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-49- 子野耳(ねのみみ)神社・呪縛(じゅばく)事件?

 事件まがいの妙な匿名とくめい通報が回車かいしゃ署に入ったのは、深夜も過ぎた午前2時過ぎだった。通報を受けたのは当直の矢頭やがしら巡査長である。

「えっ? もう少し大きい声でお願いします」

『…はあ、子野耳ねのみみ神社へおはらいと占いに行った者ですが、連れの者が…突然、行方不明になったんです』

 通報者の電話の音声は心なしかふるえ、途切れ途切れだった。

「落ちついてください。子野耳神社ですね? ええ、深夜の11時頃に行って…はい、お祓いと占いが終わったのが深夜の1時頃ですか…。はい、その方が消えた状況は?」

『それが…とても信じてもらえないでしょうが、闇の中へ吸い込まれるようにスゥ~っと』

「まだ神社の境内けいだいの中だった訳ですね。…はい、帰りの参詣道で…はい、そのお祓いと占いというのは?」

『全国的に知られた子野耳神社に伝わる有名な占いを兼ねたお祓いです』

「ああ! それなら私も知ってますよ予約制でしたね、確か…。警察に就職する前、向いているかどうかの占いとお祓いをしてもらいましたから。ハムスターが観覧車を回って止まったところで、呪文めいた祝詞のりとをどうのこうの・・と読み上げるというやつですね?」

『それそれ! それです』

「確かにアソコの神社の占いとお祓いは深夜帯で変わってます」

のろいとかでしょうか?』

「いや、呪縛じゅぱくによるものとは、現代科学ではとても考えられないですが」

『すぐ来て、探してもらいたいのですが…』

「分かりました! 手の空いた者をすぐ手配しますっ」

 現場へ覆面パトが駆けつけ、マルタイ[捜査対象者]確保の緊急手配が行われた直後、消えた男は暗闇からまたスゥ~っと姿を現した。ばち当たりなことに、俄かに尿意を催し、暗闇で用を足していたことが判明したのは、夜が白々(しらじら)と明け始めた頃だった。

「まあ、今後は注意するように…。マルタイのあんたを軽犯罪法で引っ張るというのもな…」

 どうも、絵にならん! とまでは言わず、刑事は男をパトカーから開放した。男は通報者に伴われ、子野耳神社からトボトボと去っていった。子野耳神社・呪縛事件? は軽犯罪法絡がらみの境内立ちション事件 ?だった。


                完

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