表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

赤ずきん【大人の童話館】

昔むかし、ある所に愛らしい男の子がおりました。



肌が白く日に弱かったので、母親から頭巾を被るよう言われました。



真っ白なレース編みの頭巾は、彼の肌にとても良く似合いました。




ある日、男の子は、母親から、おばあさんの見舞いに行くよう言付かりました。


手にしたバスケットには、リンゴとパイとワインを少し。



空は良く晴れ、男の子の気分もすがすがしいものでした。



男の子は、白いレースの頭巾と同じように、心の清らかな子どもでした。



けれども、晴れ渡る空に突如黒雲のように怪しい影が近づいて来ることに彼は、ちっとも気づきませんでした。






「よう、“白ずきんちゃん”俺たちと遊ばねぇ?」


見れば、4人の屈強な若者ばかり。




男の子は、とても適わないと、彼らについてゆくことにしました。






男共は、おばあさんの家とは逆方向の森へ、男の子を連れ出しました。



「この辺で良いだろう」

男の一人がニヤリと笑うと、男の子は簡単に取り押さえられ、彼らの言う事をききました。










男の子は、初めての大人の世界にくたびれ果てました。



けれども、なんとか体を起こし土で汚れた頭巾と服を身につけると、おばあさんの家に出発しようと立ち上がりました。


男共は、男の子が持っていた、おばあさんの為のワインを皆で飲み干し、無様にも寝入っていました。










黒雲は、男の子の胸にわいた、暗雲でした。




圧倒的な力の前に、簡単に屈服してしまった自分が、本当に不甲斐なく、



男の子は、すっかり寝入った男共全員に、怒りのナイフを、何度も突き立てました。










たくさん歩いて、疲れ果てた男の子が、ようやくおばあさんの家にたどり着いたのは、カラスがカァと夕刻を告げる日暮れ頃でした。





「おばあさん、ごきげんいかが?すっかり遅くなりました」




夕焼けを背にした男の子の頭巾は、日の色ではない〈赤い色〉にすっかり染まっていました。



おばあさんは、言いました。



「いらっしゃい、赤ずきん」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ