プロローグ:クラスの道化師の物語の始まり
これは、私が初めて書いた物語の、初めて公開する第1話です。これからこの作品をどこまで連れていけるのか、自分でもすごく楽しみにしています。
正直に言うと、本当はこの物語を「初投稿の作品」にするつもりはありませんでした。実は別に、将来書き始めたいシリーズがあって、そちらはもう少し計画を立ててから取りかかろうと思っています。あっちはもっと大きな構想があるんです、笑。
一方で『Reality Check』は、かなり思いつきで作り始めました。書いた理由も、ただ自分が書くことが好きで、「自分の書いたものを読んでくれる人がいるのかな?」と確かめてみたかった、それだけでした。
でも、メモを直したり設定を調整したりしていくうちに、だんだん気づいたんです。――私自身も人生の中で、自分なりの「Reality Check(現実に叩き起こされる瞬間)」を経験してきたんだな、と。
そうなんですよね。現実って、いちばん油断している時にいきなり殴ってくる。しかもその一撃を食らった時、どうすればいいのか、どう前に進めばいいのか分からなくなることもあります。私もまさにそんな時期がありました。人生が嫌で、進むことも成長することもしたくなくて。自分の小さな殻の中から出るのが怖かった。
でも時間が経つにつれて、それは正しい生き方じゃないって気づきました。たしかに、そういう出来事は起こります。けれど、それは私たちをその場に縛り付けて凍らせるためのものじゃない。むしろ目を覚まさせて、「拒んで立ち止まるんじゃなくて、前へ進め」と言ってくれるものなんだと思います。
道の途中には、もちろん障害もあります。それが人生です。私も今でもそれを経験していますし、学びながら、動けなくなる泡のような世界から抜け出そうと必死に進んでいます。
でも――あの“現実の痛み”の焼けるような感覚を覚えている限り、きっと分かるはずです。何があっても前に進まなきゃいけないって。そうすれば最後には、トンネルの先の光が見える。
人生はひとつの大きな旅です。恐れずに、走って、動いて、進みながら見逃していたものを見つけてください。そして後悔や恐怖に、足を止めさせないでください。
それが、真琴・小川がやろうとしていることです!
この物語に出会ってくれた方、どうか最後まで付き合って、楽しんでくれたら嬉しいです。そして「自分のReality Check」を経験している人へ――きっとあなたも、前に進めます。進めるし、進んでいけます。
「はぁ……あの子、どこにいるの? 遅刻しちゃうじゃない!」
母親はキッチンを行ったり来たりしていた。長い赤髪が左右に揺れ、明るい青い瞳には、心配と苛立ち、そして疲れが混じっている。月曜日の朝、時刻は8時15分。もうとっくに家を出ていないといけないのに、息子はまだ起きてこない。
「キョウコ、起こしに行ったらどうだ。どうせまた、いつものようにアラームに気づかず寝過ごしてるんだろ」
リビングのソファに座った男――息子の父親だ。ぐしゃっとした黒髪をポニーテールにまとめ、眠たそうな黒い目であくびをしながら言うと、また本に視線を戻した。
その隣では、父親と同じ黒髪で明るい青い目の少女が、ソファからひょこっと顔を出して目を回す。
「そうだよママ。マコトがどれだけ救いようのないバカか、もう分かってるでしょ。私、いつも思うんだよね。どうしてあんなのが“お兄ちゃん”なの? 私のほうがよっぽど大人だし」
キョウコはため息をついた。言ってることは――確かに、その通りだ。でも、それでも。
「ブリジット、気持ちは分かるけど……もう少し優しく言いなさい。お兄ちゃんはまだ中学生なんだから……たとえ、最後の一年でも……周りに追いついててほしい年頃でも……」
キョウコは言い淀み、頭を振る。
「……起きてるか見てくるわ。」
そう言ってキョウコは、ぱたぱたと階段を上っていった。
「ママ、たまにかわいそうになる。マコトって、ママがあんなにやってあげてるのに全然気にしないんだもん。ほんと迷惑。バカ。ダメ。ムカつく」
ブリジットの“愛のある”悪口に、ソウマは思わずくすっと笑った。ぷくっと頬をふくらませる娘の頭を、ぽんぽんと撫でる。
「じゃあ、お前はあの間抜けな兄貴みたいになりたくないなら、勉強を頑張れ。将来は家のことも手伝えるようになって、自分の好きなことを見つけるんだ。剣に関わりたくないなら、それでもいい」
ブリジットはぱっと顔を明るくし、誇らしげに敬礼した。ソウマはまた笑う。
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「へへへ……ついに来た! 今日はその日だ! ついにあの子を、オレの虜にする日だ! ユメコちゃんは今日こそオレのものぉぉ!」
散らかり放題の男子部屋。14歳の少年が、ベッドから床へ、床から壁へ、そして天井へ――とにかく跳ね回っていた。
そう、こいつが“問題児の息子”。小川マコト、その人である。
「今日! このオレ、小川マコトが! ついにみんなを超えて、ユメコちゃんを惚れさせてやる!」
小川は自分に向かって、満面の笑みで拳を突き上げた。なぜ今日に限ってこんなに自信満々なのか? それは――
「全部、この1円玉のおかげだ! 今日のオレの運、完璧すぎる!!」
床……というより、ガラクタの海の中で見つけた1円玉。その1円玉が、表を向いていた。
小川は思った。神様が、ついに自分のささやかな祈り――「ユメコに惚れられたい」――に応えてくれたのだと。この“神の投げたチャンス”があれば勝てる、と。
「ははは! 覚悟しろユメコちゃん!! オレはついに――」
バン!
「マコト!! 何してるの!? 遅刻よ!!」
小川は飛び上がった。天井に頭をぶつけそうな勢いだ。
開け放たれたドアの向こうに母――キョウコが立っていた。怒りのオーラ全開で、息子を睨みつける。
小川は下着姿。黒髪はいつも以上にボサボサ。空色の目は、まるで天国の向こうでも見ているみたいにボーッとしている。
「ま、ママ! ちがっ、これは――」
「そんなのどうでもいい! マコト、シャワー浴びたの!?」
「は、はい! はい浴びました!」
「じゃあ早く制服を着なさい! もう、いい加減にして!!」
キョウコはクローゼットの扉に掛けてあった制服をひっつかみ、小川に投げつけた。そしてドアを、またバタン!と勢いよく閉める。
小川はドアを見つめ、それから“ラッキー”な1円玉を見下ろした。
「……選ばれし運ってやつかもな。とりあえず着るか。ママ、なんであんなにカリカリしてんだよ……」
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キョウコが階段を下りてくると、まだ怒りが残っているのか、顔が少し赤い。キッチンではソウマが小川の弁当を用意していた。
「今日は“ヒューズが飛ぶ日”か。はは」
「からかわないで。あの子、本当に一生変わらないんじゃない? 頭が痛いわ……」
――その瞬間を狙ったかのように、小川が階段を駆け下りてきた。
息を切らしながら現れた姿は、シャツはボタンが外れたまま、ズボンはしわしわ、髪も相変わらず暴れている。
「ま、間に合った! ママ、ごめん! 行ってくる!」
小川が玄関へダッシュしようとしたそのとき、キョウコが素早く襟をつかみ、ピタッと止めた。
「ちょっと待ちなさい! その格好で出る気!? ありえないわ」
キョウコはぷりぷりしながら、シャツのボタンを留め、ズボンを整え、髪も“寝起きっぽいボサボサ”から“だらしないけど一応整ってる”くらいに直した。
そして果物かごからバナナを、冷蔵庫からいちごミルクを取り出して渡す。さらに、うさぎ柄のかわいい布で包まれた弁当も手渡した。
「はい。朝ごはんはこれだけ。起きるのが遅すぎるからね。それとお弁当。忘れないで」
「えぇ~、ママ! うさぎって何だよ、ダサい! 弁当もいらないって! どうせかまぼこと海苔しか入ってないんだろ!」
「入ってるわよ! 栄養満点よ! 昨日なんて、昼ごはんジャンクフードしか食べてないじゃない!」
小川はため息をつき、バナナといちごミルクを受け取る。弁当も、しぶしぶ受け取った。
「はいはい。じゃあ行く! 偉業のために!」
「いってらっしゃい。お願いだから、トラブルだけは起こさないでね。学校から“また迷惑かけました”って連絡、もう聞きたくないの」
小川はいつものバカっぽいニヤニヤ笑いを浮かべ、例の1円玉を掲げた。
「大丈夫! 今日は良い日だ!」
そう言って小川はドアを閉め、学校へ走っていった。
キョウコはため息をつきつつ、でも少し笑ってしまう。ソウマはあくびをし、乾いた笑いを漏らした。
「……あいつ、どうする?」
「ほんと、それ。お弁当ちゃんと食べてくれればいいけど……食べなかったら、今週は地獄ね」
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――やあ。オレの名前は小川マコト。さっきの家の騒ぎを見れば、オレがどんなやつだったか、もう想像つくだろ?
当時のオレは完全にガキで、わがままで、能天気で、ふざけてばかりの怠け者だった。きっとこのまま一生そういうやつでいる――そう思ってた。
でも人生って、こっちの都合なんて知らない。現実ってやつは、冷たくて、時に残酷だ。しかも、油断してるときに限って、顔面にぶん殴るみたいに襲ってくる。
そして一度それが起きると、今までの生活は――良くも悪くも――大きく変わってしまう。
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「よぉぉぉ! マコトォ!!」
登校中の小川に声をかけたのは、親友のひとり―― 松本・ジュンペイだ。少し背が高く、明るい緑の目。オーク色の髪が風で乱れ、余計にボサボサになっている。
小川はニッと笑った。
「なあ。どうせまた母ちゃんに怒られたんだろ?」
「うるせぇ! 母ちゃんが分かってないだけだ! 今日は最高の朝なんだよ! ラッキーアイテムがあるし、ユメコちゃんに話しかけたら、オレの運が全部味方してくれるに決まってる!」
小川は“ラッキー”な1円玉を取り出し、松本に見せつけた。頭の中では天使の合唱が鳴っている――気がしている。
だが松本は、「あ、こいつまだバカだな」という目で見たあと、肩をすくめて歩き出した。
「大丈夫だ。ユメコさんにフラれて泣くとき、肩ぐらい貸してやるよ」
「うるせぇ。」
二人は言い合いながら、そのまま学校の門まで歩いた。入口のアーチには文字が刻まれている。
鯨中学校
門をくぐると、校舎へ続く道の両側に、青々とした木々が並んでいた。小川は目を閉じ、空気を吸い込み、くすっと笑う。
「それにしても、この学校って中学にしてはやたら綺麗だよな」
松本も笑ってうなずく。
「だよな! まあ、ここは“剣の技術”に力入れてる学校の中でも上のほうだし。ところでさ、今回はちゃんと剣持ってきた? 今日は上級の斬撃技術だぞ」
「当然! 忘れたのは一回だけだし! あれは授業の予定が変わるとか言ってたから――」
「はいはい。どうせ“まだ剣術属性”を覚醒できてないのが恥ずかしいんだろ? 中三で、しかももう5月後半だぞ? 一年のときにやり方教わったのに。はは!」
「お前、車道で遊べ」
二人は校舎へ入っていった。今日もいつも通りの、退屈な月曜日になる――そう思っていた。
だが、小川マコトの物語は、ここから始まる。
この“退屈な日”から。
こんにちは!『Reality Check』のプロローグを読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます!これからもこの物語を書き続けていくのが待ちきれません。
日本語として読みやすく、違和感がないように、翻訳は何度も確認しています。ですが、翻訳ツールは完璧ではないので、「ここちょっと変かも」「この表現は直したほうがいいかも」と感じる部分があれば、ぜひ教えてください!それが本文でも、あらすじでも、タイトルでも、前書きでも、後書きでも大丈夫です。
皆さんにこの物語を最後まで全力で楽しんでもらえるように、できる限り良い形にしていきたいと思っています。学びながら書いているアメリカ人として、どんなフィードバックも本当に大切です。
改めて読んでくださってありがとうございます!次の章が公開されたときも、楽しんでもらえたら嬉しいです!
「読んでくれたみんな、ありがとな!俺の超最高な人格に惚れすぎんなよ〜? へへへ!」
――小川 真琴




