人生を無理矢理変えられた時 いらして下さい 天沼探偵事務所 2
使い方を間違えて書き足す形で更新しました。
春の新宿御苑
四季の感じれないこの新宿に、唯一春は感じれる季節。
酒が苦手な俺としては、車から眺める桜が
この季節の楽しみ。
今日もこの気に入りの路肩に路駐して、桜を眺めながら
煙草を嗜む。
すぅ・・・ふぅ・・・
普段はヤニの味しかしないのに この時期は桜風味に
なる気がする
ピリリリリッピリリリリッ
無粋な音だな とはいえ今月は実入りが少ない 来る者拒まず か
ピッ
はい
「こちら、天沼探偵事務所の方の携帯でしょうか?」
ふぅ・・・
肺まで押し込んだ煙をゆっくりと吐き出し
はい どうされましたか
花より生活の為の行動を優先した。
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事務所の客用の椅子に座るのは、小石川 律。
某アイドルのマネージャーらしい。
「あなたの噂を聞き、探し回りました。」
噂? どんな噂が流れてるんだ?
「何でも、斬った傷を治す、と。
それで治してほしい子がいまして。」
はぁ・・・
ため息を一つこぼす。
・・・すまんが 俺は医者じゃない 探偵を生業にしている そういう要件なら医者に行くのが筋だろう
俺の言葉に、マネージャーは無言で写真を一枚
テーブルに置く。
それは、そのアイドルであろう娘の、顔の肌が
爛れた写真、だった。
「医者には散々見せました。
ですが、どの医者も返答は同じ。ただ匙を投げられる。
もちろん、あなたのこんな噂なんて、頭から
信じている訳じゃない。
でも・・・藁にもすがる気持ちなのです。」
何故?
「はい?」
何故 そこまで彼女に固執してる?
今時 アイドルなんて数多にいるのでは
「そうですよね。何故、でしょうね。
私も分からない、が、正直な感想です。」
マネージャーはテーブルにある写真を見つめる。
「私だって、他の抱えてる子にもっと集中しないと
いけない。
言葉は悪いですが、もう商売道具を失ったこの子に
執着する理由なんて無い。」
マネージャーは、テーブルの写真を手に取り
「分かってる、のに・・・離せないんですよ。
理性では分かってる、でも、私の中で投げてはダメ
そう言う自分が居て・・・じゃないと、こんな
都市伝説なんて信じてここまで来ません!」
ふむ
この子のこの顔の爛れ 薬剤か何か だな
「はい。まだ売り出し中で、ステージは
客席からすぐ目の前。
その上この子は、すぐファン前まで降りて
ファンサをする。
その距離の近さがこの子の良い所だった、のに・・・
その日は・・・目の前にいた、アンチに薬剤を
かけられて・・・。
犯人は、そのまま取り押さえられたのですが
この子の傷は・・・。」
胸元のポケットから、煙草を取り出す。
窓を少し開けて、手慣れた動作で火をつける。
ゆっくりと、煙草を吸い込んだ。
ふぅ・・・
この子は 今 何してる
「おそらく今日も、レッスンを受けてる頃かと
思います。」
レッスンを受けてる か
すぅ・・・・
もう一度、ゆっくりと肺まで煙を吸い込む。
そのまま
ふうぅ・・・・・
窓に向かって吐いた。
煙草を灰皿に押し付ける。
彼女を癒せたら 成功報酬で200万 現金な
立ち上がり、入り口の扉を開けて、マネージャーを
送り出した。
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古いトレノから、外を眺める。
目の前にはマネージャーから聞いていた
レッスン教室のある建物。
煙草に火を付け、吸い、灰皿に押し付ける事五回目。
建物から、10人以上の人物が出てきた。
各々が、帰る方向に向けてそれぞれ帰っていく。
が、目的の人物 神木 ゆな を見つける事は
出来なかった。
五階建てになっているこの建物の上を見る。
ワンフロア、電気が付いていた。
またしばらく待ち、時刻は22時を過ぎた頃。
ゆっくり吸い込んだ煙を
ふぅ・・・
ゆっくり窓の外に吐き出す。
行くか
ガチャ!
古いトレノの扉を開けて
ガチャン!
機械的な音を立てて扉を閉めた。
建物に向けて歩きながら、このサウンドに
少しだけ浸る。
死んだ親父の 気に入りの車 どこまで持つかねこれ
などと思いながら建物入り口に行き、警備員に
マネージャーから預かった通行証を見せ
建物に入った。
もうほぼ、退社をして静まりかえる建物の中。
一階の位置なのに上の階のメロディが聴こえてきた。
聴こえてくる音に向かってゆっくり歩く。
まだ、電気が煌々と付いた2階フロア。
レッスンフロアとして使われてる広いスペースの
鏡の前、女性が1人、メロディに合わせて身体を
動かしていた。
廊下から、眺める。
胸ポケから煙草を取り出そうとしたが
・・・ここは 禁煙 だろうな
出しかけた煙草の箱を胸ポケに戻す。
まぁ だが 煙草は無くとも飽きはしない な
彼女の音楽に合わせて動く、キレのあるダンス。
しばらく眺める事にした。
夢中になり踊り続ける彼女。
しばらくして、動きにターンを入れた際、こっちを
見つけたらしい。
「だ、誰!」
かなり怖がらせたか それはそうだな
失礼した 声をかけるのも申し訳無いくらいに 練習に没頭してたから しばらく眺めてた
風貌的に どうも不審者と思われた様だ
「警備員の方を呼びますよ!」
叫ぶ彼女の左頬に 爛れた痕 彼女が 神木 ゆな か
心配しなくていい 君のマネージャーに雇われた 君のボディガード だ
物凄く怪しそうにこちらを見る。
「嘘ですね。ボディガードなんて、今の私に
付けるわけないじゃ無いですか。」
そっと左手で、自分の頬を触れた。
だが 事実だ マネージャーに確認してくれても構わないよ
訝しむ顔で俺を見ながら、すぐ近くの自分の鞄から
スマホを取り出し、マネージャーに電話した。
程なくして、誤解は解けたらしい。
「何で、私なんかにボディガードなんて。」
マネージャーに ボディガード とは言わなかったのだが うん 併せてくれた様で良かった
改めて 天沼 東次 だ よろしくな
手を差し出した俺に、それでもまだ警戒を解かない顔で
「神木 ゆなです。何故?あなたがいるの?
私は見限られたと思っていたのに。」
それなら 何故 こんな時間まで1人でレッスンをしている?
うっ、と言葉を詰まらせ目を逸らす。
「諦め、られない、から。」
それ以上の言葉を探す彼女に
それで 俺が居るには 充分だ
言葉を遮った。
一つ 聞きたい
「・・・何ですか?」
喫煙所は あるか
すみません。使い方が分からず、一度短編で登録すると変えられない事を今知りました。なので、書き足しと言う形で更新します。分かりづらくなってすみません。それと、思ったよりも少し長引きそうな雰囲気を醸し出してきたので、更新を何度か分けます。重ね重ねすみません。