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-12- 時空盗賊・田崎屋誠兵衛

 田崎誠は時を駆ける時空盗賊である。当然、時空警察の指名手配を受けていた。厄介なのは時代を行き来するため、現れた時代の者達による捕縛ほばくはまったくといっていいほど無理な点にあった。要は、時空警察による直接逮捕以外、手出しが出来なかったのである。田崎を捕らえようと時空警察の警部、堀田は必死になっていた。彼は部下の崎山警部補を手助けとして今日も捜査していた。

「潜伏している時代はココしかないですね…」

「他の時代にはすでに存在しないと本部から連絡があったからな」

 堀田は手の平に映し出したタイム・マップ[時空地図]を見ながら崎山へ返した。

「この時代は…。そうだ! 確か過去に一度、ヤツが現れてます!」

 崎山は堀田の手の平に映るタイム・マップを見ながら言った。

「そうだったか?」

「ええ、田崎屋誠兵衛として…」

「ああ、そうだったな…。火付け盗賊改め方が取り逃がした一件だ」

「おかしらを取り逃がし、長谷川さん、顔を赤くしておかんむりでしたね」

「ははは…まあ、彼らでは無理だろう。なんといってもヤツは時空盗賊だからな」

「タイム・ワープされれば、おしまいです!」

「まあ、そういうことだ…。さて、時代へ飛ぶか」

「はい!」

 二人がタイム・ワープすると、案のじょう、田崎誠は田崎屋誠兵衛として物腰柔らかく反物たんものあきなっていた。

「久しぶりだな、田崎!」

 かわやへ入った田崎に堀田は声を小さくし、ややすごみのある声でささやいた。田崎はギクリ! とし、羽織のたもとからあわててワープ・ムーブメントを取り出そうとした。

「おっと! そうはいかないぞ」

 その手を押さえたのは崎山だった。

「おとなしく観念しろっ! 田崎」

「田崎屋です…」

 逃げられないとあきらめた田崎だったが、それでも口では反発した。

「…そうだったな、田崎屋誠兵衛。おとなしく、ばくにつけいっ!」

 堀田は火付け盗賊改め方にでもなった気分で時代風に言い放った。崎山がレザーピーム錠を田崎の両手にはめた。三人が厠から跡形あとかたもなく消え去ったのは、その直後だった。


                   完

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