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-25- 死なず池生き返り事件

 この話は人類にとって夢のようなパラダイス事件である。

「なに?! んっな馬鹿な話があるかっ! ガセ[デマカセ]だ、ガセっ!! そこなら俺も一度行ったことがあるが、そんな池はなかったぞっ!」

『はあ。確かに私も行きました。しかし、そこからもう少し奥の山村なんですよ、この池は…』

「俺には信じられん! そんな話が成立するなら、科捜研はいらんわっ!」

 デカ長の細井は横山からかかった携帯に怒りを沸騰させていた。

『いや、ほんとなんです、ホソさん。死んだ人の遺体をその死なず池にけると、仏さんが生き返るんですっ!』

「ははは…冗談は休み休み言え! 死なずの池・・そんな便利な池なら、明日、葬儀の釜土かまど先輩を生き返らせたいわっ!」

 まったく信じられない細井は怒鳴りぎみに言った。釜土は細井の先輩刑事で、すでに退職していたのだが、二日前、病院でポックリ亡くなっていた。

『残念でした。池の蘇生有効時間は村人の話では24時間だそうです』

「… ともかく俺もそっちへ行く!」

 信じられない細井だったが、横山の冗談とも思えない真剣な話しぶりに、困惑ぎみだった。

「ホソさん、どうした?」

 浮かぬ顔の細井を遠目に見て、課長のかいこが声をかけた。

「いえ、なにね。ははは…よしましょう。馬鹿言ってますよ、横山は。ともかく私も現場へ飛びます! まあ、事件といえば、逆事件ですから…」

「逆事件?」

 意味が分からず、蚕はいぶかしげな顔をした。

「いや、なんでもないです!」

 細井は現場へ駆けつけたが、横山が言ったとおり、そこからまだ少し奥の村だと村人から説明された。山奥の細道を車で走り、ようやく細井はその村へ出た。村は池に面していた。村民は多くの者が100歳を超えていた。その事実に細井は唖然あぜんとした。

「こちらの方は昨日、友人と喧嘩けんかして死んだそうですが、見てのとおりピンピンしておられます」

「殺人事件ではなくなった訳か?」

「はあ、まあそういうことですかね、ははは…」

「なんか、妙な事件だな」

「死んでも生きかえりゃ、死んでないってことですよね」

「ああ…。課長が1cm以上伸びた鼻毛を切らないのに似たなぞだ…」

「…はい」

 横山は納得してうなずいた。


                   完

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