~遭遇、逃亡、そして・・・~
セカさんとふーこの脳内会話を<>に変更しました。
これで少しは分かりやすくなるかと。
今僕は森の中をピョンピョンしている。
うさ耳とあいまってそういう趣味があるのかと思うかもしれないけど、そんな趣味はない。
この移動方法が一番効率的らしい。
セカさんいわく、「跳躍」のスキルなら跳ぶ一瞬のみに働かせばいいのでスタミナ効率がいいのだと。そのかわり移動速度は出せる力の半分くらいになっているがまるで問題ない。
現在は高速思考によって思考速度+30
頑丈によって耐久+30
跳躍と脚力強化Ⅲによって移動速度+150
気配察知によって索敵50メートル
のスキルを同時展開している。三番目の分の消費spはほとんど大したこと無くなってるけどそれ以外のせいで毎分11のspを使わなくてはならない。
もっとも普通に使えば毎分240のspを消費する必要がでてくるから助かってはいるのだ。・・・誰とは言わないけど。
<ドヤァ(´ー`)>
くそっ。無駄に有能だな!
<今まで何もできなかったのはマスターがスキルほとんど持ってなかったからですし?真面目に働けばこのくらい余裕なんですよ。>
そのまま真面目になってくれればいいんだけどね!
ちなみに移動速度150なので百メートル十秒のペースで走っている。十分走って6キロだね。
最初これを聞いたときおかしくね?って思ったよ。
十分で6キロって時速36キロじゃん。そこら辺の自転車より速いってどゆこと?
答えは簡単だった。「スキルによる強化は体力を消耗しない。」というルールのおかげだ。
どちらかというと、体力の代わりにspを消費している感じなのだろう。
当然、体を使えばその分体力が減る。人間は同じパフォーマンスを維持し続けることはできない。
それはこの世界でも変わらず、疲れたら休憩が必要だった。
スキルによる移動をし、その間僕自身のステータスを一切能力値に反映させないという、体を動かさないで動かすという人間離れしたことを繰り返すことで体力の消費は0になるのだ。
・・・とは言ってもspを回復させるのに一時間半は必要になるんだけどね。
30時間後、ようするに10分走って一時間半休んでを18セットほど繰り返したとき。
・・・睡眠?頭の中に直接響く有能な目覚ましに支えられてそれぞれの休憩時間のうちに取らされたよ。
もう、こんな無茶はしたくない。
<着きましたね。ここから先は下手に動いてはいけないですよ。シルバーウルフ様は侵入者に優しくないので。この大きさの獲物なら本人が出てくるでしょうから、敵対の意志が無いことを見せてかつ何か理由を説明しませんと。>
ん?普通に入ったらだめなの?
<四天王の皆様はそこにすむ魔物の管理もしておりますから、不法侵入者には厳しいです。・・・ショータなら面識もありますし、わたしの件もありますからたぶん、大丈夫ですよ?>
ねえ、ふーこ。
そのシルバーウルフがこっち見てめっちゃ威嚇してるんだけど。
「おい、人間。言葉は通じんと思うが一応警告しておこう。ここから先は我の管轄地だ。勝手なことはできんと思え。」
普通に受け入れられた。
言葉は伝わらないと思っていたらしくユニークスキルを持つ僕たちを警戒して本人が出てきたようだ。
「問答無用で襲ってきたらどうするつもりだったのだ・・・?少し気が緩みすぎではないか?」
「?・・・!?」
「何も考えておらんかったのか!?普段は侵入したものは即刻殺すことになっておるのだぞ?」
危なかった……。
ねえ、ふーこ。そういうこと知ってるなら先に言っておいてよ。
<知らなかったのです!>
<ふんぞり返って言う台詞じゃないですよ!>
これはふーこに対する罰も必要かも・・・。セカさん?だめだ。思いっきり蹴っ飛ばされるだけだ。
「ところで母親の方はどうしたのだ。子供を放っておくようなやつではあるまい。」
そこで僕はなにがあったのかを話した。クレアという他の管理者に追い出されたこと。そこから逃げ出す途中でゴブリンに襲われたこと。そしてふーこが死んでしまったこと。
「クレアのやつめ・・・。管轄地においてはそのくらいの権限はあるが、実際にやるなど何を考えているのだ?それにゴブリンだと?しかもキングとは・・・。これはうしがめ様に報告に赴かねばな。」
「そんなにキングはまずいものなの?確かに強いがあんた達と同じくらいでしょうに。」
「そもそも我らと同等というのもまずいのだ。この地にある魔力溜まりは4つ。それぞれ四天王で管理し危険な魔物が出てこないようにしているはずなのだ。ゆえにこの島は他の土地に比べて魔物が弱く、意思を持つものも多くなり平和が保たれている、らしい。全て受け売りだけどな。
そうそう、キングの話だったな。ただのゴブリンがキングになろうとすれば五年はかかる。やつらの成長は早いとはいえ相応の時間がかかる。それに長く生きれるとも限らん。一体どれだけの魔物を放置しているのか・・・。」
どうやらだいぶ杜撰な管理だったらしい。
そんなやつに追い出されたともなると腹がたつがしかたがない。
追い出されたのも正当な権利ではあるようだし。命だけでもとってもらえてむしろ重畳だ。
「それで?お主はこの土地で生きるのか?だとすればラビの里まで案内するが。ただ、できれば我の側にいてほしいのだ。ユニークスキル持ちを放置するわけにはいかんからな。」
どうする、ふーこ?
<わたしとしては裏切った家族なんてどうでもいいのです。文句を言ってやりたい気持ちもありますけど。今のショータでは一対多はできないのです。危ないのです。雪のこともありますし。>
「いや、ラビの里へは行かないよ。自由でありたいとも思わないからどうか側においてください。」
「そうか。ならば着いてこい!」
そう言うとシルバーウルフは駆け出した。
僕、あんなスピードで走れないんだけどな・・・。
「いやーすまんすまん。まさか着いてこれないとは思ってなくてな!」
「僕も雪もステータスは低いんですよ。というかまともに戦えないレベルで。」
「人間はどいつも油断ならんと聞いてるが・・・その心配はなさそうだな。本当に弱いのか。」
「そんなことより、何をするのか教えてほしいですね。」
「なに?当然狩りに決まっておるだろう。むしろそれ以外になにをするのか。」
「それはレベル上げ・・・は狩りになるのか。スキル上げとかは?」
「狩りでしかスキルのレベルも上がらんだろう。それに鍛錬などして、いざというとき戦えませんではどうするのだ。」
「え?でも狩りをしなくてもスキルのレベルって上がるんじゃ。」
「なにを言っておるのだ?」
「そいつの言ってることは正しいぜ。親父。」
シルバーウルフの後ろからもう一匹の狼が現れた。
シルバーウルフと違って少し青みがかった毛をしている。声からすると不良っぽいやつだな。
「なっ、引きこもりのお前が何故っ!」
「なーに懐かしい気配がしたんできてみたってだけさ。・・・とんだ期待外れだったけどな。」
<あっ久しぶり!>
ふーこ?何か知ってるの?
<うん!友達?みたいなのだったのです!>
おかしくね?狼とうさぎだよな?
<もともとシルバーウルフ様の庇護下にはいってますからね。最初に会ったときは怖かったですけど。>
「ところで、お前なに?あのうさぎと同じよーな匂いがしやがる。その割に弱いみたいだしよ。」
どうしようか。ふーこのことを言うべきかどうか。
<適当でいいんじゃないですか?わざわざ言うことはでもないですよ?家族とか恋人とかならともかく。>
じゃあ当たり障りのないことだけ言っとくよ。
「なにシカトしてんだてめえ!」
「ああ、ちょっと考え事をしててね。君の言ううさぎのことだけど、単なる知り合いだよ。ここに来る前に助けて貰ったことがあるんだ。」
「なに!そいつはどこにいるんだ!教えやがれ!」
「・・・もう死んじゃったよ。」
「嘘だ!あいつがそんな簡単に死ぬわけねえ!俺といい勝負するレベルの奴だぞ!」
「ゴブリン150匹に襲われてね。この子を守るので精一杯だったんだよ。」
「子供?あいつの?」
「そうだよ。なっ、雪。」
「なーに~?おとーさん~?」
「へえ、お父さん、ねぇ。」
「そーなの~。雪のおとーさんなの~。おかーさんともラブラブなの~」
よせやい。照れるじゃないか。
おや?狼君がなんかプルプルしてる。
どうかしたのかな?
「てめぇ、俺と決闘しろ!」
「だが断る!」




