表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/100

-44- 太陽とネズミの童話のような事件まがいの一件

 四方波よもなみ署の刑事課では、ああでもない、こうでもないと状況調べが続いていた。謎を秘めた事件まがいの一件で、捜査員達を梃子摺てこずらせていたのである。

「害者が右折したときは晴れていたんだったね?」

「ええ。そのときは、ですが…」

あたりに誰もいないのに押し倒されたと…」

「はい。目撃者がいないですから、誰もいなかったことになりますね」

「太陽に目がくらんで倒れたとも考えられる…」

「はい。ただ、その日は風が強かったですね」

「強い風に押し倒されたか…」

「はい。ただ、害者は背中に衝撃があったとも言ってます」

「なるほど、風に押し倒されたのなら衝撃はないな…」

 そのとき、刑事が一人、署へもどってきた。

「警部、害者の意識が戻り、証言が取れました。太陽は雲に隠れたそうです」

「そうか…」

「ところが、風が強かったようで雲は風に吹き飛ばされたんですよ」

「まあ、そうなったのか…」

「はい。また太陽が害者をまぶしくさせたのですが、幸い右折した壁が日差しを止めたんです」

「だったら押し倒されないじゃないか」

「はい、そうなります。しかし、そのとき風で近くの家の植木の枝が飛んだようです」

「その枝は?」

「現場から少し離れたところにあることはあったんですが…」

 そこへまた、一人の刑事が現れた。

「科捜研の話ではその枝の折れた痕跡ですが、ネズミにかじられた跡があったと…」

「犯人はネズミか?」

「齧られはしていたんですが、そのときの枝は折れていなかったようです」

「となると、やはり風が犯人か…」

 話は童話のような話となり、事件まがいの一件として立ち消えた。


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ