第三話~うさぎ親子との出会い~
さて、虫を狩るとはいったものの。
〈何を迷う必要があるんですか!虫なんてサーチアンドデストロイ!ですよ!〉
現在だいたい7時。
夕飯の時間ですね。
〈どうせまたドングリなんですよね…〉
仕方ない。それ以外に何もないんだもの。
~ドングリ三分クッキング~
さーて始まりました。ドングリ三分クッキング!
実況はこの私、赤崎翔太と、
〈セカさんでおおくり・・・しません!〉
なんと斬新な料理番組!料理すらしないだと!
〈いや、なにツッコミがボケに走ってるんですか。それは私の仕事です。
というか料理くらいしますよ。
いやあと、実況って普通になんですかワケワカメです。〉
無理にボケを入れなくてもいいんやで・・・。
まあこの番組はドングリの簡単な調理法を画面の前の皆様にお伝えする番組です。
用意するものはドングリのみ!
野生感溢れる料理を皆様にお届けします!
では肝心の調理法ですが・・・
まず、ドングリの皮を剥きます。
〈マスター、続きは?まだ剥いたとこで終わってますよ?〉
えっ?調理完了だよ?
〈剥いただけじゃないですか!〉
それがなにか?
〈それクッキングじゃないし三分たってすらねえ!〉
カップラーメンよりお手軽に頂くことができます。
〈セールスポイントじゃないから!ただの手抜きだから!やるならちゃんとやってください!〉
一つ言おう
調味料がない、
食材がない、
まず火がつけれない、
さらには器もない、
ど う し ろ と!
〈いや、水に浸けるとか粉にするとかできることくらいありますよ。暗殺○室でもドングリラーメン作ってたじゃないですか。〉
・・・マジレスとかないわぁ~
〈思いつかなかったんですよね!?ごまかさないでください!〉
おそろしい夜があけ、朝がやってきました。
昨晩の犠牲者は・・・いませんでした。
いやーすばらしい、騎士がいい仕事したね!
〈この下り二回目なんですけど!?毎朝やるんですか!?あと騎士とかいないし!二人の時点でゲーム終わってるし!〉
さて、本日は虫狩りに出かけます。
目指すはスキルチート!もう弱いなんて言わせねぇ!
〈何も触れずにスルーしましたね。ちょっとくらい続けましょうよ。〉
こういう定番はやっぱり糸かな?
毒とかも有能だよね。
序盤で手に入れたクズスキルがあとになって「き、貴様がなぜそんなスキルを持っている!?」とかなるのもベタだよね~
〈シクシク……。〉
セカさんがなんか泣いてるけど気にしない気にしない。
「木のふり」発動してっと。
種族スキルべんりだなー
さて、問題が発生した。虫が捕まえられない。
考えてみれば地球でも虫捕まえるのって大変だよね。何を言っていたんだか。
そもそもエンカウント率が凄く低い。
一時間歩いて見つけたのが蝶一匹って。
その間に採集とかしてたけど・・・。
スキルは手に入らなかったけど、野いちごは見つけたよ!酸っぱかった!
貴重なビタミン源なんだけどね!
さらに三時間たった。
虫がいないわけではない。でも捕まえられない。
ステータス10って虫以下なのかな…。
よし、決めた!
横取り大作戦にでよう!
〈横取りですか?〉
そう、昨日スキルが手に入ったのは蜘蛛の巣にかかった奴が死んだから。
それと同じことをしよう。
〈それ、蜘蛛に見つかったらアウトだって言ってやらないって言ってましたよね〉
昨日のところなら蜘蛛いないんじゃない?あそこの巣を見張ろう!
ガサガサッ
やべっ油断した!
大丈夫、落ち着け。何のために木のふりを手に入れたんだ。動かねばバレぬはず。
・・・ヤバい。ウサギさんだ。
汗が頬を伝うのを感じる。
木、そう今更の僕は木。
うさぎさんといえどこの完璧な擬態を見破ることはできぬはず・・・がはっ。
うさぎさんに蹴られた・・・。そうだよな最強のうさぎを騙せるはずなかったよな。
さよなら僕の異世界人生。
何かが頭をモフモフしてる。
えっ、うさぎさん、見逃してくれるの?
というか、耳気持ちいい。めっちゃモフモフ。
あっ、やめちゃった。
いつの間にかフラグをたてていたようだ・・・
なんてことはなく、うさぎさんの目はチラチラと僕の持ってる袋の中に注がれてる。
あれか「出すもん出したら見逃してやる」的な感じか?
うさぎさんは僕に手を出さない代わりにいちごをよこせと。
それぐらいでいいなら、ねぇ?
命に比べりゃ安いもんですよ。
さあ、どうぞ~
全部持ってかれた。
いちごだけかと思ったら食べれる雑草からドングリまで。
僕の四時間……。
死ななかっただけよしとしよう。
うさぎさんは食べたらすぐどっか行っちゃった。
ずっとうさぎさんて呼ぶのも変だな。ぴょん吉と名付けよう。
ぴょん吉親分、こちらになりまあす!みたいな感じになってるなぁ。
立場が完全に下っ端なのは今更か。
〈・・・。〉
セカさん?どうかした?
〈ぴょん吉というのは・・・さすがにどうかと。〉
いいんだよ。こういうのはフィーリングなの。
〈そういう問題では・・・。まあ意味は分からないだろうし、大丈夫かな?〉
さて、蜘蛛の巣があるね。
〈ありますね。〉
うまい具合に蝶がいるね。
〈いますね。〉
あの蜘蛛さえいなければスキル取れるね。
〈逃げますか?〉
鑑定結果はっと
ピコンッ 鑑定のレベルがあがりました!
おっ、なんだか久しぶり。
やっぱレベルが上がるにつるて、上がりにくくなってるな。
スモールポイズンスパイダー lv6 (麻痺)
hp180 mp30
バラライズバタフライ lv11 (欠損・微毒)
hp50 mp40
これ、いけるんじゃね?
あれでしょ、蝶が蜘蛛の巣に引っかかって毒になって弱ったところを蜘蛛が食べようとしたら麻痺になっちゃった、てところでしょ。
ラッキー!!
〈落ち着いてください!触れれないのはマスターも一緒ですよ。どうやって倒すんですか?〉
そりゃあもちろん、物理で殴って倒すだけだよ?
ピコンッ ショータのレベルがあがりました!
ピコンッ ショータのレベルがあがりました!
ピコンッ ショータのレベルがあがりました!
ピコンッ スキル「吸蜜」を得ました!
おーすげー。一気に三つもレベル上がった。
ただ、実質得てるのは「吸蜜」だけなんだよなぁ。
ああ、殴ったワケじゃないよ?
離れたところから石を投げるだけの簡単なお仕事です。
なんでトレントには、聞かなかったんだろうなってレベルでダメージが入った。
それでも50削るのに5分かかったんだけどねっ。
蜘蛛が憎々しげにこっちを見てる。へっ、ざまあ。
そんな蜘蛛も石の餌食となりました。
ピコンッ ショータのレベルがあがりました!
ピコンッ スキル「糸作り」を得ました!
糸ktkr!!
〈マスター、喜んでるところ悪いのですが良くないお知らせです。〉
なに?
〈いえ、ここでは危ないので神殿まで戻りましょう。
食料の調達を忘れないでくださいね。〉
えっ、そんな大事なこと?
急に不安になってきたぞ。
はい、本日の晩御飯もドングリです。
そろそろドングリの木がなくなってきた。
ぴょん吉にあげた分がつらい。
〈では、今日得たスキルの確認です。
吸蜜lv1・・・花から蜜が吸える。
量はスキルレベル×1グラム
糸作りlv1・・・糸をspを使って生み出すこと
ができる。
太さはスキルレベル×0.1ミリ
長さはスキルレベル×spミリ〉
ふむふむ、まあ予想通りだね。ステータス補正のかかるスキルが無いのは残念だけど、糸の存在が大きい。
糸使いはロマン!
これで蜘蛛の巣張れば獲物を待ってるだけでいいんでしょ。
〈よく見てくださいね。スキルレベル×spミリメートルしか糸を作れないんですよ!〉
要するに?
〈今のままだと、10センチしか作れません。〉
ファッ!?
・・・いやあきらめるな。スキルレベルが50にもいけば最大5メートルまで糸が出せるようになるんだ。
それまでの辛抱なんだ。
そういえばレベル上がったから世界知識増えたよね。
解説よろ。
〈大ざっぱに言うと
lv5 ステータス知識~応用編~
lv6 スキル知識~応用編~
lv7 職業について
lv8 神殿について です。〉
中身は?だいたいでいいよ。
〈ステータスの方は隠しステータスですね。攻撃力に影響する値とか、それを使うための要求値とか。
スキルはスキルの値がどのように加算かれるのかとか、進化、統合に関する話ですかね。
一般的にスキルレベル×sp(またはmp)となるタイプか、スキルレベル×定数となるそうです。
職業は普通ならそれに準じた行動をした際に補正がかかるそうです。あとは職業スキルですね。
奪えるかどうかはさすがに書いてませんでしたがたぶん奪えるでしょう。
神殿は招かれざるものは内部へと影響を及ぼせない、中では全ての攻撃力が半減するといった効果があるそうです。〉
細かいことはその都度言います、と言ってセカさんは口を閉じた。
セカさんには支えられてばかりだね。
なんだかんだ言ってくるけど神様にこのスキルを頼んで良かったと思える。
明日もまた虫狩りかな、と思いつつ僕も目を閉じた。
異世界に来て一週間が経過した。
ここ2日は食べ物を集めて、蜘蛛の巣に引っかかってた虫からスキルを奪っていた。
ぴょん吉にあったらショバ代を払うのは忘れずに。
食べきれないだろう量を渡してみたらどっかに持ってかれた。
持ってる分は全部持って行かれるらしい。
一応ステータスを出しとこう。
ショータ アカサキ lv9
(能力値は割愛)
種族スキル 不明 木のふり 虫の知らせ
有効スキル(5/5)
スキル奪取lv1
走行lv1
蛍火lv1
跳躍lv1
セカさんlv3
▽世界知識lv9
鑑定lv15
吸蜜lv2
糸作りlv1
種族スキル『虫の知らせ』は危機感知っぽいかな?
なんとなく危ないものとかを感じるようになった。
虫系に共通してるっぽい。
例のごとくというか、なんというか、ぴょん吉には通じなかった。
蛍火は蛍から。本来は体全体を火で包むスキルだそうだ。
少し手を入れてファイヤーボールみたいな感じになった。だいたい、直径1センチくらいの火の玉ができた。
跳躍はバッタから。スキルレベル×1だけ跳躍力に加算だそうだ。
吸蜜は蝶を二匹倒したら上がりました。熟練度も加算されるけど案外簡単にあがった。異世界での数少ない娯楽になってる。
セカさんが大のお気に入りのため脅す材料となってくれている。
はい、2日かけて5体しか倒してません。
というか、蜘蛛の巣に引っかかってた奴しか倒せてません。泣きたい。
セカさんのレベルアップはスキル枠を埋めたら起こった。
スキルのレベル上限が低いのは何らかの特定の事柄を起こすことでレベルアップする事が多いらしい。
スキル奪取のレベルアップ条件が知りたい。
さて、現在。
僕は路頭に迷っている。
今朝のことだ。いつも通りに生きていくかーと暢気に考えていると、突然小屋が無くなった。
ただ、寝る場所を失ったのではない。
この弱肉強食の世界で絶対安全だと言える場所を失った。
ふとセカさんの言葉が思い浮かんできた。
ーー絶対安全とは言えないんですからねーー
ーー自分の体くらい守れるようになってないと困るのはマスターなんですからね。ーー
耳が痛い。
ここにあるものがいつかは無くなるなんて考えてなかった。
当たり前にあった安全があっさりと無くなることなんて想像したこともなかった。
つまるところ、地球のそれも日本という安全なところでぬくぬくと育った僕には失うという覚悟が足りなかったのだろう。
〈…ター、マスター!〉
セカさんの声で意識が現実にもどってくる。
〈そんなにショックだったんですか?
とりあえず雨風をしのげる所を探しましょう。そうすれば、火がたけますからそんなに魔物も寄ってきませんって。
大丈夫です。なんとかなりますって。〉
そうだね。となると洞窟なんかを探すのがいいかな?
〈早く行きましょう。このまま夜になったらこの辺に危険な魔物がいないと言っても危ないです。〉
こうして、現在新たなマイホーム目指して頑張っているわけだ。
だけど・・・
〈そんな簡単には見つかりませんよねぇ。〉
ですねぇ。かれこれ十時間くらいにはなると思うんだけどね。
やっぱスキル集めて家建てる方が簡単に思えてきたよ。
とかなんとか言ってると丁度いい感じの大きさの洞窟があった。
・・・ご都合主義とか言うんじゃねえ!
ちゃんとした労働の結果だから!
ちょっとした崖のところを一日中歩き回ったんだから!
〈何に対して弁解してるんですか・・・。〉
いや、さすがにこんなご都合主義展開でいいのかなと、思うわけですよ。
ゲームみたいな都合よく設備が整ってるってのは現実にあると違和感を感じるってやつ?
〈そういったパターンだと中にはモンスターがいることになりますが。〉
ありそうで怖いと九割ほんとに思ってる。
〈そういった補正がなくとも、雨風をしのげる場所は貴重ですからなにかはいる覚悟をした方がいいですよ。〉
変なこと言わんでよ。
それじゃ、おじゃましま~す。
中には何もなかった。
目の前の一匹のうさぎさんを除いたら・・・。
あっ、これ終わったわ。
ラビ lv1 (衰弱)
hp10 mp10
sp10
あれ?僕より弱い?
僕の人生終わらない?
うさぎさんって強いのかと思ったけどぴょん吉が例外だったのか。
これなら殺してスキルを奪えるかも・・・
・・・。
・・・・・・。
「きゅ?」
無理だーーー!なにこの可愛い生き物!
僕の方見て首傾げてる!
おいで~おいで~。
怪しい人じゃないよ~。
ショバ代の為に採ってある草があるけど、食べるかい?
(きっと)おいしいよ~
・・・ヤバい。野生動物だから餌付けが有効かと思ったら何の警戒もせずこっちに来て草をモグモグしてる。
めっちゃちっちゃくて、手のひらに乗せれそうなくらい。
ぴょん吉とは違って真っ白だけどすごくかわいい。
lv1らしいし生まれたてなのかな?
餌付け効果は抜群だったらしく、なんの警戒心も抱かずに頭をすり寄せてくる。
かわいい。一生このままモフモフしてたい。
〈ところで、この子が生まれたてだとするなら、親がいることになりますね。〉
そうだね。モフモフ。
〈このあたりでラビってあまり見かけませんよね。〉
そうだね。ぴょん吉くらいしか見たこと無いね。モフモフ。
〈この子の親って、ぴょん吉じゃないんですか?〉
そうだね。モフモフ・・・ってええ!
イヤイヤまさか、そんなことあるわけ無いじゃないですか。やだなーもう。
〈どちらにせよ、親の留守中に家に入ってきて子供を手懐けているって、事案ですよね?〉
ふむふむ。地球で言うと、親が買い物から帰ってきたら見知らぬおっさんが家の中にいて幼女にお菓子をあげてるってかんじになるのか。
通報しますた。
〈捕まるのはあなたです。このロリコン。〉
なんで!?
〈なんでもなにも、このおっさんがそこの幼女に対してしたことと一緒じゃないですか。〉
ぐうの音もでねぇ!
そんな風にモフモフしながら、セカさんと言い合っていた。
すると、ガサガサッと音を立てて。
・・・ぴょん吉が帰ってきた。
ぴょん吉と目が合う。
あっ、今度こそ人生終わったわ。
ラビ lv33
hp990 mp330
sp990
勝てる気が起きない。だって親分だもん。
いや、でも全く知らないワケじゃないんだし助かる、かも?
あっはい。そんなこと無かった。すごい目でこっち見てる。
こうなったらやることは1つ!
D・O・G・E・Z・Aだっ☆
誠心誠意謝れば許してくれるはずっ。
子うさぎさんと何か話していらっしゃる。
あれですか、何か変なことしてないかの調査ですか。
大丈夫。僕の身は潔白だ。
うん?なんかこっちを「しかたないな~」的な目で見ている。
「ひょっとして、ここにいてもいいんですか?」
ぴょん吉は頷いた。って言葉分かるの?
ペシペシと僕の頬を耳で叩きながら子うさぎの方を見ている。
入り口にはいくつかの草が積んである。
弱った子うさぎちゃん、ぴょん吉の食欲、にもかかわらず食べずに家まで持って帰ってるってことは・・・
「子供に食事をさせたいから草を採って来いってこと?そうすればここにいてもいい、ってこと?」
ぴょん吉は大きく頷くと僕を外に向かって蹴り出した。
もう少しくらい丁寧でもいいんじゃないですか?
〈完全に尻にしかれたダメ亭主という構図ですね。〉
・・・違うと言えないのがつらい。
どっちかっていうとしたっぱから世話係に昇格したかんじかな?
そうだと信じたい。
親分の娘さんの面倒を見るって割と重要だと思う?
案外ぴょん吉の中で僕の評価は高いのかな?
〈実際は食料調達係ですけどね~。〉
こうして、ぴょん吉達との生活が始まった。
子うさぎちゃんは生まれつき体が弱いらしくまともに外に出れない。真っ白で可愛いんだけどね。
そういえばぴょん吉は茶色っぽいのに子うさぎちゃんは真っ白だ。
本当の親子じゃないのかと疑ったときもあったけど、ぴょん吉の目は子うさぎちゃんを見るときはとても優しくなって、そんなのは関係ないと思えた。
子うさぎちゃんは(なぜか)ぼくにすごいなついてて、寝るときとか服に潜り込んでくることもあった。
そういったとき、ぴょん吉は僕を睨んできてて、お父さんって怖いと思うことがしばしば。
ちなみに、子うさぎちゃんに名前をつけようとしたら思いっきり蹴られた。hpが三割くらいになった。
まだ、信用を得るには早かったようだ。
所詮世話係は世話係ということだろう。
ちなみに、戦闘力が低いというのもあっという間にばれ、ぴょん吉はしぶしぶといった感じて狩りに行っている。
一部は持って帰ってくれて、僕のお腹の中へとはいっている。蜘蛛の足を持って帰って来たときはさすがに遠慮させて貰った。
そのおかげで僕は安全に草むしりができる。
なんだかんだで1ヶ月ほどがたった。ここ最近はぴょん吉か僕のどちらかが出かけてもう片方は子うさぎちゃんを見ている、という生活スタイルになっている。
この生活にも慣れたものだね。
ぴょん吉は遠出することが多く、僕は近場なので子うさぎちゃんといる時間は僕の方が長くなる。その間は暇になるので、いろいろとスキルを試している。
一番の発達は武器が石器になったことかな。どこの原始人だとつっこまれるかもしれないけど、これが一番攻撃力が高い。棒にくくりつけるのは糸を使わせてもらいました。
最大が10センチなんて誰が決めた?回復しながら使えば無限に作れるのだよ。もっとも「木のふり」使っても1分に1しか回復しないのだけど。どうにかして回復速度をあげれないかな。
作った道具はこんなかんじ。
石の斧(笑)
軽い棒に石をくくりつけただけの武器という
よりおもちゃ。攻撃力+1 必要筋力値7
石のナイフ?
石を割ってできた鋭い部分。出来の悪いカッ
ターもどき。
木のお椀
でかい木の板を石でくり抜いたもの。少しし
かいれられない。
毛皮
断じて服ではない。
・・・何も言うな。仕方ないんだ。筋力が足りない、器用値が足りない、材料が足りない。要するにステータスが低い。
でも、いろいろ役にはたってるんだよ。斧は虫を潰すときに、ナイフはぴょん吉が捕ってきた獲物を解体するときに、お椀は蜜を採ってくるのに。
器用値の割には頑張ったと思うんだよ。
毛皮をまとって石器をもってるってどこから見てもただの原始人だよな・・・。
ステータスをどうぞ。
ショータ アカサキ lv12
種族スキル 不明 木のふり 虫の知らせ
蝶鱗粉
有効スキル
スキル奪取lv1
走行lv1
蛍火lv2
ひらひらlv3
セカさんlv3
▽世界知識lv12
鑑定lv28
糸作りlv3
吸蜜lv4
麻痺毒lv3
有効スキル外(スキルとして発動不可)
跳躍lv1
ふふふ、成長したのだよ。特に糸が良かった。
これのおかげで花畑で蝶を20匹以上狩ることができた。
というか、この糸に捕まるのであれば勝てるという基準になったのも大きい。
蜘蛛じゃなくて、いもむしでも糸作りはあがったよ。
そのせいかくっつくタイプとくっつかないタイプが作れるようになった。
ただ、糸に捕まりやすいのが蝶なせいで蝶のもつスキルがどんどんとあがった。
ひらひらってなんだよ!ってゲットしたときには思ったけど、回避行動にスキルレベル×3加算するという、強スキルだった。
こうしてのんびり生活していくのもいいと思い始めていたある日のこと。
その日は何かがおかしいな、という予感があった。
おそらく「虫の知らせ」によるものだと思うんだけどいつものと違って危険だ!と感じない。
むしろ行くべきだ!と後押しされている感覚。
ぴょん吉も何かを感じているようで、朝から落ち着きがない。
その日は二人ともどこにも行かないという珍しい日になった。
夕方、だんだんと心に働きかける力が強くなってる。ぴょん吉も子うさぎちゃんのことがなければ行きたそうにソワソワしている。
不意に、子うさぎちゃんが動きだした。
何かにとりつかれたように、外に出ようとする。
放っておく、という選択肢はないが、この怪しい誘いに乗るというのも勇気がいる。
結局、僕とぴょん吉と子うさぎちゃんで初めての3人でのお出かけとなった。
子うさぎちゃんは僕の腕の中にいる。
体は少し大きくなったけど、まだlv1のままだ。
不思議なことにまるで成長する様子が無いのだ。
さらに、衰弱もとれない。
鑑定のレベルが上がり、defまでなら見えるようになったが2つとも最低値、つまり1だった。
子うさぎちゃん以外で1なんていもむしでくらいしか見たことない。
ぴょん吉はatk210 def70だった。人間の成人時のatkの二倍とか・・・。
時折、ちょっと強そうな魔物が出てくるけど、ぴょん吉が一蹴している。そいつらのレベルは15ちょっと、atkなんかも100には届いていない。
あれ?この島って平均が低いの?その中でも最低辺な僕って・・・という気分になったりもした。
そうして三時間ほど進んだ。
周りは暗いはずなのになぜか明るく感じられる。
途中何匹かの魔物に抜かされた。引きつけられてるのは僕らだけじゃないみたいだ。
そこで僕らは・・・幻想的な光景を見た。
空に月はない新月の夜、その中でどうやってかぼんやりとした虹色の光を放ち、ふわふわと浮いているシャボン玉。
それが何千何万と空へと上っていく。
そこには多くの魔物がいた。それらはその光景を目にし、静かにたたずんでいる。まるで愛しい者の旅立ちを見送るように。
いくつかのシャボン玉が周りの魔物に近づいていく。
あるものは体長5メートルを越す岩のような翼を持つ鷹へと、
あるものは銀色の毛並みと立派な牙を持つ狼へと、
あるものは牛の頭を持つ巨大な亀へと、
あるものは茶色い毛と長い耳を持つうさぎ、そして白い体に赤い目をした子うさぎの親子へと、
そして、最後の1つが地面から湧き出ると人間の形をした人ならざる者へと。
それらはそれぞれに手を伸ばし、パチンッとはじけた。
シャボン玉がパチンッと音をたててはじけた。
ピコンッ
ユニークスキル「***」を獲得しました。
???
文字化けしてる?
それにスキル奪取が発動したって感覚じゃない。
あのシャボン玉が原因か?
鑑定してみよう。
ピコンッ 鑑定のレベルがあがりました!
ピコンッ 鑑定のレベルがあがりました!
・
・
・
なんだコレ!?
頭の中にワケわかんないもんが流れ込んでくる!
***
**** ****
***********
*** ** *****
何コレ。鑑定不能ってこと?
〈マスター、大丈夫ですか?〉
うん、大丈夫。
〈報告なんですが、得たスキルについてはよくわからない、としか言いようがありません。一番近いのはスキルとして定着していない、という感じです。〉
いくつもあったシャボン玉がいつの間にか消えている。それに伴って魔物達も帰っていくようだ。
多くはあの三匹の方を見ているが、こっちをチラチラ見てくる奴もいる。
ああ、続けて。
〈はい、鑑定の結果です。私はこれに近い感覚を知っています・・・。『世界の理』とやらを解析したときと同じ。つまりは、〉
神域とかいうやつと同じものってことか。
〈その可能性が高いです。あどステータスを見て下さい。〉
ほいほいっと。
ショータ アカサキ lv12
種族スキル 不明 木のふり 虫の知らせ
蝶鱗粉
ユニークスキル
***(オリジナルスキル)
スキル奪取lv2
セカさんlv4
▽世界知識lv12
鑑定lv47
糸作りlv3
吸蜜lv4
麻痺毒lv2
有効スキル(4/5)
蛍火lv2
跳躍lv1
ひらひらlv3
走行lv1
ユニークスキルって枠が増えたね。それにオリジナルスキルとかいうやつも。
〈世界知識の方にも『ユニークスキル』という項が追加されました。どうやらその人のみが持つという意味でのユニークスキルらしいのです。取得条件などは一切が不明のままです。〉
それだけ?
〈それだけです。推測がつくのはあのシャボン玉ですが。そうなるとかなりのユニーク、いやオリジナル持ちが増えることになります。〉
ユニークとオリジナルって違うの?
〈今まではユニークモンスターが持っていた独特なスキルをユニークスキルと言っていたらしいです。
オリジナルスキルもそれと同じだけども少し違う・・・。
・・・すみません。うまく説明できないです。〉
えーと、神様がくれたのもユニーク扱いなんだよね。
〈そうですね。転生者という100人のチートがいるところにこの仕打ち。
神様は転生者が無双するのがいやなんですかね。〉
それとも誰かが取り返しのつかないことをしちゃってそれを止めるためとか?
〈まあ、当分は関係ない無いですかね。この島で得たのはマスターと他の五匹だけみたいですし。〉
そういえばぴょん吉と子うさぎちゃんももらったのか。
「おい、人間。それとそこのうさぎ共。」
えっ!?誰!?
そこにはうしがめがいた。
しゃ、しゃべったーーー!!!
「どうした?言葉が通じるのがそこまで不思議か?珍しいことではないぞ。百年も生きれていれば自然と身につくものだ。」
銀色の狼とでっかい鷹も近づいてきた。
狼が亀に向かってなんか言ってる。言葉は分からないけど「そんなことできるのはあんただけだ。」って言ってると思う。
僕もそう思う。
百年生きても亀の話す言葉なんて普通は理解できないでしょ。
「まあ、よい。このたびは『心』の力を得たようで何より。
人とうさぎの番とは珍しいがそれだけの『心』を持っているということよ。
この島の守護者としてはお前たちのように良き者たちに渡ったようで一安心だ。」
「待って下さい。あなたはこの力が何か知ってるんですか?」
「知らん。」
知らんのかい!なんで知ったかぶるんだよ!
「ただお爺さまよりこの地はかつて『心』の神殿があったと聞いておるだけよ。時が来るまでそれを見守れ、ともな。」
神殿?あれと(仮)じゃないタイプの神殿があったの?
「だからお前がここに来たときは年甲斐もなく興奮してしまった。思わずあの2人を連れて見に行ってしまったくらいだ。」
悪い奴では無さそうで放置する事になったけどな、
というと、亀ーーうしがめは僕らが来た方向とは反対方向へと歩いて行った。
残りの二匹はいつの間にかいなくなっている。
「ああ、2つ、いや3つアドバイスしておこう。」
なんだ?
「まずひとつ、人の力を覗き見るのはマナー違反だ。ものによってはそれだけで争う原因となる。」
鑑定に気づいたの!?
「次にその子供を大事にするんだぞ。そこまでの忌み子とは珍しいが選ばれるだけの力はあるのだろう。」
子うさぎちゃんのことか。そんなの言われるまでもない。
「おや、不要だったようだな。最後だが、身の回りには気をつけろよ。お前らはまだ発展途上だ。早く自分の力をものにする事だな。」
そういってうしがめは去っていった。
いつの間にか周りにいるのは僕たちだけだ。しんとした森の中、虫の声さえ聞こえない。
「とりあえず、帰ろうか。」
僕とぴょん吉と子うさぎちゃんは洞窟へと帰った。
と、簡単に言えれば良かったんだけど。
〈台無しじゃないですか、マスター。〉
いやさぁ、三時間だよ?無理だって!
行きはなんか疲れなかったけど三時間って普通は夜歩く距離じゃないから!
〈そんなことより、どう思います?〉
それはどういう意味?新しく手に入ったスキルのこと?子うさぎちゃんのこと?最後に言ってた意味深な忠告のこと?
〈全部です。〉
いやでもさぁ、逆らうわけにはいかないよね。
シルバーウルフ lv25
hp4250 mp1750
sp4250
atk850 def400
int275 min300
dex275
トムホーク lv23
hp4800 mp3300
sp2400
atk413 def363
int683 min401
dex240
うしがめ lv28
hp8100 mp810
sp5360
atk240 def992
int240 min620
dex159
あのシャボン玉のおかげで鑑定のレベルが思いっきり上がってagi以外は見えるようになった。
ただ……
どう見ても桁違いだ。ぴょん吉ですら足下にも及ばない。
というかレベルの割におかしくない?レベルだけだったらぴょん吉の方が高いよ?
こいつらの初期値はどうなってんだ!
〈おそらくは進化個体だと考えられます。lv50で進化して、lv1まで戻ったのでしょう。実質あれのレベルは70近くあることになります。
進化時にステータスが半分になることを考えればそこまで単純ではありませんが。〉
はっはっは。なにそれ。
この世界の強者ってことだよね。なんでこんなとこにいるの。笑っちまうぜ。
〈・・・。さらに言うと人間の間ではあのレベルは中級冒険者ーーーlv40から60までのフルパーティーで倒せるレベルとされています。〉
・・・もうやだ。なにこの世界。
このセリフも言うの何回目かな……。
〈でも、人間でさえlv100まで持って行けばステータスはALL500ですよ。atkに極振りすれば800まで行くんですよ。〉
問題は僕が何してもALL10から動かないことだと思います。
スキル上乗せしても届く気がしない。
〈そんなマスターに朗報がありますよ。〉
なに?ひょっとしてステータス上がった?
〈『スキル奪取』のレベルがあがってスキルの熟練度の十分の一を奪えるようになりました!これでスキルレベル10とかから奪えば最初からスキルレベルが3とか4スタートになりますよ!〉
ふむ、一見朗報に聞こえる。
だが、考えてほしい。スキルレベル10とか倒すのにどんだけ苦労するんだよ!と。
要するに「使えんなぁ」ということだよ!
そんなこんなで洞窟まで帰ってきた。
僕とぴょん吉は何も言わず眠りについた。結局徹夜だったんだよ。朝日が眩しい。
腕の中でスヤスヤ寝てる子うさぎちゃんがちょっと恨めしくなってしまった。
目が覚めたらもうお昼過ぎだった。
珍しく僕の方がぴょん吉よりも早く起きた。
ぴょん吉も寝顔はなかなか可愛いな、と。
これですぐ蹴ってくるところがなければいいんだけどね。
今日はどうしようかなーと思って洞窟から出た。
昨日は使えないと思ったけど、スキルの熟練度が多く貰えるようになったのは嬉しいかもしれない。
十分の一にするってことは10匹殺せば1匹分のが手に入るってことだし♪
罠の量をふやそうかな。鑑定にspをまわす量は減らしてもいいだろうし。
そこらへんの魔物のステータスが見えるようになったのも嬉しいね。シャボン玉様々だよ。
さっそく鑑定してみた。
リトルパラライズバタフライ lv1
hp30 mp40
sp10
atk2 def1
int3 min2
dex4
キャタピラー lv1
hp20 mp10
sp10
atk1 def1
int1 min1
dex1
予想以上に弱っ!
最低辺が僕じゃないってのは気が楽になるね♪
・・・芋虫とかと比べるのはどうかと思うけど。
そうして分かったこと。
芋虫なんかは簡単に勝てる。たぶんlv7くらいまでなら余裕だ。
蝶も勝てると思ったんだけど捕まえられなかった。
たぶん『ひらひら』が関係してるんだと思う。
そうやって、蝶を追いかけてたら麻痺毒をくらった。けど、くらわなかった。
いやさ、蝶の鱗粉をバサッと浴びて、あれヤバくね?って思ったんだけど麻痺にはならなかったんだ。
麻痺になってると思い込んで近寄って来たところを捕獲してやった。
理由は簡単だった。僕はこいつらの種族スキルである蝶鱗粉をすでにもっている。
だからこいつらの毒に対して抗体を持ってるんじゃないか、ということらしい。
毒とかその魔物自身に影響のない種族スキルは同じ種族スキルを持ってることで対抗できるのではないか、とセカさんが言ってた。
ちなみに吸蜜を奪った。一気に2つレベルが上がった。
セカさんごめん。十分の一は大きかったよ。
うしがめからの助言もあったことだし子うさぎちゃん用に蜜を持って帰ってあげよう。
洞窟に帰るとぴょん吉に蹴られた。
なんか怒ってるようだ。
はて?なにかしたかな?
とりあえず食材(草)を差し出してみる。
うん、あっさり機嫌が直った。
食い意地はってるね~
子うさぎちゃんも食べてくれてる。なごむわ~
食事が終わった頃を見計らって蜜をだしてみた。
子うさぎちゃんも甘い物は好きだったようでペロペロなめている。かわいい。
突然、頭にモフモフがとんできた。
珍しい。普段は「したっぱが近づくんじゃねぇ」ってかんじで距離をとられたり、目があってもフンッて逸らされたりするのに。
ぴょん吉も甘い物好きなのかね?ヤクザな親分がケーキ食べてるみたいな違和感がある。
蜜をなめ終わったぴょん吉が僕の膝の上に飛び乗ってきた。
!?
ぴょん吉が甘えてきた、だと?
こんなこと初めてだ。
てっきりぴょん吉には嫌われてると思ったのに。
じーと見つめてくる。
あれ?甘えてるって感情じゃない?
まさか、隠し持ってる蜜を見破られた!?
ぴょん吉なら簡単に気づけるのか?
くっ、しかし僕にも男の意地がある。
簡単に渡すわけにはいかない!
じーと期待のこもっため目で見てくる。
こんなものには負けない。
じーーー
じーーーーーー
「どうぞ。」
耐えきれなかったよ。シクシク。
ああ~僕のおやつが~
蜜を見たぴょん吉は、はあ、とため息をつくと、容器を返してきた。
あれ?
違うの?
あ、でも目が容器を見たまんまだ。
手をすーっと右に動かしてみる。ぴょん吉の目が右に揺れる。
手を左に動かす。ぴょん吉の目が左に揺れる。
・・・なんだか今日のぴょん吉は無性にかわいいな。
ふと、思いついた。
手に蜜をつけて差し出してみる。
一瞬、耳がピクッとした。
食べようか食べまいか迷っているようだ。
チラチラと僕の顔を見てくる。
「食べないなら貰っちゃおうかなー。」
とあえて大きな声をだして大げさに手を口に近づけてみる。
あせってる、あせってる。
おもしろいなー。
あ、やべ。
ニヤニヤしながら見てるとぴょん吉が怒ってしまった。
そうしてぴょん吉の蹴り一発で僕の意識は刈り取られた。
・・・意識だけ落とすとか何気にギリギリを見極めるのが上手くなっていらっしゃる。
11月22日
活動報告に変更点を記載しております。
一応、ストーリーに変化はないです。