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-47- 屋台 提灯(ぢょうちん)焼失事件?

 この事件まがいの一件は、うらぶれた裏通りの屋台で起きた。幸い、爆発事故や屋台の焼失までには至らず、屋台の屋根の一部をがす程度で済んだ。それでも、屋台の親父が大事にしていた提灯ちょうちんだけに、被害届が串焼くやき署に提出された。親父の炭火すみびは、火の不始末などは絶対、有り得ない! と串焼署の刑事、葱間ねぎまに訴えた。

「分かりました。犯人を見つけ次第、お知らせしますから、今日のところはお引き取りください。ただ、消防と科捜研の調べでは、放火の疑いはないとのことなんですが…」

「いや! アレは絶対、放火です。必ず引っくくってくださいっ! ぅぅぅ…形見の提灯がっ!」

 炭火は机の上で泣き崩れた。号泣の声は署内の隅々にまで行き届いた。何ごとだっ! とばかり、署長の藻津もつが顔を出し、すぐ引っ込んだ。

 その後、葱間により捜査は進められたが、不審人物の目撃証言やこれといった新事実は出ず、放火未遂事件の線は立ち消えた。

「一度、お払いを受けられた方がいいですよ」

 屋台で準備をしている炭火を訪れた葱間は、最終報告のあと最後にそう言い残した。今でも屋台の提灯焼失事件? は不思議な一件として串焼署の語り草となっている。


                  完

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