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-48- 夢の続きストーカー事件?

 逆波さかなみ署管内でストーカーが連続して出没するという厄介やっかいな事件が発生していた。訴えたのは中年のどう見てもストーカー? と首をかしげたくなるようなブス女だった。だが、訴えがあった以上、逆波署としても放置することは出来ない。安井警部を中心とする捜査陣による内偵捜査が行われることとなった。

「何か思い当たるようなことは?」

「いえ…」

「奥さんの思い過ごしじゃないですか?」

 ジロリ! と訴えたブス女を見て、安井はそう言うと、ニンマリした。

「し、失礼なっ!」

 ブス女は小馬鹿にされたと勘違いしたのか、急に怒り出した。

「いやいやいや、これは失礼。…で、その男の年格好とかは?」

 安井は年格好、服の特徴・・などを順次、いていった。

「なるほど…分かりました。もう、大丈夫ですよ」

 安井は心にもないことを笑顔で口にした。あなたは100%、大丈夫だよ…とは思えたが、そう言ったのだ。それどころか、手間を取らせやがって! こっちはいそがしいんだっ! という腹立たしい気分を押し殺しての精一杯のヨイショだった。

「よろしくお願いします…」

 女が帰ったあと、安井は急に眠くなった。

「安井さん!」

 部下の堀角ほりすみ警部補のひと言で安井は目覚めた。

「ああ…すっかり寝ちまったよ。だが、あんな女にストーカーとはな。物好きもいるもんだっ、ははは…」

「あんな女? 捜査してたのはこの人ですよ」

 堀角が見せた女の写真は、出ていったブス女とは似ても似つかない若い超美人だった。

「…別件かっ!?」

「なに言ってるんですか。スト-カー被害届はこの人だけですよ」

「んっな馬鹿な! つい、今まで…」

 そのとき安井はふと、気づいた。そういえば足元が妙にかすんで、雲の上にいるようだった…と。

「分かった! 張り込むぞっ!」

 安井の気分は、夢のブス女と違い前向きになった。

「しっかりしてくださいよ、安井さん。犯人は先ほど自首したでしょ?」

「んっ? …」

 夢の続きストーカー事件? は、まだ安井の中で未解決だった。


                  完

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