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リアリティ・チェック  作者: こざかな
第1部 ― 鯨中学校学期
12/13

第11話:次はどうなる?

こんにちは!『リアリティ・チェック』第11話です。お楽しみください!

荷ほどきを終えた生徒たちは、再びロビーへ集まっていた。

時刻は朝の6時。さすがに全員かなり眠そうだ。


前には、静岡先生、不死鳥先生、サトウ先生、そしてマユリ先生が立っていた。サトウ先生が手を叩いてみんなの注意を引く。


「はいはい、みんなー! ついに出発したよー! ほら、外を見て!」


クラス全員がロビーの大きな窓の方を振り向いた。見ると、船はたしかにゆっくりと東京から離れ始めている。

何人もの生徒が窓辺へ駆け寄り、少しずつ小さくなっていく陸地を眺めていた。


小川も興奮した様子で外を見つめる。


「うおおっ! ついに動いた! こんな長い間、家族と離れるの初めてだ! 自由だぁぁ!!」


不死鳥先生が鼻で笑う。


「そう自由でもないがな、チビ助。……いいから全員戻れ。スケジュールを配る」


生徒たちは再び前へ集まり、それぞれ一枚ずつ紙を受け取った。そこには一週間の予定が日ごとにびっしり書かれている。

小川は自分の紙を見下ろし、意外にもかなり満足した。


-


【鯨中学校 クルーズ研修スケジュール ― 門限 午前0時】


日曜日

[午前7:00~午後6:00 自由時間+アクティビティ]

[午後6:30~8:30 剣術訓練]

[午後9:00~午前0:00 自由時間]


月曜日

[午前7:00~8:00 朝食]

[午前8:00~11:30 自由時間]

[午後12:00~2:30 剣術訓練]

[午後3:00~5:00 剣術理論]

[午後5:30~午前0:00 自由時間+アクティビティ]


火曜日~金曜日

[午前4:30 リンゴ島到着]

[午前7:00~8:00 朝食]

[午前8:30~午後9:00 リンゴ島終日訓練]

[午後10:00 門限]


土曜日

[午前5:30 リンゴ島出発]

[午前7:00~8:00 朝食]

[午前8:00~11:30 自由時間]

[午後12:00~4:30 剣術訓練+理論合同授業]

[午後5:00~午前0:00 自由時間+アクティビティ]


日曜日

[午前7:00~8:00 朝食]

[午前8:00~11:30 自由時間]

[午後12:00~2:30 剣術訓練]

[午後3:00~4:00 決闘デュエル]

[午後5:30~6:00 東京港到着]


-


スケジュールを見た生徒たちから、一斉に声が上がる。


「門限が0時!? やばっ!」

「火曜から金曜以外、めっちゃ自由時間あるじゃん!」

「あとで買い物したい!」

「アクティビティって何があるんだろ!?」


松本は、プールでレーズンみたいになるまで泳ぐんだと騒いでいる。占も日向ヒュウガも、自由時間がたくさんあることに顔を赤くしながら喜んでいた。二人とも、この時間を最大限楽しみたいと思っているようだ。田中、日向ヒナタ)マヤ、そのほかの女子たちも大盛り上がりで、楽しそうに笑い合っている。


(うわ、研修にしてはかなり緩いな。しかも門限が真夜中とか……最高じゃん!!)


マユリ先生が咳払いをして、生徒たちの注意を引いた。


「みなさんも分かっている通り、今日は“ほぼ休息日”です。今夜は剣術訓練がありますが、せっかくこうして来てくれたので、今日は自分たちの時間を楽しんでください。私たち教師陣も船内にはいますが、みなさんならきっと大丈夫でしょう」


マユリ先生は軽くお辞儀をし、次に静岡先生が口を開いた。


「マユリ先生の言う通りよ。みんな、ちゃんと節度は守ること。でも、しっかり楽しんでもいい。高校へ進む前の最後の一年なんだから、友達との時間を大事にしなさい。もちろん、剣術訓練は真面目に取り組むこと。剣のアート・オブ・ソードは、どの高校でも大切にされているものだからね。

それじゃあ、行ってらっしゃい! 午後6時20分にまたここへ集合、夜の訓練を始めます!」


生徒たちは歓声を上げ、それぞれ散っていく。


小川はすぐに自分の仲間たちのところへ向かった。


「おいみんな! プール行こうぜ! もう泳ぎたくて死にそうなんだけど!」


松本が申し訳なさそうな顔をする。


「あー……悪い。俺、もうトモヤとアキラと回る約束してんだわ。なんかボウリング場あるらしくてさ。三人目が必要なんだと」


そのタイミングで、背の高い黒髪まっすぐの男子と、坊主頭で少しぽっちゃりした男子が近づいてきた。


「おい松本、いたいた。行くぞ」

「そうそう! ボウリング場めっちゃ広いらしいぞ!」


松本は振り返って笑う。


「おっけー! じゃ、行こう!」


去ろうとする三人に、小川が慌てて食いつく。


「待てよ! 俺も行きたい! ボウリング好きなんだけど!」


すると二人は揃って嫌そうな顔をした。


「絶対やだ。お前うるさいし。しかももう四人目も呼んでる」

「一人で遊んでろよ、小川」


小川の顔がわずかに曇る。


「おいジュンペイ! なんか言えよ!」


松本は小さくため息をついた。


「なあマコト、たまにはあいつらとだけで回りたいんだよ。いつも一緒じゃなくてもいいだろ。あとで会おうぜ」


二人はクスクス笑いながら松本と一緒に去っていく。小川はその場に残され、少しだけ傷ついたような顔をした。


「……なんだよ。エアホッケーの話はどこいったんだよ……」


だがすぐに気を取り直し、今度はヒキと占が二人で行こうとしているのに気づく。


「おーい! 二人とも待てよ! 俺も行く!」


日向ヒュウガと占が振り返る。占は露骨に面倒くさそうで、日向ヒュウガは気まずそうにため息をついた。


「なあマコト。俺ら、ちょっと二人で過ごしたいんだ。あとで一緒に回ろう。な?」

「えー、いいじゃん、ちょっとくら――」

「マコト! ダメ!」


占の珍しい強い声に、小川も日向ヒュウガも同時にびくっとした。

占は今、本気でイラついているらしい。


「私はヒキくんと一緒にいたいの! だからマコトは別のとこ行って! ほら、行こ、ヒキくん!」


「あ、ああ……。じゃあな、マコト」


占に引っ張られるようにして、日向ヒュウガも去っていく。

小川はついに一人になった。


(……なんだ今の。メグミ、なんであんなキレたんだ? ヒキのこと好きなのは分かるけどさ……)


小川はため息をつきながら歩き出した。


「しゃーねぇ。なんか食うか……そのあとユメコちゃんが何してるか見に行こっと!」


-


「行ってきまーす!」


朝7時。

金髪を短くポニーテールにした少女が、玄関から飛び出していく。淡い水色のブレザーに濃い青のスカート、膝上までの黒いソックスに茶色のローファー。首からは学生証入りのネックストラップを下げ、背中には紫色の布で包まれた剣とリュックを背負っていた。


彼女眠そうなピンクの瞳をこすりながら前髪を払う。


「学校、早すぎ……。まだ寝てたい……」


そう言ってあくびをしたその時、後ろから駆け寄ってくる足音がした。


「おはよう、ヒナちゃん!」


ヒナが振り返ると、そこには一番の仲良しがいた。

長い淡い水色の髪に、大きくて可愛い蜂蜜色の瞳。同じ制服姿で、彼女もまた首からストラップを下げ、青い布で包まれた剣を背負っている。


「……あ、ノア。おはよう。朝から元気だね、あんた。

こっちは剣術理論の勉強で夜更かししてたから眠いのに。……まあ、勉強してなくても、たぶん今すぐベッド戻りたいけど」


二人は並んで歩き出す。ノアはくすくす笑った。


「ヒナちゃんって、本当に剣のことになると休まないよね。たまには息抜きすればいいのに」


ヒナはじっとノアを見る。


「ノア、それ何回も言ってるけど、もう理由は話したでしょ。

お姉ちゃんに追いつかないと、私は置いていかれる。そんなの嫌。だから私は、いい高校に入れるくらいまでちゃんと強くなるの」


「あっ、そうだった! ごめん、いつも忘れちゃう! でも、それだけ頑張ってるなら――」


ノアは突然立ち止まり、ヒナの肩をがしっと掴んで激しく揺さぶった。


「もしかしてヒナちゃん、J.R.S.アカデミー受けるつもりなの!?!?」


「わっ、ちょっ、やめ……っ!」


ぐらぐら揺さぶられて目を回しかけながら、ヒナは慌てて首を振る。


「ち、違う違う! 無理だよそんなの! あそこなんて超難関じゃん! 剣のアート・オブ・ソードの実力だけじゃなくて、成績もめちゃくちゃ良くないといけないし! 私、成績はそこそこでも“すごい”ってほどじゃないし、実力もJ.R.S.レベルなんて全然足りない。日本のトップ10校にだって入れるか怪しいよ。

だから私は、自分に合ったいい学校に行って、そこから頑張る! それが完璧な計画!」


ヒナはぐっと拳を握って、自信満々に笑う。

だがノアは、なぜか少し残念そうな顔をした。


ヒナはそれに気づいて首をかしげる。


「……何?」


「ヒナちゃん、自分をそんなに低く見ないでよ!!」


「え?」


ノアはヒナの胸を人差し指でつついた。


「もっと上を目指していいの! 今から諦めちゃダメ!」


ヒナは目を伏せる。


「でも、私なんて――」

「できる!!」


ノアの強い声に、ヒナはびくっと肩を震わせた。

ノアがこの調子になる時は、本気で自分の言っていることを信じている時だ。


ノアはヒナの手をぎゅっと握る。


「お姉さんに追いつきたいんでしょ?」


ヒナは迷いながらもうなずいた。


「だったら、お姉さんがJ.R.S.に行ったみたいに、ヒナちゃんだってああいうすごい学校を目指すべきだよ! J.R.S.じゃなくてもいい。でも、トップ10のどれかには絶対挑戦して! うん、それが新しい目標! トップ10の高校に入ること!」


「ノア――」

「でもじゃない! もしどこにも受からなかったら、私、一生許さないんだから!」


ぷいっとそっぽを向くノア。

ヒナはそんな友達を見て、くすっと笑ってしまった。柔らかな目になる。


「……何がおかしいの!?」


ヒナは笑いながらノアの頭をぽんと撫で、また歩き出した。


「はいはい……。じゃあ、剣術属性ソードアート・アトリビュートの制御を、もうちょっと真面目に詰めてみる」


そして振り返り、少しだけ強い笑みを見せる。


「だって、10位でも“トップ10”だもんね。……もう少し先まで目指してみるよ」


ヒナが歩き出すと、ノアはぱっと明るい顔になって追いかける。


「そうこなくっちゃ!」


二人は肩を並べて、自分たちの学校――果園中学校へ向かった。


「今日もこの黒崎ノアと鈴木ヒナ、全力で頑張ります!」

「ふふっ」


-


ギィ、と教室の扉が開く。


まだ朝7時。教室のカーテンは閉じられていて薄暗い。

そこへ一人の少年が入ってきた。樫の木みたいな茶色のツンツンした髪。目を閉じたままあくびをしている。


茶色のブレザーに黒いズボン、白い上履き。

赤い布で包んだ剣を自分の机に置き、窓のブラインドを少し開ける。朝の光が差し込み、教室が静かに明るくなる。


彼は窓際の隅の席に腰を下ろし、鞄を机の横に掛けると、ノートと剣術理論の教科書を取り出した。


山田田樹

秋中学校


少年――山田タイキは、自分の名前の下に書かれた中学校名を見つめ、小さく息をついた。そしてノートを開く。


そこには、剣に関するさまざまな戦術、考え方、気になる点がびっしりと書き込まれていた。


(……これで足りるのか……?)


教室の時計が静かに時を刻む中、山田は黙々とノートへ視線を落とし続けた。


それぞれの場所で、それぞれの生活を送っている三人。

けれど、その存在はどこか――重要な意味を持っているように思えた。


こんにちは。今回の話も楽しんでいただけたら嬉しいです。少し短めではありますが、前から少し触れていたかもしれない新キャラクターを、正式に二人登場させたかったのでこうなりました(笑)。

次の話もぜひ楽しみにしていてください!


「はぁ……面倒くさい。マコトだけ追いかけててよ。私とヒキくんはこの話から外して。」

――占メグミ

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