~激闘開始~
タイトルと違って戦いはまだ始まりません。
タイトル詐欺なんて言わないで!
僕達はバルトの背に乗っけてもらっていた。
さすがに速い。安定してこの速度が出せるならここまで来るのももっと楽だったのにと思う。
狼の里へと着いたがなんにもなかった。
そりゃそうだ。いくら知能があるといっても家を建てたり道具を作ったりなんかしない。
理由を聞いたら作ったところで自分達の爪や牙より便利にはならないとのこと。
ご飯は生肉をご馳走になった。木を集めて火をつけたら魔法を使えるのかと驚かれた。
どうやらウルフでは魔法を使えるものはほとんど生まれないらしい。ふーこいわく、ラビのところではもっと一般的だったから種族によって差があるのだろう。
ちなみに、バルトの件だが当然騒ぎになった。族長の娘でもあり里の人気者らしい。
今は族長の手前、何も言ってこないが不満があるのが丸わかりだ。また、決闘だ!なんてことにならないのを祈るばかりだよ。
夜、改めてシルバーウルフさんと何が起こったのか話し合った。というか、森の中に急に現れたことは知っているらしく最初から全部話すこととなった。
トレントのこと、ふーことのこと、シャボン玉の件のこと、クレアにあって追い出されたこと、その途中でゴブリンに襲われたこと、そしてここまでの道中について。
当然、ゴブリンキングの実力やその編成、そしてユニークスキルを使ったことまで。
一番興味を引いていたのはここまでの道中での魔物との遭遇率だった。ちょっと意外。
というのも、本来ならそこまで遭遇率は高くないとのことだ。
シルバーウルフさんが走って一時間程度だと言っていたので、おそらく30キロあるかないかといった距離だから、一度か二度程度の遭遇はあるだろうと言っていたが、最低でも10回はエンカウントしている。
そのたびに蛇行して着くのが遅くなったのは仕方ないとおもう。
そのことを言うと厳しい顔になって面倒なことになるかもしれない、と言われた。
このような事態にならないようシルバーウルフたち四天王が魔力溜まりを管理しているはず、らしい。
「もともと、この島は魔力が薄いのだ。そこでこの地にやってきたうしがめ様が魔物によって弱いものが虐げられるのを防ごうと四箇所の魔力溜まりから生じる魔物を圧倒的強者によって狩り、安全に暮らせるようにしようとしたのだ。最初はうしがめ様一人だったが、クレアが生まれてトムが生まれて最後に我がこの島に流れ着いた。クレアは最も広い範囲を受け持っているからこういうことがたまにあるのだ。」
魔物にもしがらみがあるのか。案外大変なんだな。
「でも、なんで一番広い土地をクレアに与えるんの?それこそ言い出しっぺのうしがめが管理すればいいよね?」
「それはあいつの土地が自由を掲げているからさ。うしがめ様とトムの土地は殺生が禁止されている。要するに草食のもののみが集まり楽な生活をしていると聞く。一方我の土地では意思あるものが集まり、集落を作りそこは攻撃してはならぬとした。それもこれも我に力が足りないからよ。クレアの力は圧倒的だ。普通なら完全な自由など寝首をかかれるのが怖くてやってられんよ。」
〈どこへ行ってもお家だったら安全だったのです。ゆえにほどほどの自由を求める者はこの土地に集まります。ただ、窮屈でもあるので攻撃的なもののほとんどはクレア様の土地に移るのです。〉
「まあ、あの広さを一人で見るのは無理があるからな。今までにも何度かそういったことは報告されたことはあるし、四天王合同での狩りもしたことがあるぞ?オーガが出たという噂がたったときもあったな。おそらく今回も注意を促して少し視察をして終わりだろう。そのためにも一度集まりがあると思われるから、お主にも来てもらうぞ。」
「分かったよ。ゴブリンキングがいたっていう証言を与えればいいんだね?あと追い出されたことに対しては何もないの?」
「それに関しては何も言えん。危ない力を持っているからと、即断で殺されても文句は言えんからな。それが自由というもの、だと。」
殺す権利はあるけど殺される義務もあるってことかな?ずいぶんと野蛮・・・いや、こっちの世界ではそれが普通なのか。
「それが終わったらここにいてもいい?行くところがなくなっちゃうんだよね。」
「まあ、よいぞ。身内に引き込んでも問題はなさそうだ。我の知る人間とは随分と違う。」
「あれ?人間を知ってるの?」
「ああ、我はここに流れ着くまでは大陸におったからな。そこで一人の人間に負けて海に落ち、必死で生きようともがいた結果ここに流れ着いてな。そのときにはすでに進化しとったからここの管理人にと拾ってもらってな。四天王の中では一番の新参者だよ。」
「そっか、人間の土地があるのか。」
「行きたいのか?やめておけ。こことあっちでは魔力の濃さが違う。我もここでは強者だが、あっちにいれば雑魚とは言わんがせいぜいが中級程度よ。」
「魔力の濃さが力の差になるのか?」
「ああ、魔力が濃いものほど殺した時に手にはいるものが大きい。そんなやつらがどんどんと生まれて来るのだ。この島の大きさで魔力溜まりが4つなど信じられんぞ。だいたい700から1000近くの魔力溜まりがあってもおかしくない。」
「そんなに違うもんか。あんまし行きたくなくなってきたな。」
「それがいいだろうな。まあ、不思議な力を持っているお主のことだ。行きたいというなら止めはせんよ。」
なんだかなあ。
たしかにこの島は平和だ。けど他の人間にもあってみたい。そのためには危険な土地に行かなければならない、か。
当面はスキル上げかな?
この目の前のシルバーウルフと対等くらいになればとりあえずあっさり死ぬことはないだろう。
この3日後、僕達は四天王が集まるという会議へとつれてかれた。
それまでの2日間は狩りの手伝いをしてたよ。いくらかのスキルは手に入れられた。これを続ければ目標までは行けそうだ。
会議も面倒くさいけど、危ないことはないと言われていたから僕は特に何も考えずに雪と一緒に出かけた。
もちろん移動はバルトに乗って。なんだかんだ言いながらも移動手段になってくれるのでありがたい。
集合場所は山のふもと。ちょうど洞窟の近くに流れていた川の上流らしい。
さて、どんな話をするんだろうと少し楽しみになっていた。
次回から、バトル回になる、かな?




