表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/100

-81- 停滞捜査

 中央高速道は始まった大型連休で混みに混んでいた。

「おいっ! 急げっ!! なにをモタモタしとるんだっ!」

 怒り心頭の刑事デカは今年で刑事生活30年目を迎えたベテランの忠秀である。ガサイレに向かったまではいいが、うっかり高速道へ車を入れさせ、交通渋滞に巻き込まれたのだ。犯人、真原さなはら潜伏先アジトを張っていた若手刑事の榊岡からの通報を受け、急いでいた矢先だった。真原が動かないうちにガサを入れないと間に合わなくなる危険性があった。現場まではスムースに車を走らせても、優に20分はあった。

「くそぉ~~っ! どうするんだっ! どうするんだっ、おいっ!」

「どうにもなりません、班長…」

 溜め息混じりに、つい愚痴ぐちこぼしてしまったのは運転する中堅刑事の尾久保だ。

「なにをぉ~~!!」

「いえ! なんでもありません…」

 尾久保は小声で弁明べんめいした。

「尾久保、そのまま運転してろっ! 俺達は下を行くっ! おい、行くぞっ!!」

 イラつく忠秀は隣の中堅刑事、蒼山あおやまにひと声かけると車のドアを開け、インターチェンジをめざし駆け出した。当然、蒼山も、そのあとを追尾する。携帯片手に道の側道をひた走る二人のマラソンが始まった。

 ようやくインターチェンジへ出た二人は、荒い吐息といきで手配した覆面パトカーへと飛び込んだ。

「おいっ! 急げっ!!」

 パトカーは高速道下の地方道をひた走った。ようやく犯人、真原のアジトに車が迫ったとき、忠秀の携帯が激しく振動した。忠秀はあわてて背広の内ポケットから携帯を取り出した。

「なんだ? …ああ、…そうか、…分かった」

 いさんでいた忠秀のテンションが急に落ちた。携帯はアジト近くで張り込む榊岡からだった。

「班長、どうされました?」

 いぶかしげに蒼山がたずねた。

「真原が潜伏先から姿をくらましたそうだ…」

 捜査は渋滞する道路のように、ふたたび停滞した。


               完


  ※ その後、犯人は捕らえられたそうです。よかった、よかった。^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ