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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

乙女ゲーム世界に召喚されたと思ったら悪役令嬢がもう攻略済みの状態だったため国を出たら敵国の将軍に溺愛されてる件

作者: 善玉令嬢


「ここはどこ?」


私の名は三枝忍、大学生である。

小柄で童顔だから中学生と間違えられる事が多い。

大好きな乙女ゲームの新作(戦乙女7)をプレイしにバイトを上がり自宅のテレビ画面へ急いでいたらスマホを見ながら運転している車を見つけた、なんと子供が歩いている横断歩道に突っ込もうとしていた。

私は自然に体が動いて子供を庇い···

気がつくとこの見知らぬ部屋にいた。


「聖女殿!よくぞ参られた!余はザーマ王国第23代国王ハーキ4世である!」

「ん?ザーマ王国?ってもしかして···」


もしかしなくてもそう、私がここに来る前にプレイしていた乙女ゲームの舞台となる国だ!

異世界から召喚されたヒロインは聖女となるために攻略対象達の通う魔法学園で好感度を高めながら悪の帝国と戦い悪逆皇帝を倒すゲームである。


「···って事ですよね?」

「なんと!もう状況を読み込まれているとは!流石聖女様だ!」


なんのかんので魔法学園に通う事になり聖女となるために魔法を学ぶ事になった。

もう20歳だけど15歳くらいの同級生に混じっても特に違和感は無いのか特に何も言われなかった。

前の世界の事は不思議と未練は無い、父親はギャンブル狂いで職にも就かず遊び呆けたまに家に帰る時は母に金をせびり暴力を振るうようなクズだったからだ、母も私の存在が疎ましかったようで愛情を向けられた事など無かった。

そのため大学進学を機に家を出た、親戚連中とも絶縁状態だから私を探す人なんかいないだろう。

バイト先はゴメン···


「さてお昼お昼···ん?人集まりが出来てるなぁ」

「キャー王太子様よ!側近の方々もいらっしゃるわ!」

「公爵家ご令嬢のイザベラード様よ!素敵~」


攻略キャラ達じゃないか、私はRPGパートにハマってたクチで推しは別にいるからあまり興味は無いかな···

人気声優起用で人気だったっぽいけど私は前作の攻略対象の方が好きだった。

それで確かあの令嬢は王太子の婚約者のイザベラード=ハールメンだ、ヒロインに嫉妬し殺そうとして学園を退学になる。

あれ?こっちに来るぞ


「平民風情が私の婚約者様に色目を使わないでくださる?」

「はっ?使ってませんが?」


いきなり何言ってんだコイツ?


「平民風情が貴族に対してこの口の聞き方···不敬罪で死にたいのですか?」

「どうした!?イザベラード?」

「カクドク様!」

「その平民がお前に色目を使ってたらしいぜ」

「平民ごときが神聖なる学園に足を踏み入れるだかでも汚らわしいのに···」

「身の程知らずも良いとこだよね、色恋がしたいんなら同じ平民相手に股開いてりゃいいのに」


王子と騎士団長子息と宰相子息と魔術師団長子息だ攻略対象勢揃い。


「色目など使ってませんし、なぜ初対面のあなた達にそこまで言われなければならないのですか?」

「平民が口を開くなぁ!」

「黙れ平民、貴様に発言を許可していない」


何なんだコイツら···7から西洋のファンタジー世界に舞台が変わって婚約者いるのに堂々と浮気してくるのがあんまり好きになれなかったけど完全に大っ嫌いになったわ。


「お言葉ですが学園の中では生徒は平等とありますが?」

「猿が喋るとこうも滑稽だとはね」

「論破したつもり?平民ごときが生意気だよね~」


相手にしてられるか、私はその場を立ち去った。


後日、私の悪い噂は完全に校内に伝わっておりクラスメイトからは完全に避けられ横切るだけで陰口を言われるようになった。

日を追う事にエスカレートしノートが破られ筆記用具が壊され机に落書きをされる。

幼稚すぎてコイツら本当に高貴なるお貴族様なのか?と思わずにはいられなかった。

教師達は見て見ぬふり、食堂では私の周りに距離を取られる日々。

そして決定的となったのはイザベラードが聖女だけが使える光属性の魔法を使えるようになった事だ。


「流石イザベラード様だわ!私最初からあの方が聖女だと信じていたの!」

「やっぱり聖女は貴族じゃないとな!」

「それに比べてあの平民はいまだに初級魔法しか使えないなんて··」

「所詮偽者か王太子達の目は確かだったな」


ついに庇ってくれていた神殿や陛下までもがイザベラードを擁立し私を見放した、そして戦闘演習の授業で···


「キャア!」

「どうしたイザベラード!」

「平民が私に向けて魔法を···」


はぁ?私がターゲットに対して魔法を撃った所にお前が飛び出て来たんだろうが!


「これは決まりですね」

「本当は何億回殺しても足りないくらいだがな、貴様は退学だ!そしてこの国から追放する!」


馬鹿王子が汚ない声で宣言する


「ついに本性現したって感じだよね」

「聖女の座を奪われたからって嫉妬で殺そうとするとかサイテー!」

「所詮は卑しい平民だったな」


ウルサイウルサイ豚ドモガ


私は捕らえられ隣国の帝国領にゴミのように投げ捨てられる。


「もうどうでもいいや···」


結局この世界では何一つ良いこともなく死ぬのか···


「大丈夫か?」


男の声が聞こえる


「もう大丈夫だ、よく頑張ったな」


この人は···

忘れるはずが無い···戦乙女7での私の推し···終盤の帝国としては完全な負け戦の最終決戦、同盟国や味方からも寝返るものが続出する中でラストダンジョンの帝都城の城門を守るボスキャラとして登場する帝国の将軍ドレイクその人だ!

普通に倒されてラスボスの皇帝からも特に言及される事は無かったが攻略対象にも匹敵するイケメン、最期まで主君のために殉ずる忠臣、特に「皇帝陛下に栄光あれ!」と叫び仁王立ちしながら息絶える最期は痺れた。

これ見るために何周もしてたまである。


「ありがとうございます!生きる気力が湧いて来ました!」

「そ···それは何よりだ」


まさか推しに会えるなんて、私は心が躍った。


「もう死んでも良いや···」

「いや!生きてくれよ!?」


矛盾した言葉を口走るくらい興奮していた私を連れてドレイク様は屋敷に帰られた。


「お飲み物をどうぞ」

「ありがとうございます!」


メイドさんからいただいた温かい飲み物を飲み干し私はドレイク様にこれまでの経緯を話す。


「何と理不尽な···守るべき民を虐げるとは···ザーマ王国はここまで腐りきっていたのか」

「厳密には異世界から来た余所者ですけどね」

「だったら尚更だ、手厚く保護すべきものを追放などあり得ぬ所業だ」


この世界に来て初めて向けられた優しさに緊張がほぐれ涙が溢れる私···


「あっあれ?おかしいな···」

「今は思いっきり泣けば良い」

「ううう···」


ドレイク様の胸で大泣きする。

前世の事、召喚されてからの辛い日々を思い出し涙が止まらずそのまま寝ていたらしい。


「ん?朝か···久しぶりにぐっすり眠れたなぁ」


昨日まではズタズタに切り刻まれたベッドに夜中に騒音をたててくる嫌がらせのせいでほとんど眠れなかったからだ


「自分の睡眠時間削ってまでよくやるよ」


その執念に敬意まで抱いていたら女性が部屋に入ってくる


「あなたがクライドちゃんの婚約者さんなの!?」

「奥様~まだ違いますよ~」


クライド···ゲームではわからなかったがドレイク様のお名前だろう、ってメイドさんまだってさぁ···嬉しいけど···

この人がドレイク様のお母さんかまだ20代でもおかしくないくらい若々しい


「母上、その方は王国から追放された所を保護したんだ」


恥ずかしそうな顔でクライド様···もといドレイク様が訂正する。


「おはようございます!」

「おはよう、今日は君の今後について父と話さねばならぬから同席してくれるかい?」

「かしこまりました」


書斎の扉を開けると顔に傷のある厳ついイケオジが待っていた。

どこかドレイク様の面影がある。


「彼女が隣国から追放されたシノブ殿です」

「うむ、掛けてくれたまえ」

「失礼します」


そこで私は帝国のことドレイク家の事について聞かされる。

ドレイク家は辺境にあるリデイル草原を守る役職を担っておりご当主でありクライド様のお父様のロシュ様は元々草原の部族の出身だったが戦で功績をあげ今の地位をいただいたそうだ。

お母様のジェーン様は元皇女様らしいが昔は将軍姫という名で戦場を駆け回っていた武人だという。

最初はケンカばかりだったが徐々にお互い惹かれ合いこの地の守護の役職を貰ったロシュ様にジェーン様が嫁ぎ愛しのクライド様が生まれたってワケかぁ~。

そして帝国、この国は完全実力主義の国で功績を残せばどんな出自でも取り立ててくれるそうだ。


「本当は帝都の方が隣国の魔の手から身を守るには最適なのだろうが···」

「いえ!ここで働かせてください!」


推し様と一緒に暮らせるなんてここは天国か?

私はドレイク様が隊長を務める警備隊に入隊し魔法の力で害獣や賊から市民を守る日々を送る。

そうそう隣国のアレ(イザベラード名前も呼びたくない)と比べられてた魔法ですが実戦を重ねるにつれてどんどん上達しております。

基本の初級魔法しか使えなかった事でしっかり基礎を固める事が出来たのだ、今では中級上級魔法も使えるようになった。

そして2年たってようやく聖女の証である光属性の魔法を使えるようになる、大規模な障壁を作ったり大きな傷でも一瞬で治したりとチートだ。


「君が来てから隊員の殉職は無くなり民も賊や害獣の被害に悩まされる事は無くなった、本当にありがとう」

「頭を上げてください!隊長!力を持ってるのに困ってる人がいるのに使わないって選択が出来なかっただけです」

「君らしいな、シノブ私と···」


こ···これはぁ?ついに···


「隊長!ごほうこ···あっすみません···」

「すまん!続けてくれ!」


ザーマ王国が偽聖女を匿った帝国に対して宣戦布告したらしい、あの後アレと馬鹿王子は結婚したらしいが光魔法が学園で披露した時の小規模な物から一切成長しなかったそうだ。

おそらくRPGパートでの詰み防止のお助けアイテムを使ったのだろう、攻略対象の誰かに光魔法を付与するという物だ、だがあくまで初級の光魔法しか使えないからそりゃ成長もせんでしょ。

反対する国王や重鎮を監禁し自らが王と名乗ったのだ。


「偽聖女は追放と同時に我が王妃であるイザベラードから聖女の力を奪った帝国の刺客だったのだ!あの時無理を言ってでも殺しておくべきだった!偽聖女を討ち、悪の帝国を今滅ぼさん!」


ここまで馬鹿だったとは···

帝国の兵力を考えれば負けは無いけどそれでも傷つく人は出てくる、特に辺境なんて尚更だ···

これ以上クズ共に奪われてたまるか!


「一歩たりとも侵略者を領土に入れるな!」

「おおー!」


これだこれ!ゲームの時のように戦場に立つクライド様がやっと拝めた。


「立派になって···」

「俺もそろそろ引退かな」


ロシュ様は今回総大将をクライド様に譲りジェーン様も参戦している、総力戦だ。


「行くぞぉー!」

「うおおおお!」


私は味方全員にバフ魔法をかけ逆に敵兵にはデバフ魔法をかけ弱体化させる。


「死···死にたくねぇよぉ!」

「気持ち悪い···何で俺がこんな目に···」


恐怖により逃げ出す物、不調で行動不能な物、指揮官クラスにも症状が現れ敵は完全に総崩れとなる。


「逃げるものは追うな!向かってくる者だけを斬れ!」

ザシュ!

敵を切り捨てながら味方を鼓舞するクライド様、もう無双状態。

推しの活躍は目の保養だわ~。


「負けてられないわね!」

「ふん!言うようになったではないか愚息よ!」


ロシュ様もジェーン様も一騎当千の如く敵を蹴散らす、何なんだ···この一家···

警備隊のみんなも普通に強い、こりゃ大丈夫そうか?


「て···撤退だぁ~」

「ひぃ~!」

「どけっ!俺が先だ!」


隣国軍は惨めに敗走していく、こちらの被害は0!みんな無事だ!


「我らの勝利だー!」

「うおおおおおおお!」


真の意味での将となった推し様···尊いんじゃあ~!


「立派だったわよ!クライドちゃん!」

「クライドよ、次のドレイク家当主はお前だ」

パチパチパチ

「おめでとうございます!隊長!」

「ありがとう、此度の戦い誰も犠牲が出なかったのは君のおかげだ、もし良ければ何だが···」

「すみません!その前にやることがあります!今回の落とし前をつけに」

「ならば私も行こう」


ハァハァ

「どういう事だよ!カクドク!あんなヤベー力!あいつが本物の聖女だったんじゃねーのかよ!?」

「辺境を滅ぼしあの女を捕らえれば帝国相手に有利な条件で交渉が出きると思ったのですが···」

「どーすんの!?こんなに兵隊失ったら僕ら···」

「そうだ!私は悪くない···あの女狐に騙されただけなんだ!そう···ブエッ!」

「将が我先に逃げ出すとは···恥を知れ!」


ゴミ共は敗戦濃厚になった瞬間に逃げ出したそうだ、今度はあのクソ女に責任転嫁してる始末。


「た···助けてくれ!サエグサ殿!貴女を王妃として迎え···ボゲェ!」

「話しかけんなよ汚物が」


その後ゴミ共を手土産にザーマ王国へ乗り込み国王達の監禁を解いた。

国王はゴミ共とクソ女を差し出すから見逃して欲しいと言ってきた。

いらないんだけど··


「仕方ない、帝都に連れていこう」

「そうそう王様!学園時代に私に意地悪来てきた人達なんだけどさぁ···」

「わ···わかりました!全員に相応の罰を!」


あれぇ?何も言ってないんだけど?まぁ良いか、クスッ


「あんまり怒らせないようにようにしよっと···」


クライド様何か言った?

その後私を虐げた主犯、実行犯連中は聖女を害した罪で処刑、首を落とされる寸前にどいつもこいつも顔から汚ない液を垂れ流しながら私に謝罪し許しを乞うたが養豚場の豚の殺される前にしか見えなかった、豚さんに失礼か。

直接加害してないが陰口を叩いたり見て見ぬふりをした者たちもそいつの有責で一方的に婚約破棄されたり実家から勘当されたそうだ、お咎めが無かった者も過去は消えず一生後ろ指を指されて生きて行く事だろう。

さて···メインディッシュは···


「やめろ!私は未来の賢王だ···ぎにゃあ!」

「ふざけんな!冗談やめろよ!お···ぐべぇ」

「そうだ!私を帝国に迎え入れませんか?きっと···ぐぎゃあ!」

「死にたくないよぉ···べひょお!」


帝都に移送され戦争犯罪人として処刑される事になったゴミ共。

モグラ叩きゲームのような穴に入れられ頭を潰され汚ない脳味噌と血が飛び出る、奇をあてらってるだけだろ···帝国の処刑方··


「ひゅー!」

「もっとやれー!」


歓喜に湧く市民たち、そこは近世ヨーロッパ的民度でワロタ。


「さてと···あんたのヒーロー様はみんな処刑されたよ?イザベラード様ぁ?」


帝都城の地下深くにある牢獄


「許して···シノブさん···恐かったのよ!断罪されるのが!」


こいつやっぱり転生者か···


「気安く私の名前呼ぶなよメス豚、それで私の悪い噂流してお助けアイテム使って聖女だって偽って私を追い出したわけだ」

「だってゲームの強制力がいつ発動するかわからないもの··カク達も貴女に魅了されるって思って···」

「はぁ?馬鹿じゃねーの?何が強制力だゲーム脳がよ」


そんなん言い出したらヒロインが追放されるわけが無いだろ何言ってんだコイツ


「さようならイザベラード様、二度と会うことは無いでしょう」


私は城を出た。

その後メス豚はお助けアイテムを体に内蔵され炭鉱で働く囚人達の回復役兼性奴隷として生涯を終えた。


そして···


「シノブ、私の伴侶として生涯を共にしてくれないか?」

「嬉しい···はい、喜んで···!」


推しからのプロポーズ来たぁぁ~!勿論即答でOK!


その後私達は子宝にも恵まれ辺境で幸せに暮らしたのであった。


おしまい





お読みいただきありがとうございます!


戦争や皇帝はどうなったの?→ザーマ軍が大敗し周辺国もビビって手を出さなかったため戦争は起きず皇帝も闇堕ちしません!


何でクライドは皇帝に忠誠を誓ってたの?→クライドと皇帝は学生時代からの親友です!



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