SS~武器~
その日は朝から快晴だった。
「おーい!起きろーー!」
「むにゃむにゃ・・・あと5分・・・」
こんないい天気なのに惰眠をむさぼる奴は誰だよ・・・
〈おとーさんだと思うの~。おねーちゃんの言うように早く起きるの~。〉
はい、そうですね。
とはいえまだ朝の7時だろうに。
「他の奴らはもう皆行っちまったんだぞ!お前のせいで遅れてるんだからな!
昨日までは何かやることがあるとか言って狩りに参加しなかったんだから今日からはビシビシ働いてもらうからな!
昨日までのお前の飯、誰が取ってきてたと思ってんだ!」
バルト君、説明ご苦労。
「なんか今無性にいらっとしたんだが・・・」
「気のせいだよ。」
それにしても狩り、ね。
僕にとってはメリットしかないしね。
とは言ってもふーこがいなくなったデメリットも大きい。
多分、そこら辺の虫と良い勝負を繰り広げられる。
〈ぼくもやるの~。〉
なぜか雪もやる気満々だね。できればとどめは譲ってほしいけど。
「ところで何作ってたんだ?剣か?それとも弓か?」
「むしろなんで武器なんて知っているのか気になるんだけど・・・」
そんな大層な物じゃない。
「これだ。」
「・・・。俺にはそれがただの木の棒にしか見えないんだが・・・。」
失礼な。ようやく鑑定さんに認められた一品だというのに。
木の棒
ランク:ノーマル
魔力を吸った木をほとんど加工せずにいるもの。
持ち手の部分に糸が巻きつけてあり、滑りにくく
なっている。強度がやや上昇すると共にわずかに
魔法の発動を助ける。
まだ名前がつけられておらず可能性に満ちあふ
れている。
魔法攻撃力+5
見てみろよ!
もう(笑)とか武器・・・?とか言われなくなったんだぞ!
〈はいはい。おめでとうございます。でも武器は装備しないと意味ないんですよ?〉
・・・まさかそんなテンプレな台詞を聞ける日が来るとは。
ネタ心をよく分かっていらっしゃる。
〈いやいや!ネタではなくてですね!本当に装備する必要があるんですよ!〉
いや、もう装備してるでしょ?
〈武器は魔力を流して初めて『装備した』と言えるのです。実際にやってみてください。〉
魔力ねえ・・・。
・・・・・・。・・・。
できた!
なるほど確かになんとなく木の棒が魔力を纏ったように見えるね。それと少し軽くなった・・・?
〈その状態が『装備』です!書かれていたちょっとした効果もその状態でなくては発動しません!〉
ちょっと待って。
僕、ちょっと前までそんなことしてなかったよね?
なんで教えてくれなかったのさ。
〈いや、だってスクラップでしたし〉
面と向かってゴミって言われると流石にへこむんだけど。
〈あー。武器のランクについて説明してなかったですね。今回ついてた『ノーマル』みたいに武器には大ざっぱな区切りがあってですね。
下からスクラップ
ノーマル
レア
プログレス
ユニーク
レジェンド
ミソロジー となっているんですよ。
別にユニークの武器はノーマルの武器より絶対に強いというわけではないのですが、基本的にはランクが上の方が良い武器です。あと、このランクは武器以外にも防具や魔法具に対しても使われますね。覚えておいてください。一々説明するのも面倒なので。〉
今までスクラップとか表示されなかったけど。
〈スクラップは基本失敗作なので。〉
・・・。
「む、お主武器を変えたのか。」
外に出たらシルバーウルフに話しかけられた。
「バルトもそうだけど、なんで武器なんて使わないお前らが武器のことを知ってるんだよ。」
「言っておらんかったか?我はもともと大陸出身だぞ?」
「初耳なんだけど。」
「そうだったか?それに武器を使う魔物もいるんだぞ?ゴブリンとかな。」
「そういえばゴブリンは弓も剣も使ってたな。」
「場合によっては武器を持って生まれてくる魔物もいるからな。とはいえお主が持っていた物よりかはまともだと思うが。」
さらっとディスられる石の斧(笑)
ほんとにゴミ扱いだったんだな・・・(遠い目をしながら)
「その武器の名はなんと言うのだ?」
「名前?」
「普通は名前をつけるのが一般的だったぞ。なにせ武器も成長するからな。」
へえー。まあ考えとこ。
さて、それでは狩りに出発だ!
さてどんな獲物が出てくるのか。
ガサガサ
・・・ラビが出てきた。
「おっ。少し小さいけど丁度いいじゃん。」
アウトーーーー!!
雪の前で同族を殺せと?
絶対嫌だよ!トラウマだよ!
「あ?そんなこと気にすんなって。なあ、雪。」
〈そーだね~。おかーさんのかたきだしね~。〉
かたき?
雪、ちょっとそこんとこ詳しく。
〈おかーさんはいじめられてて~だから里から出てきたんだって~。〉
ふーこをいじめるって。そんなことできるの?
「おかーさんは反撃したくなかったからほっといたんだって~」
ふーん。
・・・ふーこをいじめてた、ねえ。
ラビは死すべし。慈悲はない。
これから毎日ラビを焼こうぜ!
「もう逃げちまったけどな。」
あっ・・・。
その10分後、今度は今まで見たこと無い奴が出てきた。
「あれはラットだな。弱い上に小さいからあまり美味しくないんだが・・・。
とりあえず、やってみろ。」
ふむふむ。鑑定鑑定っと。
ラット lv13
hp390 mp130
sp130
atk39 def26
int26 min26
dex39 agi52
今の僕よりは強そうだね。特にagiが負けてるのが痛いかな。
雪、足止めお願いできる?
〈まかせるの~〉
雪が魔法を使い、ラットの足元を凍らせる。
よし、これで奴は動けない。
「そういえばお前ら魔法使えたんだったか・・・。
じゃあ、その棒も杖ってことか?」
「うーん。ほとんど杖なんだけど少し違うかな。
・・・ところで雪。そろそろ腕の中からどいてくれない?剣がふれないよ。」
「ん~?おとーさんと一緒がいーの~。」
「おー!雪、ありがとな!」
「さっさとしろや!
ほら、雪、こっちに来てもいいんだぞ?ほら。」
「雪、お父さんもやらなきゃいけないことがあるんだ。だから、な?言われたことはちゃんと聞こうな?」
「う~。わかった~。」
そうして雪は僕の腕の中から飛び出して、そのまま地面に着地・・・せずに僕の頭の上に乗っかった。
「雪?」
「ここならじゃまにはならないの~。」
「そりゃそうだけど・・・。
まあ、いいか。落ちないように気をつけろよ。」
そのまま僕は木の棒を両手で握りしめてラットに近づき、そのまま一息に両断した。
「なんだそりゃ!?
さっきまでただの棒だったよな?」
そう、今の木の棒には刃がついている。
オーガと戦ったときにやった氷で剣を作り出す魔法だ。
木の棒という芯をいれることで強度の増加と魔法の簡略化、さらには威力の強化まで行える。
ぶっちゃけ、+5が大きい。
普通の人ならせいぜい5%とかの上昇なのに、僕に限って言うならば50%増しになる。
あと、一番大事なのは、握っても冷たくない!ってこと。
あのときは持ち手まで氷だったから冷たいのなんのって。大変だった。
とはいえ魔法の威力が低い・・・雪と比べてすら負けてる僕なんだから剣として扱うことは決定だったし。
「それって、あのオーガの首を落とした奴だよな!すっげー!なあなあ、その剣の名前はなんて言うんだ?」
おおう。食いつきっぷりがすごい。
「名前ねえ。決めてないんだよな。」
「あれ?でも『妖刀・氷虎』とかってよんでなかったか?」
ぐはぁ!
違う!僕は厨二なんかじゃない!
そんな恥ずかしい名前つけれるか!
この刀が『妖刀・氷虎』とか・・・
ピコンッ
〈あっ・・・。〉
なんか久しぶりに聞いた気がするなー。あははー。
妖刀・氷虎
ランク レア
魔力を吸った木の枝に魔法を纏わせること
で生まれた。杖としての機能はほとんど失わ
れたが魔法の媒体としては申し分ない。
使用時は名前を口に出す必要がある。
装備ボーナス なし。
なんかめっちゃ変わってる・・・。
というか物凄く弱体化している・・・。
ふ ざ け ん なーーーーー!!!!
ちなみにこれ以降雪がショータの頭の上に乗るのがデフォルトになった模様。




