神々(小学生)の聖戦(ジャンケン)
あなたはこんな経験ありませんか?
教室の空気が重たい。
張り詰めた緊張感。
教室の真ん中に立つ二人の益荒男はお互いを睨み合い、目と目の間に閃光が飛び交っている。
「よぉ〜!まぁたお前は俺の前に立ちはだかるというのか。よくもまあ、諦めないな」
ガタイもかなりよく、ザブングル加藤のガッチガチやで!をゆうに越すようなガッチガチやで!が出来そうな少年が小学3年生とは思えない貫禄を見せながら言う。
そして、挑戦者と思しき少年は闘争心を丸出しにし、犬歯を剥き出して、目頭にしわを作って威嚇する。
デデン!ここで問題です。
さて、これは何が行われているのでしょうか次の一択からお選びください。
一:ジャンケン。
あと、俺はあえて2番のほにゃららとかいうのは辞めてくださいね。もしやったらどたまをカチ割りますよー。
はい!そこのあなた正解です。
そう、答えはジャンケンでした!
では続きをどうぞ!
「ほら早くヤれってー!」
「さあ、始まりました!給食の名物と言えばジャンケンです!それでは今日の対戦カードを発表しましょう。
青コーナーは王者、牛尾くん。
赤コーナーは挑戦者、萩原くんです。
さあ、勝敗は一瞬で着いてしまいますので皆様見逃さないようにしてくださいねぇー」
一人の少年が急に実況しだす。
しかし、それでも空気は張り詰めたまま。
すると、教室のドアが開き、先生が入ってくる。
「うむ。両者ともに準備は出来ている様子ですな!
では、陣上に!レデェェ!ファァァァァァァァイトォォォォ!」
それを合図に両者は動いた。
「「最初はグゥ!ジャンケン」」
「チョォォァァァキィィィィィィ!」
「パァァァァァァァァァァァァァァンツゥゥゥゥゥ!」
両者はお互いにすれ違い、まるで居合いをしたかのように静止している。
そして、王者と呼ばれた牛尾が倒れた。
「こ、この私が負けるなど、ふっ、貴様はこれから先王者の責務を果たすのだ。戦い続けろ……がくり」
一方、挑戦者の萩原は、勝者の戦利品として、賞金として、生麺の袋を手に入れた。
「ふ、俺の方が一枚上手だったな!」
勝ち誇ったように、自分の席に戻り、萩原は生麺を食べていた。
そう、給食とは数々の伝説が産まれ、そして幾多の王者と幾多の挑戦者が雌雄を決する時間。
ゆえに小学生はこの時間を聖戦と呼んだのだった。
あなたは戦いましたか?