第三章 第二話
予約投稿の時間と日にちを間違えた……
御翔高校学年別定期親睦集会。そいつは一月に一度、月の初め頃に行われる生徒主導の結構何でもアリな集会だ。昼からの授業二時間分を使って、自主的に申請した者達が演奏を披露したり、演劇を上演したりと、その都度企画プログラムは変更される結構人気のある学校行事だ。
俺達一年生はまだ一度しかこの集会を開いていないと言う事もあり、積極的に出し物を披露しようと言う生徒が居なかったのが幸いしてか、俺のミスコン企画(申請書類上はコータ名義)はすんなりと通ったらしい。
が、しかしだ! ここからが俺の地獄の始まりだったんだ!
「アンタ手先が器用なんだから、告知用のポスター作んなさいよね。開催まで一週間切ってるから期限は明日までだけど、なんとかなるでしょ? ううん、そうじゃなくって、やれるか? やれないかじゃないの。『やる』の! もしできなかったら……わかってるわよね?」
などと言う佐奈の無茶ぶりをくらって徹夜させられた挙句、各クラスへ告知宣伝と説明に出向き、更には集会用のカンバンやら小道具の調達やらトロフィーの製作やらと、当日である今日まで休む間もない程の過酷な労働を強いらされていたんだ。
「……にもかかわらずさ、蓋を開けてみると、結局お前と花鶏の一騎打ちってどーゆー訳だよ?」
ミスコン開始前。体育館壇上横の控え室で、スタンバイ中の佐奈へ小さな不満を零す俺。あれだけ駈けずりまわったってのに、参加人員は佐奈と花鶏の二人だけってのは納得いかないよな。
「仕方が無いじゃない。優勝商品がこんな産業廃棄物スレスレの生ゴミなんだもん」
このコンテストのために尽力した功労者を産廃扱いとは、なかなかできるこっちゃ無いよ。
「まぁ、九十九と錠前にケンカ売ろうって女子はいないよな」
と、スパンコールきらめく派手なタキシードにでっかい蝶ネクタイという豪華絢爛な衣装に身を包んだ、司会者コータが口を挟む。うん、俺の調達してきたその衣装、すごく似合ってるぞ! 今そいつを着こなせるのは、お前か腹話術の人形くらいだ!
「そ、そうか? そんなに褒めるなよ」
「あははは、褒めてねぇよ三流芸人」
「な、なんだと! ……まあいい。それよりもだ、龍一。お前や皆には黙ってたけどな、すげぇサプライズ企画を用意してきたんだ。ふふふ聞きたいか?」
「なんだよ気持ち悪いな」
「実はな――」
と、俺に耳打ちするコータ。
「な、なに! 水着審――!?」
「しぃー! 声がデカイ、気付かれたらどうするよ」
「そ、そんな事あの二人が請け負う訳ないって」
「なぁに、こう言うのは電撃的サプライズで有無を言わせずなし崩し的にお願いすれば、結構ノリでやってくれるもんだぜ?」
「ば、ばかおまえ! そんな事したらあとで正気に戻った二人に、ボコボコにされちまうぞ! 悪い事は言わん、考え直せ!」
「だがよ、水着もちゃんと用意してあるんだ。俺の見立てでサイコーにセクシーなヤツをさ。リオのカーニバルのダンサーが土下座して許しを請うくらいのやつをよ!」
妄想してみると言う指令を待つ必要もなく、自動的かつ迅速に、俺の脳内がイメージトレーニングを始める。佐奈と花鶏がほぼ全裸に等しいコスチュームで……ん、おい、ちょっと待て! 俺の脳内イメージ用レコーダーよ、今のシーンをもう一度巻き戻して――そうそう、二人の顔のアップから胸元へと舐めるように移行していくシーン……と、そこだ!
「おい、それはやばい! そんなもん着てくれなんて言ったら殺されるぞ!」
「なはは、冗談だよ。普通のハイレグ系の水着だ。でもよ、結構かわいい水着である事は保障するぜ?」
「いいや、違うんだ! 問題はそこじゃないんだ」
こいつは知らない。佐奈も花鶏も、「平原」という言葉がよく似合うほどの貧乳だという事を! そしてもし、水着なんぞ着て観衆の目に晒されるなんて屈辱を強いられた後、俺に降りかかるであろう八つ当たりは想像を絶するものがあるだろう事を!
「とにかく時間だ! さぁ行って来い腹話術人形のコータ君。そして余計な事は絶対にするなよ?」
コータの背中を突き飛ばすように、壇上へと送る。そして、わたわたとステージへと躍り出るコータに注目が集まった。
「クスクス……なにあれ?」
「どこのナイトショーから逃げ出してきたんだよ」
うんうん、奴の登場に控え室にも聞こえてくるほど、オーディエンスからの失笑の渦が心地いい。その服を選んだ甲斐があったよ。
「え……っと、み、みんなのってるかーっ!」
俺との打ち合わせ通りに、一発目から臆する事無く飛ばしている司会者コータ。だがリアクションはまったく無く、しん……と静まりかえる体育館。まるで空気が凝固したかのような雰囲気だ。あれ? おかしいな。俺の予想ではここで「イェーッ!」の掛け声が返ってくるはずなのに。
「お、俺が今日の司会を勤めさせて頂く、せ……関口浩太でーす! どうぞよろしく!」
お、めげてないな。その調子だ、がんばれコータ! よし、ここは一発俺からもエールを送らせてもらうよ!
「うほっ! いい司会者!」
静まり返った会場に俺の声がよく通る。しまった、掛け声を間違えたかな? 途端、どっ! と上がる爆笑と、堰を切ったようにかけられるソッチ系の囃し声。
「いいぞ、一流ゲイ人!」
「なるほど、お前なら女子に中立な立場で司会が出来るもんな!」
「男の娘コンテストの方がよかったんじゃねーか?」
なんか壇上から、あとで殺してやると言わんばかりの視線がガンガン飛んできてる気がするけど、きっと気のせいだろう。ともあれ、場は程よく温まった。今がチャンスだ! ほれほれ、たたみ掛けろコータ!
「さ、さぁみんなおまちかね! 今日の別定期親睦集会はいつもとちょいと違った特別篇。我等が御翔高校一年生で一番かわいい女の子は誰か? を決めるビッグイベント――御翔一年ミスコンテストの開催だぁー!」
「「「うおおおおおーーーーーー!!」」」
うんまぁ、ミスコン自体は盛り上がる様子だ。よしいいぞコータ、ここからは俺が考えた『関口コータは女の子が好きだアピール』を織り込んだスピーチで、お前に付いた不名誉なイメージや噂を吹き飛ばしてやれ!
「残念ながら集まった美少女はたったの二名。 だ が っ ! その二人こそ正真正銘、この学校のてっぺんを名乗るにふさわしい二人だぁ! 何と言ってもこの俺、関口コータの――いやさ、一年生男子全員の脳内嫁候補トップに陣取る二巨頭が、ついに、ついに決着を着ける時がやってキタ――――――ッ!」
何かが吹っ切れたのか、やたらとテンションを上げたコータが、饒舌さの加速度をさらに増してゆく。やれやれ、これで一安心だ。と、そんな安堵感のお陰か、改めて佐奈の衣装に目をやる余裕も出てきた。
季節にはちょいと早いが、紫地に朝顔の模様の入った浴衣に、赤い鼻緒が印象的な下駄。そして浴衣の模様に合わせて、サイドテールを結わうのは朝顔の髪飾りの付いた髪留めという出で立ちだ。そういえばこの姿って――
「なぁ、佐奈。その浴衣ってお前ん家のお母さんのだよな」
「う、うん。覚えてたんだ……」
幾分緊張した面持ちの佐奈の表情が、少し緩んだ。
「ああ。小さい頃よく錠前神社の祭りや近所の縁日に、お前とおばさんの三人で出かけたっけ」
あの頃を思い出し、ふと懐かしさがこみ上げてくる。
「ア、アンタがさ、浴衣なんかどうだ? って言うから着てみたんだけど……似合ってる?」
「ああ、すごくかわいいし似合ってるよ。まるであの頃のおばさん生き写しだ!」
本当はアニメキャラのコスプレを用意する手はずだったんだけど、即座に(鉄拳制裁付きで)却下されてしまい、適当に浴衣でいいんじゃね? なんて言っちゃったんだけど……思いのほかかわいいと感じるのは、まぁこの場の雰囲気に飲まれた俺の気の迷いかなにかだろう。
「そ、そう? ちょっとはうれしい……かな?」
「ああ。きっとおばさんも今頃、草葉の陰で微笑んでいるだろうさ」
「人の親を勝手に殺すな! お父さんと一緒に長期出張に出てるだけよ」
「ちょ、ちょっとしたジョークだよ」
いつもならここで佐奈必殺の光速爆裂拳が飛んでくるはずなのに、今の俺のバカ言動を、何故だか小さな笑みで見逃してくれた。
「じゃあ行ってくるから、少しは応援しなさいよね!」
言って、佐奈はステージの袖へと駆け寄り、スタンバイオッケーの合図をコータに送る。なんだ、案外ノリノリじゃないか?
「さぁておまちかね! まずはエントリーナンバーいちばぁん! 清純派美少女の定評高い、錠前佐奈嬢の登場だぁーッ! みんな、でっけぇ拍手で出迎えてくれー!」
館内を揺るがす歓声の中、佐奈が元気よく、そして愛らしい歩調でステージ中央へと歩み寄る。なるほど、隠れファンが多いってのは単なる噂じゃなかった訳だ。
「ハァーイ、みんなー!」
笑顔で大きく手を振り、可愛さをアピール。それを受けた佐奈の本性を知らない幸せな奴らが「君こそ一番だ!」「佐奈ちゃんかわいー!」などと声高に叫んでいる。まぁ確かにかわいいのは認めるけれど、かわいさだけで花鶏のクールな美しさに勝てるかな?
――っと、そう言えば花鶏はどこにいるんだ? だいぶ前にステージ衣装に着替えると言って穂端さんと出てったきり、未だ帰ってこないけど。
「すまぬな、遅くなった」
噂をすれば影。背後から花鶏の声がした。
「いや、ベストタイミング――」
と言って振り向きざま、俺は息を呑んだ!
長い黒髪をかんざしでまとめ上げた艶っぽいヘアスタイル。そして牡丹柄が栄える濃紺地に見事な朱の帯と言う着物姿で、凛として立つ彼女がそこにいたんだ。そいつはともすれば、どこかのヤクザ映画から抜け出してきたかのような、正に『姐さん』と慕われるに相応しい出で立ちだった。
「い、一瞬カーチャンかと思ったよ」
その着物は、俺の母親が生前着ていたものだった。
佐奈の浴衣姿に対抗して、ここは一発淡いピンクのナース服(極ミニスカート)はどうだ! との提案をしたところ、花鶏に正座で二時間ほど説教されて、もうどーでもいいやと家にある古い着物を引っ張り出し「これでいいんじゃね?」と適当に差し出したのだが……純和風の神様らしく、まさに当然と言った着こなしを見せている。
「す、すいません鍵野くん。九十九さんの着付けと髪結いに手間がかかっちゃって……」
その背後で、申し訳なさそうに頭を下げる穂端さんの姿もあった。
「いやいや! ぜんっぜん時間に間に合ってるし……と言うか、この調髪や着付けは穂端さんの仕事かい? すごいね、穂端さん!」
「いえ、そんな事無いです。元々九十九さんが綺麗だから……」
言われて、口元を少し緩める花鶏。なんだ、神様もおべんちゃらには弱いらしい。
「当然じゃ。褒められて悪い気はせんでな……それは神も人の子も同じじゃ。些か気を張る事もの……」
少し緊張気味に「ふぅ」と溜息を零し、花鶏が舞台上へと目を向ける。そこには、既にノリノリ司会者へと変貌を遂げているコータから、さまざまな(セクハラまがいの)質問やら、(セクハラまがいの)軽いジョークを盛り込んだトークを受けている佐奈の姿があった。
あー……佐奈の奴、皆の前だから我慢しちゃって。口角と眉をヒクつかせ、しかも握られた拳に血管が浮き出てるじゃないか。それでもサービス用の笑顔を絶やさず、清純派少女を演じている姿を見るに、どうやら本気で勝ちを狙っているんじゃないのか?
もしまかり間違ってアイツがミス御翔一年に選ばれたら……鬱憤とストレスと怒りにまみれた結果、殺意の波動を覚醒させた佐奈によって、俺の身の危険がデンジャラスになっちまうじゃないか!
「こ、これはやばい! 花鶏、勝て! 必ず佐奈に勝ってくれ!」
「フフ……さて、どうかの。勝ったところでわしが佐奈に権利を譲渡すれば同じことじゃぞ?」
ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる神様……いや、こいつらはきっと悪魔か何かだ!
「ま、いずれにせよこの騒動を生んだお主の責任じゃ。清く腹を決めよ」
「し、死活問題!?」
まったく、他の候補者さえいれば良かったものを……俺の身柄(受領後は生死を問わず)と言う優勝商品では誰一人候補に名乗り出てこなかった上、おまけに推薦されてやって来た子は、優勝目録を見て土下座してまで辞退を乞う始末。せめてあやかしでもいいから一人は来て欲しかったよ。
「にしてもじゃ……これであやかしめが出て来なんだら、わしらはよい晒しものじゃな」
への字口に鼻から小さく零す溜息。些かしくじったか? と言わんばかりの表情を見せる。
「そうかもな。でもさ、こう言ったお祭り騒ぎもいいもんだぜ?」
と、そんな浮かれ口調の俺の耳元へ花鶏が口を寄せ、小さく呟いた。
(じゃがな、気を付けよ。さきほど髪を結ってもらっておるとき、一瞬何処からか殺気を帯びた視線を感じたでな)
(ま、マジか?)
(うむ、おるにはおる……が、無下に襲ってくる気配が無いところを見ると、残りの一匹は流石に狡猾と踏んでよかろう。まぁ注意せよ)
(う、うん)
小さく頷き、ごくりと息を呑んだ。
ちょうど時を同じくして、ステージでは佐奈とコータのトークが終わり、いよいよ花鶏の出番となった。
「さぁみんなお待ちかね! 対するもう一方の俺の嫁の登場だぁ!」
司会者のマイクパフォーマンスにも熱が入る。が――さっきから様子を見るに、コータが「俺は女が好きですよ」的な事をアピールする度、観客の熱が引いていくような気がする。いや、熱が引くと言うより……観客達が引いているんだ!
一つ女好きをアピールする度、「もういい……! もう……休めっ……! 休めっ……! 関口……!」と言う声と、哀れむような視線がコータへと投げかけられる。
しかしそんな空気に負けじと、コータはフルスロットルの空回りで、花鶏登場のコールを送った。
「男も女もそのクールな美貌に酔いしれろ! エントリーナンバーにばぁん! 九十九花鶏嬢だぁ!」
「――おおおっ!」
しずしずと現れた花鶏の姿に、拍手と歓声が一瞬どよめきへと変わる。ステージではコータのみならず、佐奈までもが憧れ的な視線を送っている様子だった。
「わぁー、かっこいい! 花鶏素敵だよー」
「そうかの? 佐奈とてかわいいぞ」
なんだか百合的ストーリーへと発展しそうな会話が交わされる中、コータのテンションがさらに加速する。
「それでは! 恒例の質問ターイム! 九十九姐さん、好きなタイプの男性は?」
「そうじゃな、物に最大級の愛情を込め、心より大事にするおのこ……かの」
少しはにかみながら、花鶏は言う。
「そ、それじゃ、今付き合っている男子はいるかな?」
「おらぬ」
「き、聞いたか野郎共ー! 男は顔じゃない心だ、と九十九姐さんは仰ってるぞー! 俺にも、もちろんお前らにもチャンスは十二分にアリだぞーッ!」
「「「マジかぁー! うおおおおお!!」」」
好きなタイプは物を大事にする人か。当然と言えば当然だな、なにせ九十九の神様だもんな。でも折角だからイケメンがいいとか言えよ。でないとコータみたく、変に誤解する奴が大勢出てくるぜ?
「ではそろそろおまちかね! みんな待ってたプロフィール紹介いってみよう! まずはもちろんスリーサイズからだ。九十九嬢……いやさ九十九姐さん! その美しいボディーの数値を教えてくださいいいいっ!」
「……嫌じゃ」
「え? あ、いやでも……みんな知りたがってる事だし、錠前にも聞いた事だから聞かないワケには――」
「断る!」
凄みの効いた眼光が、花鶏の瞳から放たれた。これには流石のコータも萎縮……しなかった!
「ええい、ここで引いたら関口浩太の名が廃る! この持参したメジャーで腕ずくの強制調査をさせてもらおう!」
と、どこから出したやら、身体測定用のメジャーを振りかざし、スケベ顔のリミッターを解除した表情で花鶏へと迫る。
「ええい、寄るな痴れ者めが!」
襲い掛かるエロ少年の腕を素早くつかみ、一瞬で組み伏せる花鶏。その見事さ、華麗さ、かっこよさに、会場はやんやと花鶏を称え、どっと沸いたのだった。
しかしながら、ステージ上で自由を奪われ跪き、頭部を下駄で踏まれるコータの表情、なぜだかどこと無く嬉しさを浮かばせているようにも思えるのは、俺の気のせいだろうか……。
いや、違う! なるほど判ったぞ。少々荒い手段だが、スケベで女好きと言う身体を張ったアピールか!
「コ、コータ……お前って奴は……無茶しやがって」
ステージの袖から、死をも辞さない覚悟の盟友へと敬礼を送る俺。
そんな甲斐あってか、
「なんだ、やっぱ関口はノンケだったのか?」
「関口くんが同性愛者なんて、やっぱり誤解だったんじゃないのかしら?」
「いやいや、バイと言う可能性も……」
などと、周囲の声も些かコータへの間違った見解を正そうとする意見に変わってきたようだ。よしいいぞコータ! このまま行けば、ミスコンが終わる頃にはお前への嫌疑は晴れようってもんだ。
「ギブギブ! 九十九俺が悪かった、もうギブだって! あいててて……ま、まぁ今日のところはこれくらいにしておいてやろう。さて、気を取り直して! 今回の勝者へと送られる品の紹介と行こうかー。何がどうなってコイツが選ばれたのかはまったくの謎なのだが――その命までをも投げ打つ覚悟の優勝商品を紹介しよう。御翔高校一のオタク野郎、鍵野龍一だぁー!」
ついに俺の出番がやってきた。が、紹介と共に館内を揺るがすほどの大ブーイングが起こる!
「何でお前なんだよー! 俺と代われー!」
「鍵野ぉー! 辞退しろー!」
「「「かーわーれー! かーわーれー!」」」
飛び交う代われコールに打ちのめされながらも、なんだか優越感の方が勝っている気がしないでもない。フフフ、愚民ども、悔しいか? うらやましいか? できたら本当に代わってください。
「さぁ、このヘナチョコ野郎を巡って、二人の少女がその美を競い合う訳だが――おまえら、どちらに投票するかもうき
まってるかぁー!?」
「 「 「 も ち ろ ん だ ぁ ー ! 」 」 」
「だがその前にッ!! 俺が、いやさ皆が待ち望んだサプライズファイナルステージ……そう! 水 着 審――」
「 「 「 う お お お お お !! 」 」 」
盛り上がる歓声! そして熱気! が、そんなテンション最高潮の観衆の声を切り裂くように、割って入る声があった。
「 ち ょ っ と 待 っ た ぁ ー っ ! 」
お約束感溢れる登場に、一瞬花鶏の表情が険しくなる。
「ふん、来よったか」
どことなく幼くも、威勢のいい声の方へと目をやる。ステージの対面、バスケットゴールのてっぺんだ。
そこには、ピンク地のフリフリ衣装に身を包み、魔女っ子モノにありがちなお花畑系ステッキを片手に持った小学生くらいの女の子が、腕を組み仁王立ちでこちらをにらんでいた!
最後まで目を通していただき、まことにありがとうございました!




