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救世主は花嫁候補!?  作者: せりざわなる
第一章 救世主、召喚される。
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反省会(晶&ネイト)

「全く!本当にハラハラしたのだぞ!」

「悪かったってば」

「皆を混乱させる可能性があった!」

「そんな大袈裟な…」

「アキラ!」


ライザール王国騎士団所属、騎士ネイトは拷問に耐えていた。


騎士の彼が忠誠を尽くす一人であるアルバン王子は、その婚約者のアキラ姫へ特別訓練お忍び視察の危険性について先程から説明している。


「もう少し、自分の価値を考えろ!」

「また、救世主とか婚約者とかいう話?」


ああ、姫さん。

そんな面倒くさそうな顔して。


姫は会場から無事に戻り、身を綺麗に整えて美少女の姿を取り戻し、王子の執務室に入った。

先に執務室に入り、ひざまづいていたネイトとその前にわざわざ椅子を置いて座る王子の横に、姫も椅子が用意され二人は今向き合って話をしている、のだが……。


「だから、大丈夫だったじゃん」

「結果がよければ良いということではない!」


もちろん、全面的にこちらが悪い。

姫が何を言おうと連れて行くべきではなかったし、連れて行くなら最後まで守らなければならなかった。

だからこうして長時間ひざまづいている事は辛いが苦にはならない。

むしろ苦になってるのは目の前の状況なのだ。


「少しは、自分が女なのだと自覚しろと言ってるのだ!」


王子は姫さんを叱っているんだよな。

そうなんだよな。

でも、なんだ。この視覚の拷問は……っ!


姫が膝においた両手の拳を、王子は上からぎゅっと握り、顔寄せて話している。


「心配をかけさせるな……っ!」


姫さんは許嫁ですから?

怒るというより心配しているのはわかりますよ?

どんなに言葉を並べても政略結婚なのは変わらないが、仲が良くなるのは結構な事ですよ?

しかしなんで、自分はこんなに近くで痴話喧嘩としか言い様のない、恋人同士の戯れを見なくてはならないんですかねぇ?


頭を垂れていても、こんなに近くでされれば目に入ってしまう。

目を閉じたところで、ふたりの姿は脳裏に焼き付いている。


「お前、過保護だなぁっ!」

「アキラが人の話を聞かないからだろう!」


王子。

色々、わかるんですけど。わかるんですけど。

……いえ。これも自分への罰ですよね。






自分もビックリした。

王子の側で警護と監視を行っている時、想定実戦が始まる前に同行者達の中で小さな動きがあった。

身内が参加しているのだ。

見ようと足元を確認しないで集まろうとして、転びでもしたのかと心配になった。

しかし、その動きの中心はなぜか笑顔になっている。

人の壁が割れ、ふたりの少年が興奮しながら前に出てくる。

もう一人の少年には見覚えがないが、姫に着せた下働きの服は間違いない。


ひ、姫さん~。


ことごとく、何かをぶち壊してくれる姫である。

しかし、今こちらを動くわけにはいかない。

参加した子供達がイキイキと班に別れる様子を、王子は微笑ましく見ていて気づかなかったらしく、少し安心する。

姫も隣の少年と言葉を交わしながら、動かずじっとしている。

ある意味、見えている範囲にいてくれた方が良いかもしれない。

そう思い直し、本来の役目に戻る事にしたのだ。


しかし、甘かった。


想定実戦後も、一緒にいた少年と話があったようで興奮しながら話し込んでいたのだ。

そのまま食事会になだれ込んでしまい、姫の撤収機会を逃してしまう。


食事会は例年通り和気あいあいとしていたが、王子の側で姫の姿を探した。

なんとか、王子の席から離れた後方でその背中を捕らえる。


お願いですから、大人しく、大人しくですよ~。

でも、少年のふりをしているからか?

食べ方が豪快な感じがする。

あ!隣の少年に肉食わせた!

あ!隣の少年の肩を抱いてる!

更に隣の女性と3人で固まって、何かを話始めた!

肩を抱いたまんまだし!

何やってんですか、姫さん!


「ふわあああっ!」


会場はそれぞれに盛り上がっていたので、声は雑音に紛れていたが、意識していたせいか自分の耳にはよく届く。

姫は興奮しながら少年をガクガク揺らしていた。


「あれは……?」


最悪だった。

王子が気づいてしまった。

最初は周りより違う動きをする一角として認識したようだが、目を凝らしてその人物を特定しようとしていた。


「まさか……アキラ?」


背中を冷たい汗が流れた。

やがて、隣の視線が自分に当たるのを感じる。


「ネイト……気づいているな?」

「……はい」

「どういうことだ?」

「姫さんの希望で……いえ、申し訳ありません」


沈黙。の後に、ため息。

王子の顔は見れません。


「何とか連れ戻さねば」


王子は、雑用係に回っている騎士見習いを呼び寄せる。

その時、更に姫に動きがあった。

なんと、少年が姫の顎をつかみ、口を拭いてやっているのだ!


姫さん!なんで今、そんな事されてるんですか!


王子の感情が膨れ上がった気配を感じる。


「……ラウニを呼べ」




自分は、覚悟を決めた。







晶♂ 16歳(召喚前。高1)

晶♀ 13歳(召喚後。アルバンらと設定)

アルバン 18歳(ライザール王国第1王子)

ラウニ 22歳(晶専属侍女)

ネイト 18歳 (王国騎士団所属)

今さらですが、三人称の時は晶。

異世界キャラの一人称や発言時にはアキラ。

そのように一応使い分けているつもりです。


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