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『殺し屋』と『茶菓子』

掲載日:2010/03/13

俺は、世界最強の殺し屋。

俺にかかれば、どんなVIPでも確実に殺せるだろう。

逆に言えば、俺がこの手をくだすことで、今の世界を変えることだって可能だ。

裏の社会の帝王。。。


しかし、そんな俺が今、喉から手が出るほど欲しいものがある。。。。


今、目の前にある『茶菓子』だ。


「いやぁ、あなたが最強の殺し屋と聞いて、殺しを頼みたいんだけど、要求はいくら?」


いつも応接間に来て思う。

あの、皿に盛られた茶菓子を食うタイミングが分からない。

殺しのタイミングなら完璧な俺を、こうまで戸惑わせるとは。。。


特に一番気になるのは、あの高級そうな和紙に包まれたあの茶菓子だ。

『ふんわり粉雪きなこもち』

なんて、ふんわり感のあるネーミングの茶菓子なんだ。

口の中でふんわりとろけて、甘みがとろけだす感が最高の茶菓子に違いない。

くそぅ、ここで俺があの、ふんわり系のお菓子をほおばりながら「要求は1億」とか言っても格好が付かん。

ましてや、口の周りが『きなこ』だらけでは、今後の会話にも支障をきたすかもしれん。

ここは我慢だ。


ぐぅぅぅぅぅ


「あ、すいません。実は、私食事がまだでして。ちょっと失礼」


野郎!

こともあろうに、俺との交渉中に『ふんわり粉雪きなこもち』に手を伸ばし、食いやがった!

なんてことだ、それは一つしかないいんだぞ。

しかも、案の定、口の周りを『きなこ』だらけにしてやがる。

お前の腹の周りを血だらけにしてやろうか!


「いや、失礼。実は、あなたに殺しを頼みたいのはこの男です」


とか、言いながら、なんで2つ目のお菓子に手を伸ばしながら言ってんだ。


「ほの、ほとこはへふね」


しかも、煎餅食いながらしゃべってんじゃねぇ。

殺しのターゲットの写真の上に、煎餅の食べカスが落ちてるじゃないか!

ある意味、お前がこの男を殺したわ。


それはさておき。。。

こいつの食ってる煎餅。。。

美味そうな香りじゃないか。


煎餅の入っていた袋の販売元には、煎餅王国『新潟』と書いてあるではないか。

なんてことだ。

あの『コシヒカリ』を贅沢に煎餅にしたあげく、じっくりと醤油と炙られたような香ばしいかおりが。。。たまらん!


俺も、我慢の限界だ。

煎餅は。。。。もう一袋ある!

チャンスだ。

やつは、違う茶菓子に手を伸ばしている。

これはもう、お互い茶菓子を食いながら話していこうという合図ではないか。


世間一般では殺し屋はバーでブランデーしか飲まないと思われているかもしれんが、そんなことはない。殺し屋仲間で「笑笑」や「魚民」で忘年会もする。ましてや、我が家には、お徳用お菓子がストックされている。


「ほれで、ほまへは殺ひてほひいのは」バリボリ「ほのほほほは」バリボリ


「ほのほほほを」くちゃくちゃ「殺へはいひおふえんやほう」くちゃくちゃ


こうして、殺しの交渉が成立した。

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