そらまめのそらもよう 〜episode6 春風〜
トントントン カタカタカタ ビュウーン
さっきから春の風が、そらまめのさやのドアにふきつけています。
そらまめは、そっとドアをあけて 外に出てみました。
たちまちそらまめは、つよい風におされて、
コロコロと 地面をころがりました。
そらまめは、とっさに、ちかくの草につかまって やっととまることができました。
ふうー、と息をついて 上を見上げると、
黄色いタンポポの花が、そらまめを見おろしていました。
草だと思ったのは、タンポポのくきだったのです。
そらまめは、そのままタンポポにくっついていました。
いい香りがして はなれたくなかったのです。
やさしいタンポポは、
しばらくそらまめを 風から守ってくれました。
それから、そらまめは、毎日タンポポに会いにいきました。
タンポポも そらまめがくると うれしそうに
にっこり笑いました。
ある日、そらまめが
タンポポに会いにいくと
タンポポは 白くて 丸くて
フワフワになっていました。
風がふくたび、フワフワが少しずつ
空へ飛んでいきます。
そらまめは、タンポポの変化にびっくりして
たちつくしていました。
やがて タンポポの最後のフワフワが
飛んでいくとき
さようなら
と声が聞こえたような気がしました。
そらまめも心の声で答えました。
さようなら