全ては猫と少女と俺の異世界スローライフの為に【完】?
続きます!
コンコンッ『あ、あの! 早朝からすみません。ユウコさん、起きてますか?』
あ、はい。起きてますよどうぞ~?(そもそも寝てません)
『では失礼します(バタンッ)お、おはようございますユウコさん。あ、あのですね? 昨日ユウコさんから頂いた、あの美容クリームなのですが……』
……なるほど? 俺でも、女将の顔を見たらすぐにわかった。
めっちゃ肌がプルプルしとるー。透明感のある肌っていうのか。
想定以上の効果が出てるぞ?
『貴女は……。貴女様は、何という物を御作りになられたのか理解していますか? こ、この私の肌を見て下さいまし? こんなに、肌がぷるんぷるんになっています。まるで20代……いえ、10代の頃に若返ったかのようなこの肌質感。一体どうやって、こんなに凄い物を作ったと言うのですか!? こんな……夢のような事が。とても信じられませんわ!』
そうまくし立て、鬼気迫る勢いの女将の重圧に、俺は顔を引き攣らせながら、作業中の最後の工程を終わらせた。
「ちょっと? 薬効が強過ぎましたかね? あはは、実はもう同じ物は大量に作っちゃいましたんですが。気が早まりましたかね~?」
――そうなのだ。部屋には大量の商品の山《美容品だらけ》なのである。
『そ、そんな……。こ、こんなに沢山。しかも、違う商品までも? ま、まさかそんな……嘘でしょう?』
美人女将は、驚きで卒倒しそうな勢いだ。
ちょっと心配なので、一旦はベッドの上に腰掛けていただこう。
よくよく聞いてみると、女将は美容クリームの塗り加減がよくわからず、塗り込み過ぎていたらしいことが分かった。
良かった。今回作った物まで全部、お蔵入りかと思った。
「そうなんですよ。あれからずっと、この商品を開発していました!」
ニコニコと、笑顔でそう答える徹夜明けの俺。
美容クリームの、上位互換とも言える【美容ジェル】もすでに完成している。
そして更には、美容丸薬もご用意!
栄養だけではなく、しっかりと味にも拘りました。
※サプリは、果物の甘みをしっかり活かした物にした。
イメージとしては、薬効マシマシのドライフルーツ丸薬だ。
「これを(サプリ)服用すれば、体の内部から健康に綺麗になれます。効果はじっくりとですが確実に効いてきますよ」
そして次は薬効石鹸、シャンプー、トリートメント、コンディショナーだ。
美人女将は、俺が立て続けに紹介する商品の数々に、もはや失神寸前である。
「とりあえず、この商品の各種サンプルを女将さんにお渡ししますので、それらのテスターをして今後もして頂けますか?」
俺はそう言って、ドサリ! と女将の腕の中に、美容品とその説明書を渡していく。
各商品の小瓶には、間違えないように名称も記載しておくのも忘れない。
「美容クリームは寝る前に、特にケアが必要な場所に薄く塗ってみて下さい。そしてこれは、香り付きの同じ物です」
「美容ジェルは、普段から気になる部分へ、薄~く塗ってみて下さい。これにも香り付きの物があります。これです」
「美容丸薬は、1日1個を目安に服用して下さい。味にも拘りましたので、とても美味しいですよ?」
「薬効石鹸は、体を綺麗に清潔に維持出来ます。これも香り付きの物があります」
「こちらは、①薬効シャンプー②トリートメント③コンディショナーの順で使って下さい。髪の状態が凄く良くなりますので。勿論こちらにも香り付きが御座います」
だいたいの商品に、無香料タイプと香り付き《柑橘系》の2種類を用意した。
そして女将の部屋まで、試供品の数がやたら多いので俺も一緒に手伝い運んであげた。
美人女将の笑顔、それだけで俺には報酬=プライスレスだね。(キリッ
この後は、商人ギルドへと行きメンバー登録と、商品のPRをしてから、定期販売ルート確保が必要だ。
これから忙しくなるぞー!
この世界に、俺が美容革命を起こす時が、ついにきたのだ。
――全ては、愛猫と少女と俺の異世界スローライフの為に!