟成など、時間が掛かるある物があったので、その合間合間でついでに果物ジャムも作った。
それと、先日のドライフルーツもどき。
美容健康サプリを作った際に、ふとその考えが浮かんだのだが。
柑橘系の果物【オレンジモドキ】は、この街では特産品らしく大量に安く手に入るのだ。
丁度パンに何かつけて食べたいなと、考えていたのでこの機会に作ってみたのだ。
ササッと、砂糖もどきと一緒に煮詰め、レモンもどきの汁を加えて果物ジャム完成である。パンパカパ~ン♪
しいて言うならば【マーマレード】もどき? だろうか。
前世で俺は、マーマレードは少し苦手だったが、これは意外と美味しいじゃないか!
味見をしたけど、余裕で全然合格点だ。
こりゃーパンがすすむぜ。もぐもぐぅ~うまぁ~❤
これならば、日頃お世話になっている宿の女将や孤児院のみんなの分、ついでにギルド受付職員さんにも、作った大量の果物ジャムをお裾分けをしようっと。
俺は鼻歌を歌いながら、張り切って大量に作っていった。
当然のように、皆が喜んでくれて嬉しい限り。
今度は違う味のジャムも色々作ろうかな♪
気分はすっかり料理人だ《ジャム兄さん》か?
え? こんな事(ジャム作り)しているより、早く冒険しろって?
いや~冒険者って言っても、俺は別に有名になりたい訳じゃないんだよね。
むしろ逆。今くらいで充分なんだよ。
「そのうち銀級になれればいいな」くらいの気持ち。
定期収入の稼ぎもあるし。
美容品製作してから、ギルドの依頼でガツガツしなくて済むのだ。
その内、一軒家でも購入しようかと思い、商人ギルドで仲介も頼んでいる所だったりする。
早く見つかるといいな~。凄く順風満帆だ。
愛しい愛しい、我が眷属の魔猫ちゃんと、娘のような少女ミーナ。
女将を始めとする、親切で良き隣人達。
守るべき大切な存在が出来ると、毎日の生活にもハリが出るってもんよ!
この世界に、呼んでくれた女神様には感謝しかない。
ああ、この素晴らしき異世界スローライフに、まわる世界に乾杯!




