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個人行動の欠点

「情報やオカルトに詳しい奴か……」

「ああ。3までなら出せる。」


境界ボーダーポストに戻った俺は、

店主に、そういった方面に詳しい人間を探している旨を告げた。


基本的にフリーランスと形容される者はエッジい連中が多い。

仕事を得て結果を出すためには得意分野を伸ばすことが多く、

俺は荒事に恵まれた才能を、遺憾なく発揮している。

裏を返せば、それは他の部分が、良くて平均である事の証左であり

電子機器や情報の扱いに至っては人並み以下の社会不適応者だ。


逆もまた然り、というのが世の道理というもので、十分な対価……

例えば情報料……さえ払えば、幾らかの手助けを得ることが出来る。

もちろん、コストとリスクに応じて得られる助けの質と量は変動する。

結局のところ一匹狼を気取ってフリーランスな野良犬生活をしても、

今回のようなケースとなれば完全にお手上げなのが現実だ。


「情報に詳しい奴なら紹介できるが、魔法まで含まれるとな」

「いないなら仕方がない。俺自身、荒唐無稽な事を言っている自覚はあるんだ。

 せいぜい、いつ来るかも判らない連絡を待つとするさ……」


こうなると情報屋から別の情報屋の情報を買う、という作業が必要だ。

必要な金が跳ね上がるのは間違いないし、そんな事を聞かれて

気分の良い情報屋は稀だ。メンツを潰されたと思われては揉め事が起こる。

かといって現状では相手にイニシアチブを握られたままだ。

今の自分に尻尾が生えていたとしたら、力なく垂れているだろう。


「まぁ待て。他の奴にも聞いてやる」

「頼むよ。また変な夢を見るかと思うと、うんざりする」


自分はよほど情けない表情をしていたのか、店主がそう言ってくれた。

店内のアンドロイドは元気が出る酒を勧めてくる。商売上手め。

酒を飲む気分でもないので合成ジュースを頼み、結果を待った。


店内の端末でニュースやスポーツの結果をチェックしながら

ジュースを飲む。飲み終わった後は水を頼んで時間を潰した。


「……そういえば斡旋屋に連絡していなかったな」


手元の名刺に印字されたコードを読み込ませてメールを送る。

そもそもアドレス帳に登録するような場所が数少ないのだが、

時間潰しも兼ねて、ちまちまと手元にある情報を登録していく。

この前に一緒に仕事をした男の連絡先。

境界ボーダーポストの店番号。

おっと、斡旋屋の連絡先を忘れるところだった。


「少ないな……」


登録していて、店主を含めて名前をロクに知らない事実を思い知らされた。

ビジネスの都合、名前が知られてもロクな事にならない稼業ゆえに

偽名や通り名が履いて捨てるほど存在している結果である。

自分も例外ではない。名前はあるが、滅多に本当のIDを利用する事は無かった。

機械を身体に入れていないため未成年並に制限が多い事に加えて、

公共施設を本当のIDで利用すれば、めざとくチェックを入れる役所の連中が

税金の取立てができないものかと来訪して面倒だからだ。


教会の福祉施設を利用しにIDを使った日には更に面倒な事になり、

熱心な世話焼きが住所を訪問しにくる可能性がある。

もし聖母殿の退魔局にお勤めしている連中の目に留まれば、審問チェックされる可能性もゼロではない。

ただでさえ頼る者が少ない身として、それは避けたい事であった。


一通りのアドレスを登録し終わって水の温度が室温と同じ程度になった頃

店主が吉報を告げてくれた。


「該当する奴がいたぞ。料金も予算内だ」

「情報とオカルトの両方に詳しいのか」

「まず間違いない。手配するか?先方の都合次第だが、早くても今日の夜だ」

「わかった。一度出直そう。詳細が決まったら連絡をくれ」


俺は店主に情報料を支払い、まだ見ぬ我が家に帰る事にした。

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