表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

その瞳で何を?

 嘘つきなAとの付き合いは今年で30年目、わたしはもう彼がいないと私生活に支障をきたすほどに彼に依存している。

 Aが晴れだという時は、大体雨が降ることが多い。気は利くのだが、彼との関係は疑いの目を持たないとやっていけない。全てを鵜呑みにすると、今みたいにびしょ濡れになるのだから。


「今日晴れるって言ったよね」

「ごめんなさい」

「わたしがタオル持ってこなかったら大変だったんだよ?」

「うん」


 覇気のない生返事を一つ二つ。

 あまり怒りすぎてもAの気持ちが沈むだけなので、ここら辺で留めておいた。


「全くもう」


 そして今日は私の40回目の誕生日。

 Aが何をしでかすか分からないから、私は彼にバレない様に事前にチェックする。

 ドッキリほど恐ろしいものはないからだ。

「そっちには何もないよ」という場所ほど怪しい。隈なく触って調べないといけない。


「何してるの?」

「わっ、急に声かけないでよ」

「そこには何もないって言ったでしょ」

「でも嘘つくじゃない」

「もうつかないよ」

「信じられ……」


 また怒りそうになった時、Aが何かを首にかけた。チェーンの中心には花の様な飾りが付いている。


「ネックレス……?」

「お誕生日おめでとう!」

「ありがと……」


 直球で来られると、恥ずかしくなる。


「私まだかわいい?」

「かわいいよ。ほんと」

「うそ、脈が早くなった」

「ほんとほんと!かわいいよ。世界一可愛い!」

「嘘おっしゃい」


 そのまま私は眠りについた。

 Aは悲しそうな顔で私を見ている。

 大丈夫、私はこの日を心待ちにしていたのだから。


「今からB子さんにコールドスリープを施します。これからの未来、彼女の視力が回復する方法が見つかるはずです」


 無機質な箱の中、小さな嘘つきのAIはB子さんに寄り添いながら眠りについた。

文芸学科と呼ばれるものがあるのですが、そこの過去問は突飛なものばかりです。基準果たしてなんなのやら。


勉強をしていてよく分からなくなることもあります。

あーあ、受かってるといいなぁ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ