表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『殺し屋』と『茶菓子』

俺は、世界最強の殺し屋。

俺にかかれば、どんなVIPでも確実に殺せるだろう。

逆に言えば、俺がこの手をくだすことで、今の世界を変えることだって可能だ。

裏の社会の帝王。。。


しかし、そんな俺が今、喉から手が出るほど欲しいものがある。。。。


今、目の前にある『茶菓子』だ。


「いやぁ、あなたが最強の殺し屋と聞いて、殺しを頼みたいんだけど、要求はいくら?」


いつも応接間に来て思う。

あの、皿に盛られた茶菓子を食うタイミングが分からない。

殺しのタイミングなら完璧な俺を、こうまで戸惑わせるとは。。。


特に一番気になるのは、あの高級そうな和紙に包まれたあの茶菓子だ。

『ふんわり粉雪きなこもち』

なんて、ふんわり感のあるネーミングの茶菓子なんだ。

口の中でふんわりとろけて、甘みがとろけだす感が最高の茶菓子に違いない。

くそぅ、ここで俺があの、ふんわり系のお菓子をほおばりながら「要求は1億」とか言っても格好が付かん。

ましてや、口の周りが『きなこ』だらけでは、今後の会話にも支障をきたすかもしれん。

ここは我慢だ。


ぐぅぅぅぅぅ


「あ、すいません。実は、私食事がまだでして。ちょっと失礼」


野郎!

こともあろうに、俺との交渉中に『ふんわり粉雪きなこもち』に手を伸ばし、食いやがった!

なんてことだ、それは一つしかないいんだぞ。

しかも、案の定、口の周りを『きなこ』だらけにしてやがる。

お前の腹の周りを血だらけにしてやろうか!


「いや、失礼。実は、あなたに殺しを頼みたいのはこの男です」


とか、言いながら、なんで2つ目のお菓子に手を伸ばしながら言ってんだ。


「ほの、ほとこはへふね」


しかも、煎餅食いながらしゃべってんじゃねぇ。

殺しのターゲットの写真の上に、煎餅の食べカスが落ちてるじゃないか!

ある意味、お前がこの男を殺したわ。


それはさておき。。。

こいつの食ってる煎餅。。。

美味そうな香りじゃないか。


煎餅の入っていた袋の販売元には、煎餅王国『新潟』と書いてあるではないか。

なんてことだ。

あの『コシヒカリ』を贅沢に煎餅にしたあげく、じっくりと醤油と炙られたような香ばしいかおりが。。。たまらん!


俺も、我慢の限界だ。

煎餅は。。。。もう一袋ある!

チャンスだ。

やつは、違う茶菓子に手を伸ばしている。

これはもう、お互い茶菓子を食いながら話していこうという合図ではないか。


世間一般では殺し屋はバーでブランデーしか飲まないと思われているかもしれんが、そんなことはない。殺し屋仲間で「笑笑」や「魚民」で忘年会もする。ましてや、我が家には、お徳用お菓子がストックされている。


「ほれで、ほまへは殺ひてほひいのは」バリボリ「ほのほほほは」バリボリ


「ほのほほほを」くちゃくちゃ「殺へはいひおふえんやほう」くちゃくちゃ


こうして、殺しの交渉が成立した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ