雨と晶と
短いです。
しとしと。
しとしと。
初夏に振る雨って、なんか気持ちいーよなぁ。
緑の葉っぱや木々に当たってさ。
跳ねた雨粒が光って、意外と綺麗なもんなんだよなぁ。
アルバンが出かけて5日目の昼過ぎ。
俺は中庭に張り出た屋根付きテラスで、ぼんやりしていた。
長椅子に毛皮を引いて、さっきまで読んでた本を置き、ゴロンと横になっていた。
寝ながら、しとしと振る雨を、その水の流れを、目で追っていく。
そして、時々、目を閉じて音を聞く。
あー。
癒されるわー。
「体を冷やしますよ」
「サン……ありがとう」
ラウニは、寝ている俺の上に毛布をかけてくれる。
いつもなら、はしたないと怒ってるのだが、俺の気質と外に出れなくて溜まっている鬱憤をわかってくれてるんだろう。
「もうちょっと、うとうとしてていーか?」
「……仕方ありませんね」
ラウニの許しを得て、さらに心に余裕ができる。
毛皮のもふもふ感が、もっと気持ち良く感じた。
ー遠慮なく、睡魔の誘いに乗ることにしよ。
しとしと。
しとしと。
「こんなに簡単に入れるんですけど」
「こんなに簡単に入れるんですけど」
城内を走る影が2つ。
「本当にいるの?」
「本当にいるの」
「どんな姿だっけ?」
「銀髪なの」
「処女なの?」
「わからないの」
「とにかく確認してみるしかないね」
「今度こそお気に召す娘だといいね」
前髪が半分だけ黒色の白髪と金髪の双子。
巡回する騎士を避けつつ、城を走り回る。
「不利だね」
「有利なの」
外は雨が降っている。
雨の匂いが人の匂いを探知しにくくなっているが、逆に双子の気配も薄くしている。
「早く終わらせようよ」
「早く終わらせるの」
しとしと。
しとしと。
ラウニは、眠ってしまった晶にかけた毛布が、隙間なく覆ってるのを確認していた。
ピルルルルルル……っ
パタパタと水を弾きながら、白い小鳥が入ってきて、晶が眠る長椅子に止まる。
「あら、あなたは雨宿り?」
ピイ。
ひと声鳴いて、プルプル身を震わせる。
「そう。でも、アキラさまの眠りは妨げないでちょうだい」
小鳥はラウニに顔を向けて首を傾げた後、眠る晶の顔にぴょんぴょんと近寄っていく。
「うふふ。……アキラさまが好きになったのかしら」
晶の顔の前で、観察するかのように体を屈めたり伸ばし始めた小鳥の姿にラウニは微笑んだ。
「本当に、見てる分には愛らしいのですけどねぇ
」
ピイッ!
「「みーつけた」」
改稿するかも知れません。